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童話トリップ!  作者: 深月 涼
第2章 親指姫
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【小さな恋の】親指姫とツンデレガエルをそっと見守るスレ【物語】

 門の付近は大混乱に陥っていたです。

 人ごみの上をスピードを緩める事無くとび越え、わたしは門の外に出たのです。

「!!……人間……っ!」

 鎧を着た数名の大きな男の人達が、興味深そうに周囲を見渡しながらこちらへとやって来ていました。

 一番最後を歩く人は全身をすっぽり覆うフードを頭からかぶっていて、どんな人なのかよく分りませんが、どうやらその人が、この集団に対して指示を出しているようです。

「王様と王妃様は!?」

「多分王宮で指示を出してると思う。それにあの2人じゃ、あいつらの相手にはならないよ!」

 それはそうなのです。王様も王妃様も、他の大きな仲間達と共に魔物と戦えるくらい強い方達です。

 そんな彼らでも、一度戦闘になってしまえば手加減なんてしている余裕は無いでしょう。

「僕達妖精は装甲が紙だから気を付けてね」と言ったのはパックさんでしたか。

 ただの人間相手に出て来てお互い怪我で済めばいいですけど、少しでも加減を間違えれば最悪……。

 

 けれど、鎧を着た男達……武装グループさんの中に私達の声が聞こえた人がいたらしく、その人は何だか嫌な笑い方をしたのです。

「どうやら、ここにいるのはひ弱な連中だけらしいですな」

 ぞっとしたです。

 カエルさん、カエルさんはどこでしょう。

 わたしは慌てて、当初の目的であるカエルさんを探しました。

「そうかもしれないが、油断は禁物だよ」

 フードの人がそう言うと、男の人達は一斉に剣を取り出しました。

 そうして―――――辺りかまわず剣を振り回し始めたのです。

「この辺にある筈なんだ。何でもいい、手掛かりを探せ」

 何を探しているのでしょうか、もしかして妖精郷の入り口です……?

 ですが、そんなもの見つけた所で大きな人間さんには入れないのです。

 ……もしかして――――――この湖に眠る――――――

「イミテーションブルー、ですか?」

 小さく零れたわたしの呟き。

 フードの人は、わずかにのぞく口元を小さく吊り上げた様でした。

「パック呼んで来い!!」

 何処かの誰かがそう叫んだのが聞こえたです。


 もう周囲はパニックになってましたです。

 あちこちを妖精さんが飛び交い、人間さんは剣を振り回します。

 そんな中、ただ1人だけ―――いえ、1匹だけ、人間を睨みつけていたのが―――


 カエルさんなのです!!


「カエルさん!!」

「バッ!?バッカお前!妖精郷ん中入ってろげこっ!」

「カエルさんこそっ!何でここにいるのですか!」

「オレは……っ」

 何故か口ごもって顔を横にそらしたです。

「オレはここの門番買って出たんだよげこっ」

「門番さん、です?」

「……ああそうだよげこ。どうせお前の事、心配でしょうがなかったげこさ」

 顔をそらしたままのカエルさんでしたが、その言葉を聞いたわたしは嬉しすぎて、何かが“ぶわっ”て来てしまったです。

「……ああもうどうでもいいですいなくなってしまったかと思ったですもう2度と会えないかと思ったです見捨てられてしまったと思ったですううう!!」

 感極まったわたしは、思わずカエルさんに抱きついてしまったです。

 あやややや、べたべたになってしまったです?


「ああもうこんな状況で抱きつくなげこ!何考えてんだげこ!とにかくここは危ないから、お前もう帰れげこ!」

 あの時みたいにカエルさん、帰れ帰れって言うのです。

 でも、帰れないのです。……いいえ、今日という今日は帰らないのです。

 カエルさんをこのままここに残したまま、帰るわけにはいかないのです!


「何で一緒に戦おうと言ってくれないんですか!」

 むー、とうなりながらカエルさんを見つめます。

「私はもう、守られるだけは嫌なのですよっ!貴方を守る為に強くなりたいのですっ!その為に、ずっと頑張って来たのですっ!!」

 その時、急に頭上から影がさしたのです。

「親指姫っ!!」

「きゃあっ!!」

 ぐるりと生暖かいものが胴に巻き付いたかと思ったら、勢いよく放り出されていたです。

 視界をピンクのひもが横切ったです。

 どうやらカエルさんの長い舌ベロの様だったです。それで助けてくれたんだと分かりましたです。

 空中でどうにか向きを変えると、目の前に大きな人間さんがいてびっくりしたです。

 きっ、と睨みつけるです。

 怖いという感情よりも、カエルさんを守るんだという感情の方が何倍も何万倍も強かったです。

「風さん、雲さんを呼んでください、嵐を導いて下さいです!―――雷さん、降って来て下さいなのですーーーーーーっ!!」

 ぴしゃーん、ぴしゃーん!!

