【行くぜ野郎ども!】セントラーダ第2王子婚約発表舞踏会実況PART 2【お祭りワショーイ!】
はっちゃけ回。
推奨曲:狼が主役のお日さま昇っちゃう系BGM
元はCr○nky氏の「零舞~」のイメージでしたが、分かりやすい方が良いかと思いまして。
どうせやることは変わらないんです(ぼそり)
517:7人の狩人 1番目
きたあああああ!!
518:魔弾の射手
いよっしゃあ、いったるでえ!!
529:エメラルドの都の魔法使い
ただ今地上に到達!参戦する!
日はいつだって昇るのだ!
530:ジャックと豆の木
ちくしょーい、おおかみがメインか
だがこれは盛り上がらざるを得ないぜ!!
うおおおお!!滾るううう!!!
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光学迷彩もどきで隠していた愛杖を空中から掴み取る。
一般人には、杖が何処からともなく突然現れたとしか見えなかっただろうな。
取り出した杖をくるくると回し、スチャッと構えた。
さあ、戦闘準備完了だよ!今から“ガンガン行く”からね!!
獣化した『おおかみ』が会場を所狭しと疾走する後ろから、幻の雷を次々と落とす。
あるいは、壁の照明ランプから幻で炎を導く、さらには幻の氷を降らし、幻のツタを伸ばして牽制。ちなみに此処まで全て無詠唱だ(ドヤ顔)
白雪姫がお辞儀をすれば、スカートの中からリンゴがゴロゴロと転げ落ちて行き、行く先々で派手に破裂する。
対人仕様の威力の低い版か。効果は毒ではなく眠り、いや、見る限りでは恐らく気絶だな。
「魔女!」
応とも、射手!
「いくよ!」
射手の合わせで幻影魔法を発動させる。
弾 幕 だ!
響き渡る音楽も佳境に入り、キラキラした弦の響きが私達を煽る。
曲はますます壮大に、時に勇壮に、苛烈になって行った。
「聞いたことがある。サウバークの悪夢の行進!まさか、これが!?」
「前国王は発狂したと。自身の娘にすら刃を向けたとか」
「た、助けてくれ、死にたくない!」
会場中に悲鳴と怒号が飛び交う。
言っておくがあの時は、いくら広い城の広間だとはいえ、こんな限定された空間では無く、それこそ制限の無い広々とした戦場だったからな。
そこを埋め尽くした死者や亡者、怪物達や、この世界には存在しない機械兵器の行進(半分以上は私達の作りだした幻影だったが)に比べたら、今回の“デモンストレーション”はまだ可愛い方だ。
ま、当時実験中だったイミテーションブルーの性能試験的な意味合いもあったから、手抜きも手加減もしなかったのは事実だが……。
それにサウバークの前国王は王ではなくて、あれはただの簒奪者というのだぞ。
玉座を取り返したから、今では単なる犯罪者だ。
あの事件のせいでSAN値が下がり過ぎて表にすら出られず、人と化け物の区別がつかなくなり、今では城の何処かに幽閉されている、という話も聞くな。主に瓶詰め魔人と青ひげの証言からだが。
まあこれも、一種の因果応報というやつだろう。
王として名乗りを上げた当時、かなり無茶をしたらしいしな。
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679:羽帽子の騎士
お囃子の音って
何故こんなにも気分が高揚するんでしょうね!
常よりもっと技が冴えてるのが分かります!
680:7人の狩人 6番目
テンション上がってキター!!!
681:おおかみさん@う~~~っ絶好調!!
俺なんか最初からクライマックスだぜ!!
682:白鳥の湖の悪い魔法使い
くれぐれもやりすぎて傷を付けたりすんなよ
すんなよ!(真顔)
683:ぬこの王さま
それって対人対物どっち?
どちらにしろそこら辺は
皆分かってるから大丈夫だと思うけどねえ
分かってるよね?(´・ω・`)
684:じゅげむっ!
さて
そろそろ大技行くか
685:エメラルドの都の魔法使い
えめまんいっきまーす!
686:ぬこの王さま
お願い人の話聞いてぇ!(泣笑)
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戦闘中なのに、気づけば皆が笑っている。
曲を聞いて楽しいと、嬉しいという。
こんな機会でもなければ、彼等はそうそう元の世界の音に触れられない。
元の世界に飢えているのだ、私達は。
嗚呼、楽しい。
楽しい楽しい楽しい楽しい。
自然と口元が吊り上がるのを止められない。
仕方が無いだろう。
だって、とても楽しいのだから。
「ふふ」
笑みが零れるのを止められない。
それ位楽しくて仕方が無い。
そう、
これがあるからこの世界は止められない。
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780:じゅげむっ!
