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童話トリップ!  作者: 深月 涼
終章
51/53

エンディング、あるいは かみさまのひとりごと

 ふー、やれやれ。

 ちえー、案の定まーっくらで何も無い。

 とーうとう追い出されちゃったかあ。……くすっ。


 でもでもっ、あの状況からよーっく逆転できたよねえ。

 くふふっ。称賛に値するよ。

 発想が面白いよね。

 こう、いかにも出来る事全部詰め込んでみました的な魔法も面白いけど、ああいう意外なところから急に来る変化球とか。

 ……これだから人間はあきないんだ。


 あの最後の最後でやって来た泥棒さん?もおいしいなあ、とか思うけど、今回MVPをあげるとしたら、やっぱあの『灰かぶり』の女の子かなっ。


 記憶を取り戻した後、半分くらいはもう戻ってこないかなーって思ってたんだけど、愛の力って偉大(いだーい)(笑)

 それにその直後のアレ!あれには笑っちゃったなあ、あははっ!

 神様(ぼく)の力に逆アクセスとかも、あの短時間で随分思い切った事したよね~。

 まあ?それくらいしてもらわないと、こっちとしてもぜんっぜん面白くも楽しくもないんだけどっ、さ♪


 でもって、ぼくを世界から弾き飛ばしたあの魔法……。

 あれって、彼女が元々使ってた『空間干渉』の魔法飛び越えて、次元に干渉してるって気付いてるのかな?

 まあ、それだってぼくと“繋がって”たから出来た芸当なんだけど。

 ふふん、(ぼく)と同等になろうなんて、まだまだ足らなすぎて何百年も早い、なんてね!

 そうさ、せめて後、時間の干渉と精神への介入が出来なくちゃ!

 空間干渉だってさ、世界を相手にしなきゃなんだし、まだまだこれからなんだから!

 ……って、あれ?別に彼女、神様になりたいなんて言ってたっけ?…………ま、いっか。



 それにしても、あーあ。

 結構体、ボロボロだ。

 ……あの魔剣、今後はちょっと注意が必要かもね。

 世界を壊す(・・)のは『悪夢の再来(ディオスクロイ)

 そう、このぼく(・・)だ。

 この役目だけは誰にも譲れない。

 ……でも、世界を壊して神に傷を付けちゃうような、とんでもない塵芥剣(イレイザー)造られちゃうとか、ぼくそこまで嫌われるような事したかな~?

 うん?いや、あれって何で出来たんだっけ?ああそうだ。魔法使わない宣言した王様に黙って造ってたんだった。

 ……そうそう!それで、魔法の無い世界ってどんなんかなーって見守る気でいたから、その時は使われたら面白くないなーって思っって、封印し(しまっ)ちゃったんだっけ!そうだそうだ、思い出した。


 結果はアレだったけどね。  



 ちぇー。これでも結構気を使ったんだよ~。

 そうそう簡単に滅んじゃっても困るしさ。

 大体掲示板とか、一体誰が管理してると思ってんの。

 『本音スレ』とか作ったら、まー、出るわ出るわ。

 根こそぎ“削除”しちゃったけど^^


 せっかくわざわざ“いらない人間”ばっかり集めたのに、感謝の1つも無いとかさ。

 あのまま向こうに居たって、幸せになんかなれないっていうのにね。

 なんで過去(むこう)なんかにしがみつくかな。

 ぼく、ぜんっぜんわっかんない!


 あの世界の神様は、基本放置で好きにすれば?ってスタンスだから、僕が干渉してもなあんにも言わなかったんだよね。

 おかげで好き勝手出来たけど(笑)

 それでも“いらない人間”を選別したのは、そもそも最初から貰っちゃうつもりだったからで、一応、いーちーおーうー、向こうの神様に慮ったってのもあったんだけど……。

 何だかそれすらどうでも良さげだったね。

 おっかしいの。創世の神が自分の作った世界気に入らないなんて!

 ……あの神様も、もしかしたらその内ぼくと同じで……くふふっ。


 ま、こっちの世界にしてみれば、向こうとの繋がりが無くなって未練がない方が“定着もしやすい”っていうのもあったんだけど。

 そこでさらに記憶まで消したのは、念入りにした下準備のつもり……ってのもあるけど、んー単純な話、そもそも必要ないよね?ここで生きるのにはさっ。

 これも1つの親ゴコロ?いや、神ゴコロってヤツ?


 そうだよ!そうなんだよ!

 これだけやってあげたのに(・・・・・)感謝の1つも無いなんて!

 ……まあいいよ。

 そんなものあっても無くても同じ。

 ぼくは、やりたい事をやりたいようにやるだけさ!



 ぼくは元々、別の世界に属する破壊神の内のひと柱だった。

 でも、ずっとずううううううううーーーっと永い事壊すだけしかしてこなくて、気が付いたんだ。

 ぼくはただ壊すだけに物足りなさを感じてた。

 とっくの昔に飽きてたんだって。

 だから、1から世界作った(・・・)

 作って、発展させて、キラキラ輝く宝石みたいな世界になった……ところで壊す!なんてね。

 ああでもおっかしい。破壊神のぼくが創世神の如くに世界を作っちゃうなんてさ!

 元にしたのはあっちの世界―――自称訪問者(ビジター)さん達の世界で、ネットゲームの概念とか空想とか発想とか、すっごく参考になったなあ。


 上手く行くかなーってわくわくしながら見守っていたけど、作り出した世界の人間は、万能の法則―――魔法を否定してしまった。

 それはそれでアリだと思うけどさ、そこからずうううううううっと何も変わらないんじゃ、意味無いじゃん!!(おこ)

 ほんとにさ、ニンゲンはもう少し考えるって事、した方がいいんだ。

 ……本職の創世神じゃないからお前の作った世界は不完全なんだ……っていわれちゃうと、そこは、ねえ?うん、ごめんなさいとしか?