 両手を掲げると、天からいくつもの光が叩きつけられたです。

「くっ!?」

「慌てるな!たいした威力では無い!」

「このっ!」

「きゃあっ」

 けど、出来たのはそこまでだったです。


 大きな人間は、わたしを叩き落とそうと小さな雷の降り注ぐ中、手を伸ばして来て―――


 ばしんっ!


 後ろを振り返った私が見たのは、カエルさんが木に叩き付けられて、そのまま木の下に落ちて行く様子でした。


「カエルっ!!」

「しっかりしろ!」

「おい、医療班呼んで来い!」

 それぞれわたし達と同じように大きな人間さんを止めようと奮闘していた仲間達も、今の大きな音に気付いて慌てて近寄って来たです。

「カエルさんっ、カエルさんっ!!」

 カエルさん、わたしの事かばってくれたのです。

 かばって木に叩き付けられて、動かないのです。どうしよう、動かないのです!

「君はこっち」

 動かないカエルさんに向かって飛び出した私を捕まえたのは、フードの人間さんでした。


「何だかこっちが悪役みたいだね」

 どこかのほほんとした雰囲気の―――声と私を掴む手の感じからして、男の人なのです。

 その人の事を、わたしは睨みつけましたです。

 だってだって、何かした訳ではないのです。

 わたし達は勝手に連れて来られて、放りだされて、それでも何とか生きて来ただけなのです。

 誰かに迷惑かけたいとか思ってないのです。傷付けたいとか思ってる訳ではないのです。

 なのに、何でこんなひどい事をされなきゃならないんですか!?

 わたし達は生きてるだけで、そんなに悪いのですか!?


「まけないのです」

 わたしはうつむいたままそう言ったのです。

 そうですよ、わたし達は負けません。

「絶対、まもるのですっ!」

 たとえ今、お人形のようににぎられたままだとしても。

 絶対、諦めないのですっ!


 その時でした。

 後ろから声が聞こえたのは。


「ああ、絶対守らなきゃあなんねーぜ」


 周囲がざわめいています。

 あのフードの人も、「あれは……」とか言いながら、驚いているっぽいです。

「そうだよな、親指姫」

 いつもの不機嫌な声では無くて、自信満々な楽しそうな声。

 そんな声を聞いたのは、一体どれほどぶりでしょう。

 滅多に聞いた事のない、明るい声でわたしを呼んだのは……。


「カエルさん……っ!?」


 おっきな、人間さん、です!?


「今度はこっちから行くぜ!」

 いつの間にか差していた剣を抜き、人間さんと斬り合いを始めたですっ。

 こっちはハラハラしながら見ている事しか出来ないですっ。

「日頃の欝憤!!」

 どおりゃあーーー、と叫びながら剣を振り回していますです。

 強いです。人間になったカエルさん、強いですっ!

「やれやれ、それじゃこっちも……」

「きゃあっ!?」

 フードの人が私を少し強く握ったので、思わず変な声が出ちゃいましたです。

 うーっ、く、苦しいのです!!に、逃げなきゃなのです~~~!!

「いっけえ!カッター!!」

「うわっ!?」

 カマイタチみたいな風の刃が握った手をかすめて、ぱっと指が離れました。

 今です!!

「くっ、しまった!」

「ダメダメ、そう簡単には行かせないよ!トルネードッ」

「うわっぷ!」

 フードさんは、突然吹き荒れた突風に顔を伏せましたです。

 これでかなり距離が稼げました。もう捕まらないのですよー!

 それで、今助けてくれたのは……?

「おっまた~☆正義のヒーロー遅れて惨状☆……って、痛い、痛いって!!」

 パックさんでした。……でも何ででしょう、仲間の妖精さん達から攻撃受けてるです?