おい、灰かぶりが逝ったぞ
781:ジャックと豆の木
あれ?
灰かぶりさんが悪魔に見えるよ (;゜д⊂)ゴシゴシ
782:ぬこの王さま
(゜∀゜)アヒャ
こりゃ完璧にキメちゃってるなー
ま、気持ちは分かるけど!
783:おおかみさん@大満足!
アンデット出さないだけまだ分別があると思うの
けど容赦無いな、さすが灰かぶりさん容赦無いwww
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何か言われた気がするが無視だ無視!
やがて曲のどどん、という重い太鼓の音と共に、この派手な技と魔法のショーも終わりを告げた。
「……とんでも、無いな」
あのエドでさえ少々呆けている様だった。
……む?少しやり過ぎたか?
「おつかれーい」
「ごくろーさん」
「皆もな。よくやってくれた」
近づいて来たオズが缶を放り投げて寄越したので、プルトップを開けてぐいっと一気に煽る。
実はこの中身、いつぞやに作った“MP回復薬”だ。ちなみに通称は『E缶』。
正直自分で消費した魔力など、さほど減ってはいないのだが、一応念の為、な。
飲みながらネットの方に意識を向ける。
ふむ、ネットワークで収集した魔力の方はほぼ空に近いな。ひと月溜め込んでこの程度か。……まあこんな物だろう。
声を掛け合いながら近寄って来る仲間達も、皆各々戦闘態勢を解除する。
元々、戦いにすらなっていなかったのだがな。
招待客らは、衛兵達とねこの王が仕掛けた魔法によってきちんと守られていた様で、一応大きな混乱は無い様だ。
……守られているせいで逆に身動きが取れず、逃げられなかった上での幻影魔法大会だったから、ショックで抜け殻になっているだけかもしれないが。
こちらを捕縛しようとしていた兵士達も皆腰を抜かし、あるいはSAN値の急落に頭が追い付いていないらしく硬直している様なので……まあ、こちらも大丈夫だろう。
……目を見開いているのが大部分の様だが、流石に0にはなっていないよな?
「エド」
斜め後方に目配せをすると、一瞬の間の後、テキパキと指示を出し始めた。
どうやらいつものエドが戻って来たらしい。
「……巻き込んで済まなかったと言うべきなのだろうが、正直ここまでやる必要があったのかと言いたいところだ」
「しかし、あれがすべて幻影ですの?炎も雷も氷の粒も、恐ろしいと思いつつ美しくもあって、わたくし目が離せませんでしたわ」
国王陛下と王妃殿下が近寄って来る。
誰かが「危ないから近寄らないで下さい!」と叫ぶが、陛下方はひと睨みで黙らせてしまった。
これ以上の茶番は必要無いという事なのだろう。
「お騒がせして大変申し訳御座いません。ですが侮られ、その為に仲間達が傷付くのは本意では御座いません故、ここできちんと実力の程を示しておく事も必要かと」
「我が国の魔法使いや兵士が何人束になっても到底敵わない事を知れば、不要な諍いも起きずに済む事でしょう。今回この件について好きにして良いと許可を出したのは、我等と彼等の共存の為、必要と考えたまで。何よりこれ以上国の上が混乱状態にあるのは、対外的にも宜しくありません」
「勝手な判断を致した事、大変申し訳御座いません」
「……もうよい。済んだ事だ」
「「は(い)っ」」
エドと2人、頭を下げる。
これで表向きにも、改めて国が1つに纏まったと取られるだろう。……かなり強引なのは承知しているがな。
だが、何時か言った様に――――――行き着く所まで行った先にあるであろう、全面戦争よりは大分マシの筈だ。
「シンデレラさま!」
「こ、ココッ!?」
父である宰相殿が止める間も有らばこそ。
私達の元へ飛び込んで来たのは、あの可憐な美少女、ココ姫だった。
「心配いたしましたわ!お怪我はありませんの!?あれだけたくさん魔法を使ったのですもの、疲れたりとか、具合が悪くなったりとかしていませんの!?」
子供らしい拙い、しかし真摯な心配。
彼女の優しさに触れ、心がそっと解れる思いだった。
「ええ、勿論何の心配もありません。元々ワタシは魔女ですから、少々魔法を使った所で大して疲れたりしないのですよ。それに少し前程、陛下とエドワード殿下の許可を得て、このお城に魔法を掛けさせて頂きましたから。このお城の中で自由に好きなだけの魔法が使えます様に、そして、外からの攻撃で皆が傷付きません様に、と“願い”を込めてね」