 最終的に一度壊すにしても、チャンスも無いのはちょっとさびしいじゃない?ってな訳でてこ入れしてみたりして。

 学校の教師みたいに教えてもらうだけっていうのでも良かったけど、世界レベルで混ざり合って浸透して欲しかったから、向こうの世界から人いーっぱい連れて来ちゃった☆

 まさか共食い始めるとは思わなかったけど(笑)

 あれにはびっくりしたなあ。

 干渉するつもりなんてなかったけど、あれがあったおかげでしばらくマメに様子見るようにしたんだっけ。

 その内こっちの世界の人間と混ぜて増やかす予定だったからさ、勝手に死滅しちゃわれるのも困るんだよね!

 大丈夫そうに見えて全然大丈夫じゃないとか、ニンゲンってほんとメンドウでフクザツ。

 様子見ついでにちょっとぼくと遊んでもらう、くらいのつもりだったけど、それがきっかけでみんなが協力し合うようになったから……まあ結果おーらい?


 ぼくが世界から弾かれて、(ぼく)の影響力が無くなって、ようやっと向こうの人間がこっちの人間に魂レベルで成ったから、向こうとこっち関係無く生殖可能になったね。

 今までは、向こう同士こっち同士だけしかできなかったけどさ。

 これで衰え始めていた魔法の才能、元に戻るかな?

 世界も順調に発展していってるみたいだし、この調子で魔法バンバン(笑)使って、すっごい事して行って欲しいな!

 キラキラ、楽しみ♪くふふっ。


 うん、ちょっと時間はかかったけど、うまくいったんじゃない?

 その過程だけでも十分面白かったし!

 あの子たちと遊ぶの、本当に楽しかったなあ!くすくすっ。

 タダで生活させてあげる(・・・)んだもの、このくらいのお駄賃はあったりまえだよね。

 ただ好きに生きていいなんて、そんな旨い話、あるわけないじゃない!


 訪問者(ビジター)在来者(ホステイツ)あわせて住人(クラスタ)

 ネバーランドにワンダーランド。みんな合わせて平和に穏やか、豊かな生活を実現したよ!


 ……けど、それだけじゃつまらないよね。

 だって生きてるんだもの。ドキドキわくわくびっくりどっきり、刺激が無くちゃ。


 これからきっとたくさん増える人の為に、世界各地に新たな大陸を出しておいたし、魔法が禁止された時の戦いで沈んでいた島も再浮上させた。

 ……新しい冒険の舞台にぴったりでしょ?

 ゲームだってアップデートがあるんだもん。この世界にだってね。


 後は……ネットワーク、だっけ?

 あれもせっかくなので、全世界に張り巡らせてみましたっ!……なーんてね!

 これから発展して行くのに、きっと役に立つはず!

 何より、こっちに来て初めて、みんなで考えて作った物だしね。

 向こうもこっちも関係なく使えるようになれば、きっともっとすごい事が起こせそうだね!

 魔物どころか、神様も消し飛ばしちゃいそうな強力な魔法とかさ!

 あはは!それってすっごくヤバくない!?

  

 そうそう魔物だけど、あれは消えないよ。

 魔物という非生命体は、使われなかった魔力が生き物の『負』の感情と結びついて淀んだ汚泥の様なもの。

 ―――魔力はすべからく循環する。

 だから、使われずに溜め込まれた負の魔力も、長い年月をかけてあちこちにこびりついて蓄積されていった。

 ――――――その結晶が、魔物。

 今まで出て来なかったのは、神様(ぼく)が管理していたからで……もう神様(ぼく)はいなくなったんだから、そういった意味で調整する事は出来ない。

 海に出られない程うようよしていたり、陸地を津波のように覆い尽くす、なんて事は無いけれど、ほっとくと災害引き起こすから、そこは頑張って張り切って退治していってほしいな☆

 そっちの方が、おもしろいしね。くすすっ♪




 ―――最終戦、最後の方で手出しをしなかったのは、“最初からこうする”ためだった、って知ったら“彼ら”はどう思うかな?

 金髪ストレートの髪、白い肌、小さくて華奢な体、フリルのついた青いワンピースと真っ白なエプロンドレス。

 今は(・・)目をつぶっているけれど、その目はきれいなきれいな青の瞳。


 灰かぶりちゃんのかけた異世界に(ぼく)を追い出す魔法、拘束範囲指定は『神様ディオスクロイ』のみ。

 知ってた?ただの人間なら、その限りではないんだって。



 さあ起きて、アリス。君の出番だよ!

 ぼくはずっと、この時を待っていたんだ。

 みんなと一緒に冒険できる、この時をね!





 漆黒、完全な闇に包まれた世界の狭間とでもいうべき場所で、少年の姿をした元破壊神『悪夢の再来(ディオスクロイ)』は、瞳を閉じた可憐な少女『アリス』と相対する。

 アリスの体はからっぽ(・・・・)で意思はおろか魂すらも存在しない。

 この体は“容器(ようき)

 ディオスの魂を入れるための器。


 ぼんやりとした神の力が双方を包み込む。

 (ディオス)の瞳がゆっくりと閉じられて行くと同時に、少女の瞼が開いて行って――――――



 そして掲示板に、今日も新たなスレが立つ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


1:不思議の国の少女アリス

  おはよう、おきたー!





神様なんてトンデモ生物の価値観など、常人に測れるはずが無いのですよ。





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