「パックさん!」

 声をかけると、パックさんこっち来たです。

「ああもう、悪かったってば!で?親指姫、状況は……?って誰!?」

「よう、クソ妖精、とっとと加勢しろやコルァ!」

「口悪っ!てかその声カエルさん!?加勢って……え?そんなの今のカエルさんなら技の一発でも出せば簡単でしょ!?」

「るっせえ!こちとら人間の体なんか久しぶりなんだぞ!手加減なんか出来るかー!!」

「えー!?あー、もー……」

「わ、わたしもがんばるですぅっ」

 飛び出した私の後ろで、パックさんが「しょうがないなー」と本当に仕方なさそうにそう言った、その直後でした。


「飛んでけ!十字放火!」


 どこからか“火”が飛んできて、人間さん達のど真ん中に落ちました。

 ごう、と勢いよく燃えてるです。

 虹色の炎……。

 あの火の色は、今まで1度だけ見た事がありましたです。

「まさか……っ」

「マッチ売り……っ!!」

 ざわざわとしてるです。

 皆がどうして良いか分らなくて戸惑っている内に、森の茂みの奥から人がいっぱい出て来たのです。


 最初に現れたのは、三角布とエプロンをつけた女の子。

 その後ろから狩人さん(3番目の人です)に、ねこの王さまとオズの魔法使いさん。最後に「遅れて悪かったね」と、魔女さんが現れたです。

「これで一気に旗色が悪くなったな」

「さあどうする~?どうするどうする~?」

 ニヤリと悪い人みたいな表情で笑うカエルさんと、何処までも楽しそうなパックさん。

 でも、鎧の人達は引く気、無かったみたいです。

 かちゃりと、剣を構えました。

「おい、やべーぞ」

「うっわあ……」

 さっきの表情のままですが、なんだかお2人とも引きつってるです?

「ようし、ここは一発でっかいのをぶちかまそうじゃないか」

 様子を見ていたねこの王さまが、何だか楽しそうにそう言いました。

「どうする気だ?」

「ちょいと、あまり大事にはしたくないんだがね」

「大丈夫大丈夫。威力の調整はこちらでやるからさ。ほらパック、カエル、『敵』が来たよ」

 ねこの王さまの言葉に、慌てて構えるお2人。

 そんなねこの王さまは、何か空中で手を動かすと光る魔法陣を生み出しました。

 こんな複雑な文様、どうやって考えたのでしょう?まるでルミナリエみたいなのです。

「ようし、準備は良いか野郎共。マッチ売り!炎の魔法準備!」

「はいっ!」

 ねこの王さまの掛け声に、マッチ売りさん……?が応えます。

 しゅ、という微かな音と共に、手元にあの虹色の炎が生まれました。

「次!親指姫!」

「はいなのです!」

 はわっ、こっち来たのです!

「雷の準備!」

「はいですう!」

 慌てて呪文、唱えるです!

「んで最後!カエル、水魔法!」

O.K(オウケイ)!ウォーター!」

「今だ、放て!」

「ファイヤー!」「落ちてください、雷さん!」

 3人がそれぞれ3角形の頂点の位置に立ち、魔法を放つと、その3角形の中央が真っ白に光り輝きました。

「「ぎゃあああ!!」」「「うわああああ!!」」

 その悲鳴に、はっと気づきます。もしかして、やりすぎちゃったんです!?

 慌ててねこの王さまの方を見れば、「さすが俺、初見一発勝負の合体魔法がこんなにキレイに決まるとはな」と満足そうに頷いています。

「ねこの王さま!」

「大丈夫だって、見てみなよ、ホラ」

 落ち着いた様子のねこの王さまの言葉に、わたしは視線を正面……あの兵士さん達のいた方に向けました。

「あ……」

 みんな、気絶してますです?

「とりあえず生きては(・・)いるみてーだな」

「ね?だから言ったでしょ?」

 呆れたようなカエルさんの声をバックに、ねこの王さまは器用にウィンクしてましたです。



 こうして、人間さん達による突然の襲来は、何とかしのげたのです。

 襲ってきた人間の兵士さん達は、この後狩人さんやねこの王さま、オズさんによって縛り上げられて、結界に閉じ込められる事になりました。

 ただ……わたしを捕まえたあのフードの人だけは、いつの間にか消えてましたです。

 謎……なのです。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


854:浮かれ小坊主

    とゆーわけで

    親指姫とカエルの王子様は末長く幸せに暮らしましたとさ

    めでたしめでたし☆


855:星の双子 キキ

    もー

    あの子がブッ飛んでった時はどうなる事かと思ったよー

    でも無事で良かった


856:魔法少女みこっち5 ピュアグリーン

    本当によかったです!


