【今再びの】ディオス討伐スレ2012戦目【進軍!】
本日のBGM:kemu氏作【GUMI・鏡音リン】リンカーネイション
31:7人の狩人 3番目
このスレを使うのも久しぶりだな
32:7人の狩人 1番目
俺なんかわくわくして来たぞ!
33:ヘンゼル
裁判開廷判決死刑!
34:グレーテル
戦争よ!戦争!!
35:仮面の槍者青ひげ
ええい落ち着かんか!
……どこぞの悪童どもと同じ匂いがするぞ?こいつら
36:魔弾の射手
そら……まあ……(言葉を濁す)
37:エメラルドの都の魔法使い
ねえ……(同上)
38:マッチ売りの少女
ごめんなさい
……って先に言っておいた方がいいのかな……?
39:赤い靴
気にしなくていいんじゃなーい?
思いっきりやっちゃえ(XD)
40:永遠の少年@鬱
どうでもいいけどとりあえず
深奥突入からの露払い役に約100人
ディオス討伐実質10人前後って事でFAなの?
41:軍用ブーツを履いたぬこ騎士
永遠の少年のスルースキルまじぱねぇwww
普通は止めるところなのにゃー(笑)
あとその露払い100は精鋭が100にゃ?
迷いの森のモンスター全滅フラグktklwww
したら俺らも神殺し参加可ですよね?(真顔)
いよしゃ、サクサク倒して俺達も一矢報いようぜ!
42:白鳥の湖の悪い魔法使い
(真顔)
43:浮かれ小坊主
自己主張www
キャラ被り禁止
専売特許使うなってさ(笑)
44:雪の女王
やれやれ
こんな時だというのに
45:エメラルドの国の魔法使い
だがそれが俺達クオリティ!!(キリッ)
46:灰かぶり
威張って言うセリフじゃ無かろうに
それがいい歳した男の言う事かい
気張り過ぎるのは良くは無いが
だからって楽観視し過ぎて妙なヘマするんじゃないよ
47:浮かれ小坊主
あいあいさー!!
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セントラーダ第2王子エドワードの特訓については、驚くべき……そして喜ぶべきなのだろうな、と言いたくなる様な報告が上がって来ている。
『森』の魔力循環制御回路陣の接続をあっさり済ませたエドは、特訓開始から3日を過ぎる頃には安定した狩りが出来る様になり、4、5日の内に、ほとんど独りでこなせる様になっていた。
いらない王様に仕える従者に持たせた各種回復薬も、日が過ぎるにつれてその量を減らして行った事から、それがどれだけ驚異的な成長スピードだったのかが分かる。
もっとも、持たせた半量が毎度きっちり消えているのは、必ずやお守りするべしという指令に忠実なあまり対象を過剰に気遣う、いらない王様に使える従者の心配りによるものだろう。
こうして、『神』の滅亡宣言から6日。
いよいよ本日、我らは『森』の深奥に向け、進軍を開始する。
「眠り姫が目覚めてから1週間。稼働し続けている『森』の魔力循環制御回路陣には、今現在十分に魔力が蓄積されていると言っていいだろう。よって手加減など不要だ!皆全力で事に当たれ!」
「弾薬の貯蔵は?『技』発動の準備は?トイレにはちゃんと行って置いたかな?忘れ物をしても取りに行けるのは今の内だ。確認は入念にね!」
「市街に被害を与えぬ為にも、魔物・即・斬という心構えでいる様に!ただし、無理は厳禁だ!2重3重に防壁は築かれている。時には後退し、状況を整える事も視野に入れ、常に柔軟な行動を心掛けよ!」
「分かっていると思うが、先行組は殲滅戦となる。出来るだけ無傷のまま、メインパーティーを『神』の身許にお連れするのだ!」
ねこの王やオズ、裸の王様に青ひげ。
各々が檄を飛ばす。
「……こうしてみると、やはり壮観だな」
「統率が取れていないともいうがね」
やや離れた場所より、最後の大集会を見やる。
色も姿もバラバラな私達だが、こういう有事の際の統制は取れている自負はある。
「最後まで他者に頼らねばならぬというのは、存外苦しいものだな」
苦しい、だけではないのだろう。
もどかしく、苛立つ事もあるだろう。それをひっくるめての『苦しい』なのだ。
言葉には出さず、ぽんぽん、と背を優しく宥める。
「まあエドはだな、深く考えず、最後の最後でその魔剣を振り回していれば良いのさ」
降りてきた視線と、見上げた視線が交わる。
妙に、意外そうな顔をされた気がしたのだが?