「まあ、シンデレラさまはお優しいのですね!皆がシンデレラさまを嫌っている時も、シンデレラさまは皆の事を愛して下さっていたのだわ!」
…………それは、誤解だと思うのだが……取り敢えず黙って微笑んでおくのが様式美というやつだろう。
こらギャラリー共、笑うな。
「……ココ姫の様に、これから理解して下さる方が増えて下さる事を祈るばかりですわ。さあ、ここはもう大丈夫ですから、お父様の傍にお戻りになって下さいませ」
「あっ、……も、申し訳御座いません!ココったらはしたない事を……」
頬に手を当て、顔を赤くしたココ姫は、とても可愛らしいと思う。
だが、その向こう、娘を迎えに来た宰相殿の目はかなりぎらついている様にも見えた。
「魔女殿」
「……今のワタシは『灰かぶり』です、宰相殿」
「姫の言う事と思って今まで黙って耐えてきたが……魔女め、姫を誑かした事、後悔する事になるぞ」
ほう?ついに本音が出たか。
果たしてそれはどういう意味か、だな。
しかしな、お前如きが言う『魔女』に喧嘩を売ろうなど、分不相応にも程がある。
くすり、と笑って口を開く。
「……呪いを掛けるのは、このワタシの仕事だと思っておりましたが?」
ぐっ、と物凄い形相になる宰相殿。
「お前は、俺の選んだ人間が気に入らぬか」
そこへ、普段通りの――――――まったくもって普段通り、人を凍り付かせる様な低い声が割り込んだ。
まるで開いた戸の隙間から、吹雪が雪崩込んで来る様な。
……雪の女王は今森に居る筈なんだがな。
慌てて顔色を変える宰相殿。
「い、いえっ、滅相も無い……っ!」
見れば、陛下方も苦い顔をされている。
仕事上では有能な方なのだろうが、立場や考え方の違い、それにこういう場での人間性はまた別、という事なのだろう。
「娘を連れて下がるが良い」
溜息交じりにそう言った国王陛下のその言葉に、それ以上宰相殿は見苦しく粘ったりなどしなかった。
彼等王家の機嫌を損ね、ココ姫の将来に影が差す事があってはならないと考えたのかもしれなかった。
悶着が落ち着き、一息吐いた雰囲気になった所で周囲の確認、と思ったその時、背後からねこの王の慌てた声が聞こえた。
「おい、お前ら掲示板見てみろ!」
「え?」
「お、おう」
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897:妖精王
くっ、これはどうにもならんぞ
奴ら警報装置は無視する、警告トラップは対策がとられている、だと!?
おまけに前回のアレで塔の怪物達はまともに機能していない
このままでは……っ
898:雪の女王
いずれトラップが攻略されるであろう事は想定済みよ
だが
嗚呼まさか、茨の蔓が自然と開くなど!
“彼女の王子”は存在しない筈
その為の呪いでは無かったの!?
899:人魚王子
まさか、ありえない
900:マッチ売りの少女
ウソでしょ!?
ねえ誰かウソだって言ってよ!!
何だってこんな事になってるの!?
もうわけわかんないよ!!
なんとかしなきゃなんとかしなきゃなんとかしなきゃ……
902:12の月 2月
一体どうなっておるんじゃ!?
こっちは他の連中止めるので手いっぱいじゃぞ!
奴ら塔の内部まで熟知しておる!
このままではいかん!!
903:親指姫
だれか、たすけてください!
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広間は、先ほどの騒ぎが嘘の様に静まり返っていた。
「エド」
「どうした」
私の顔は蒼白だろう。他の皆の顔色も似たり寄ったりだ。
「――――――災厄だ」
「何があった」
「……」
あまりの事に次の言葉が出て来ない。
「猫よ」
「何が起こったのです?」
国王様と王妃様も、心配そうにねこの王に様子を聞く。
「陛下、王妃殿下、……最悪の事態です」
あの何時も飄々とした態度のねこの王が、事此処に至り、俯きながら絞り出す様に返事をした。
「恐らく、もう止められはしないでしょう」
止められない。森の奥が開く。目を覚ます。
「我々をこの世界に召喚した邪神が、これから目覚めます」
そして掲示板に、最新のレスが付いた。
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999:眠り姫
おはようー
おきた
躁鬱激しすぎ……って前回も書いた様な。