    わたしもう話の途中から

    全力でお2人の事応援してましたもん!!

  

857:幸福の王子

    ふふっ


    まあここは可愛らしい妖精さんに免じて

    素直に祝福して差し上げるとしましょう


858:浮かれ小坊主

    まーたまたー


    幸福の王子様(暗黒微笑☆ミ)

    でしょ?

    ウソはいけないなあウソは


859:怪盗妖狐

    王子さんのねたみひがみはいつもの事じゃないか

    

    けどこれで道が断たれた奴等もいた訳だ


860:発破のフレディ

    ほかにも蛙キャラクターは結構いるからなー

    いいじゃん僕みたいに人間になれる薬でも貰えばさ

    魔法覚えたって良いんだし

    何も今すぐ諦める事無いよ

  

861:アナグマさん

    そうだな

    時間はまだたっぷりとあるのだ

    ゆっくりとやればいいさ


862:魔弾の射手

    でもほんまに王子さんやったなんてなあ


863:7人の狩人 5番目

    今までに称号が変化した例なんてあったか……?


864:ぬこの王さま

    ゲームの頃ならいざ知らずって感じかな

    あの頃はある程度狙って取れたからな

    今回のは上手く条件が合わさったからだとは思うけど……


865:7人の狩人 3番目

    訳が分からんのはマッチ売りの件もだな

    今回森から離れた所で発見された訳だが

    となると他の連中も生きてたりするのか?


866:ぬこの王さま

    さあねえ

    ……少し情報提供求めてみた方が良さそうかな


    まあマッチ売りちゃんについては該当スレでという事で


867:白雪姫

    気になると言えば

    あのフードの男の目撃談ですわ


    いつの間にか居なくなっていたそうじゃありませんの


868:浮かれ小坊主

    あの一件の後

    目撃情報がぷっつり途絶えちゃったからねー


    ほんと誰なんだろ?


869:ぬこの王さま

    現在捜査なう

    つっても目星はついてるんだけどさ

    例によって証拠が……


    でも今回分かりやすく兵士とか連れて来てたな

    いよいよ隠さなくなって来たなあ


870:エメラルドの都の魔法使い

    なんつうか色々こっちも

    手管とか隠さなくて良いとなると心が躍るぜ

   

871:森の魔女

    アンタは少し自重って言葉を覚えようか(溜息)


872:妖精王

    話は戻るが

    結局あの2人は妖精郷を出るそうだ


873:浮かれ小坊主

    あっ


    やっぱり出てっちゃうんだー

    残念


874:妖精王

    出て行くというのを無理に引きとめる事もない

    それが彼等の選んだ道ならばなおさらだ


875:浮かれ小坊主

    せっかく仲良くなったのになー

    あともっとカエルさんをいじって遊びたかった(´・ω・`)


876:幸福の王子

    本音はそこですか


    人の事言えた義理では無いのでは?(にこ)


877:浮かれ小坊主

    そんなことないもーん!

    ちゃんと祝福してるよー!

    それとこれとは別なんだよー!


878:エメラルドの都の魔法使い

    まあそれはどうでもいいや

    カエルさん爆発ついでに新居送るから受け取ってね☆


879:森の魔女

    アンタはどうしてそう素直に……


    で家って?子ブタ共にでも頼んだのかい?


880:エメラルドの都の魔法使い

    いやいやまっさかー


    俺がちゃーんと夜なべして徹夜して昼間寝ながら作ったのよ?

    じゃっじゃーん!

    ドールハウス風防風防弾防火防震結界オール電化ならぬオール魔法の家!


    どうよ!!(ドヤァ)


881:浮かれ小坊主

    うわあ……(手遅れなものを見る様な目)


882:魔弾の射手

    あちゃー……


883:親指姫

    魔法使いさん

    ありがとうなのです!


    皆さんにもご心配かけましたですっ!

    

884:白雪姫

    あら

    この度はおめでとうございますですわ

    

885:森の魔女

    おや


    まあなんだっていいさ

    せいぜい幸せになんなよ


886:親指姫

    はいですっ!!


    ありがとうございますなのですっ!!


887:森の魔女

    ……………



    親指姫ったらマジ癒し(確信)


888:浮かれ小坊主

    魔女さんェ






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