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踏み台令嬢に転生したのでもふもふ精霊と破滅フラグを壊します! 気づけば王子様ホイホイ状態なんですが!? 完結  作者: まほりろ・ネトコン12W受賞・GOマンガ原作者大賞入賞
第一章「謹慎編」

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1話「悪役令嬢と断罪劇」プロローグ



漆黒のリボンとお揃いのドレスは、エドモンド様が「似合う」と褒めてくれたもの。


真っ黒な口紅アイシャドウもエドモンド様が「綺麗だ」と言ってくれたもの。


肌がより白く見えるように白粉をまんべんなく塗ったわ。


エドモンド様がツインテールが好きだと褒めてくださったから、赤い髪を結い上げたわ。


だからエドモンド様、私だけを見て!


そのアイスブルーの瞳に私だけを映して「美しい、愛しているのは君だけだ!」と囁いて!




◇◇◇◇◇




「公爵令嬢アンジェリカ・カレンベルク!

 貴様は第二王子の婚約者の地位を利用し、聖女コレットを虐げた!

 よって貴様との婚約は破棄する!!」


黄金色の艶のある美しい髪、湖水のように輝く青い瞳、雪のように白い肌を持つエドモンド様。


エドモンド様は、形の整った眉を釣り上げ、美しい瞳に怒りを宿し、冷徹に私を見下ろしている。


彼の隣には桃色のふわふわした髪に同色の瞳の貧相な少女が寄り添っていた。


彼女の名はコレット。


平民上がりの娘で世界でただ一人の聖女。


「アンジェリカ、貴様がコレットのノートを破り、体操服や制服を水で濡らし、脅迫文を送ったことはすでに明白だ!」


エドモンド様はコレットの肩に手を置き、抱き寄せる。


コレットは瞳に涙を浮かべ、彼に寄り添っている。


エドモンド様、どうしてそんな女をお側に置くのですか?


あなたは第二王子という身分のある方。


コレットは聖女とはいえ、元々は平民。


あなたの隣には、そんな下賤の女は相応しくありませんわ。

 

「私はエドモンド様につきまとうハエを退治しようとしただけのこと。

 非難されるようなことはしておりませんわ」


「あくまでも自分の罪を正当化しようとするのだな?

 素直に謝罪すれば良いものを!

 見下げ果てた女だ!」


エドモンド様が私に向ける目は氷のように冷たい。


エドモンド様、どうして私に冷たい眼差しを向けるのですか?


なぜ私達の婚約を解消しなければならないのですか?


だって、私達は愛し合っているのに……!


「新しい婚約者には聖女コレットを据える!

 異論は認めない!」


「嬉しいですわ!

 エドモンド様!」


エドモンド様がコレットを抱き寄せ、コレットは彼の胸に顔を埋めた。


私のエドモンド様に触れないで!!


こんなことはあり得ないわ!


あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない! あり得ない……!!


平民の女がエドモンド様の婚約者になるなんて天地がひっくり返っても絶対にあり得ないわ!!


そんなことは何があっても認められない!


「アンジェリカに、一カ月の謹慎処分を命じる!

 聖女コレットの慈悲により、退学処分は免除する!

 コレットに感謝し、謹慎中に心を入れ替えるがよい!」


エドモンド様が私に向ける目は、まるでゴミや虫を見るかのようでした。


止めて! そんな冷酷な目で私を見ないで……!


「ダミアン、ライナス、アンジェリカを会場の外に出せ!

 いや、それだけでは心もとない!

 アンジェリカを家まで送り届けろ!」


「承知いたしました、エドモンド様」


「お任せください」


エドモンド様の腰巾着のダミアンとライナスが、エドモンド様に頭を下げる。


ダミアンは宰相の息子で、緑の髪と同色の瞳を持つ優男。嫌味な性格で、何かにつけて格好をつけたポーズで眼鏡をくいっと押し上げている。


対してライナスは騎士団長の息子で、オレンジの髪の瞳を持つ脳筋。


この二人とは幼少期からの顔見知り。


ですが、エドモンド様と私が一緒にいると邪魔してくるので大嫌いです。


「行こう、コレット。

 ここは騒がしい」


「はい、エドモンド様」


エドモンド様が私に背を向けるように踵を返した。


コレットもそれにならい、踵を返す。


一瞬、コレットと目があった。


彼女は私を嘲るように口角を上げた。


平民のくせに生意気よ……!


「嫌! いかないでエドモンド様!!

 私が愛してるのはあなただけ!

 あなたの運命の相手は私しかいないのよ!!」


私の声にエドモンド様は反応することはない。

 

「立て! 家まで連れ帰るようにエドモンド様の御命令だ!」


ライナスが力任せに私の腕を掴む。


ドレスの袖が破れ、腕に指が食い込む。


「……嫌っ!」


私の悲鳴を無視し、ライナスが私を強引に立たせる。


いつの間にか、反対の腕はダミアンに掴まれていた。


「離しなさいよ!」


私は足をばたつかせ抵抗を試みる。


ダミアンが「ちっ、面倒かけさせやがって」と呟き、私の腕を後ろに捻り上げる。


「……ぐぁっ!」


令嬢らしからぬ声が漏れてしまいました。


ダミアンは気にすることなく、私を地面に跪かせ、腕に縄をかけました。


公衆の面前で拘束されるなど、貴族の令嬢にとってこれほど不名誉なことはありません。


それは、社交界での死を意味するのも同然。


2時間かけて結い上げた髪はほつれ、髪が顔に張り付く。


ライナスはそんな私を蔑むような目で見て、口角を上げました。


私に向けられる他の生徒達の視線も酷く冷たいものでした。


「立て!

 さっさと歩くんだ!」


ダミアンは私を罪人や奴隷のように扱い、会場から連れ出しました。


そして、乱暴に馬車に放り込み家まで運んだのです。


「せっかくの進級パーティなのに、こんな女を家に送り届けなくてはならないとはね」


「全くだ! コレットの可憐なドレス姿を目に焼き付けたかったのに! 損な役回りだぜ!」


二人は馬車の中で吐き捨てるように言いました。


許さないわよ! ダミアンとエドモンド!


エドモンド様の側近だからといって、調子に乗らないでほしいわね!


私はエドモンド様の婚約者なのよ! 未来の王子妃なのよ!!


私は由緒ある公爵家の長女なのよ!


婚約破棄なんて絶対に認めない! 


認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 認めない! 絶対に認めない……!!


コレットが新しい婚約者に選ばれるなんて許せない!


許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 許さない! 絶対に許さない……!!


壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 壊してやる! 


私からエドモンド様を奪った全てを破壊してやる!


奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 奪ってやる! 


コレットから全てを奪ってやる!


それだけでは足りない!


聖女コレットを殺してやる……!


コレットを守る人間がいるならそいつも同罪よ!


同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪! 同罪!!


みんなまとめて殺してあげるわ……!!


殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す! 殺す!!


私とエドモンド様の前に立ちふさがる障害は全部破壊してやるわ……!!







などと思っていた小説のヒロインの怒りは、前世の私と混ざって消えた。


さて、呼び出してしまった精霊のルシファー(もふもふ)と共に、楽しい時間を過ごそうか。


読んで下さりありがとうございます。

少しでも、面白い、続きが気になる、思っていただけたら、広告の下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると嬉しいです。執筆の励みになります。 


長編書きました。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです。



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