しかし、不意にその相貌は緩く、崩れた。
「……力を貸そうと言うのに、随分扱いがゾンザイの様な気がするな?」
……正直、驚いた。
彼がこんな風に、おどけた表情を浮かべるなどとは思ってもみなかったので。
口の端を僅かに上げたその表情は、まるで微笑んですらいる様で。
柄にも無く……ああ、本当に柄でも無い。色男に心臓の音を鳴らしてしまうなど。
「……大事にしているじゃあないか。何せ最終兵器なのだからね。最後まで僅かでも疲れん様、そこは温存して置かなければ」
そっと顔の向きを逸らす。
相手が気付いていないと良い。……そう、思いながら。
―――いくら魔力が有り余っていようとも、この世界の『ゲームでは無い部分』が私達を襲う。
疲労と言うステータスは、凶悪で厄介だ。
疲れてしまえば集中力を欠き、周囲に気を配る余裕も無くなり、判断力も鈍る。
そしてこの世界特有のバッドステータスは、最悪な事に、何時の間にか蓄積されてゆくのだ。
「だから、難しい事を考え過ぎるのも良くは無いのさ。今は『神』と戦って生きて帰る事だけ考えていれば良い」
あながち、嘘でもなかったのだが。
「おいっす。ほら、説明の順番来てるぞ。何ぞ言いたい事があるんだろ?」
そこへ、軽く手を挙げながら近づいて来たのはオズだった。
「オズか」
振り向く。と、引っ張られた。エド?
「……」
「……あれ?エドさん機嫌悪い?」
「何でもない」
「えー?嘘だー、エドさん絶対フキゲ……」
「何でもないと言った」
おいおい、今度はあからさまに不貞腐れ始めたぞ。
「ああー、うん、ごめーん、ね?」
てへっ
何事か悟り、おどけたオズは、そのままムーンウォークで去って行った。
何だ、何なんだ。
隣に視線を向ける。
エドはエドで何事か考えている様だと思ったら、
「思ったのだが……随分と仲が良い様だな?」
今か!?今そこか!?
状況的にも、今更という意味でも驚いた私は、やや動揺したまま問いに答えた。
「ああ、まあ……そうだな」
そしたら今度は、何故かそのまま黙られたぞ……?
おい、もう行かなければならないのだが。
動かないエドに、仕方無しに続ける。
「2人共、副業にしているのが魔道具生産職というのもあるだろうさ。私は薬剤師で、オズは装備やその他のアイテム専門だがね。お互い相談する事も、される事も多かったよ。少なくとも、他の連中よりは気心が知れてるだろうねえ。これは少々込み入った事情だが『消された過去』においてはそれなりに、厚い親交もあった様だよ」
実際に向こうで、どう具体的に付き合って来たのかは良く分からないものの、間違い無く腐れ縁と言い切れる程度には長い付き合いだ。
とまあ、事情については話したのだから良いだろう?
「…………そうか。そこは考えなかったな」
笑ったと思ったら今度は渋い顔か。
袖を引くとしぶしぶ動き出したが、何なんだ一体。
私が伝えたのは、記憶の紋章の開放について。
眠り姫が目覚め、必要の無くなった『記憶の紋章の封印球』をイミテーションブルーと連動させる事により、皆が使用可能になると伝えたところ、盛大な歓声が上がった。
気合い入れて奮闘して貰わねば困る。
景気の良い音楽掛けるでも何でも、有効利用すればいい。
その歓声の収まらぬまま、私達は森の深淵に向けて進軍を開始した。
最初は足並みを揃え、それなりにゆっくりとしたスピードでの行軍。
「左10時の方向から4体!」
「オーバードライブ!」
「はああっ!破邪、百獣拳!」
「枝撃ち三鞭流!行っきまーす!」
「バースト!」
次々と技を繰り出して行く仲間達を、すり抜ける様に前へ。
森が深くなるにつれて人が減り、皆速足になって行く。
「ぅあはははははっ、あーははははははは!!」
「青ひげ様リミッター解除キター!」
「ほーか、ほーか、ふぁいやー!!」
「轢き逃げアタックううううううう(XD)」
「ここまで派手にやられると、自分の身の安全も考慮すべきかもしれませんね……っと!!」
「今更今更ぁ!!俺達も行くぜえ!スラッシュ!ラッシュ!……とっかあああああん!!」
「戦闘用BGM入りまーす!」
「こぉれぇでぇ!必殺、踏み潰し!」
誰かが魔力循環制御回路陣に接続して音楽を掛け始めると、あちこちで曲が流れ始めた。
これだけレベルの高い連中が沢山いるのだから、早々に魔力が空になるなどといった心配は無用だろう。
曲は鼓舞で激励だ。止めるどころか森の各地に広がって行った。
一方、私達の歩みは止まらない。
深奥に辿り着く頃には、魔物から逃れる為、かなり本気で走りだしていた。
森の深奥、そこは元ゲーム内ダンジョン“アリスのハートの城迷宮”―――その迷宮の変化した物。
「これが―――黄金の反時計都市か」
どれ程走ったか、気付けば賑やかな音楽は彼方に。
あちこちから、かちこちという秒針の音。
時折、時を告げる鐘の音と、目覚ましのジリリリリという音が響く。
目の前には、金の装飾が施された回り続けるぜんまい、煌めくクオーツ、逆回りを続ける分針と時間針。
そして、それらを取り巻く吸い込まれそうな程歪な黒い森。
……今にも圧し掛かって来そうなその風景に、心が圧倒されかける。
だが。
「進むぞ」
エドのひと言で、一瞬止まった行軍が再開された。
……やはり、“強い”
「右真横から敵の反応5体!行きます!……宝玉乱舞!!」
「後は任せよ!お主らは先へ!」
「っしゃ、いってきま!」
「後は頼む!」
「誰に物を言っている……良いから行け!!」
「まったく、心配するだけ無駄ってものかしらねぇ。ええ、任せてちょうだいな!」
「……さあ、こちらはこちらで始めよう。……『復讐劇』の、開幕だ!」
各々言葉を残し、最後のパーティが離脱した。
「いよいよ、ご対面だぜ」
「今度こそ、ディオスのアホ面晒したるわ」
『おおかみ』と『魔弾の射手』ロビンフッドが、ニヤリと顔を見合わせる。
「怪我なんか気にしないで、ガンガンヤッちゃいなさいな、アンタ達」
漢女聖女、もとい美髯……正式名称『憂悶聖女』エリーゼの、何とも頼もしい激励が掛かる。
「どの様な弾幕が来たとて、全て打ち落として見せようぞ」
「間も無クデスね、備えマショウ。―――神は死スベシ、慈悲は無イ。ケジメ、付けさせて貰いマス」
出て来る度に半裸神降誕祭と言われる(良い意味で)『裸の王様』が力強く請け負った。
というか、半裸神は本当にそれ位やるからな。
それとニンジャ、お前はいつまでそれで通すつもりだ。
「何としてでも、ここで終わらないとな!」
『エメラルドの都の魔法使い』オズが闘志を燃やす。
「ああ。―――今度こそ、絶対に」
誰も犠牲にならない、させない、全員生還、と、心の中で絶対の目標をなぞる様に確認する。
直接戦闘出来ない仲間達の為に、掲示板に「今から行って来る」とコメを残して、
「皆、行くぞ」
セントラーダ王国第2王子、エドワード5thのその言葉に全員で頷き、私達は迷宮の中を走り出した。




