第22話 デートしようぜ!
私がリースちゃんとのコラボ配信を終えて、少し経った頃。
あれからメイクラ配信をして、お家も改良して、少しずつ形にはなってきている。森はすでに完成した。
あと、コラボの要請があった先輩から、何個かコラボを受けさせてもらっているので、そこでのコラボ配信なども今後行っていく予定ではある。
私は電話越しの相手に、これまでの顛末を話していた。
「……でさ、なんとかコラボは終えたわけなんだけど」
『お疲れ様やな。先輩とコラボするん、ウチはまだ怖くて無理やなぁ』
無理とはなんだ、無理とは。
「え、怖い? なんで?」
『や、ウチ緊張しいなの知っとるやろ? やから、ガチガチになって話せんくなる未来が見えるようでなぁ』
「あー、それはそうかもね」
『やろ?』
私は軽く同意する。
電話の相手──伊勢京ちゃんは、色々考えてしまって、本番にそれが爆発してしまうタイプだ。たぶん。
でも、それでも。
「……いつかはするんでしょ?」
『まぁ、それは、そうなんやけどな。いつできるかって問題でもあると思うんよ』
先輩に慣れるのは時間の問題のような気もするけど。でも京ちゃんなりに頑張ろうって気持ちはよく伝わってくる。
「そうだねぇ。うーん、いつぐらいにしようって願望はあるの?」
『……その質問、むずない? 今は"歌ってみた"で忙しいのもあるしなぁ』
『歌ってみた動画』は、京ちゃんのメインコンテンツの1つである。歌を武器にして、登録者数をグングンと伸ばしている現状を考えれば、そちらを優先するのも当たり前のことだろうなぁとは思う。
私もめっちゃ楽しみにしてるからね!
現在、京ちゃんが投稿している『歌ってみた動画』は1本。
次の動画はまだですか!?
「ふむぅ? 進捗どんな感じなの?」
『進捗ダメやなぁ』
「笑いながら言うことじゃないよそれ!」
1つの曲を完成させて、歌ってみた動画として投稿するためには、たくさんのハードルがあるということは、私も体感して知っている。
イラストを描いてもらい、動画を作るとなると作業量は非常に多くなる。
うわぁ、絶対嫌だ……!
私には絶対向いてない!
そして、それをしている京ちゃんまじすごい!
『生歌配信の準備はできてきたから、今度やる予定ではおるんよね。とりあえずそこを過ぎてから悩もうかなと思っとる』
「え、いいじゃん!」
京ちゃんの生歌を聴けるなんて、なんて贅沢なんだ! いくら払えばいいですかー? 投げますよ私! 赤スパチャ投げますよ?
『やろー? まー2回目とは言え、どうなるかはわからんけど』
「大丈夫でしょ。配信はもう緊張してないでしょ?」
『ま、慣れたっちゃ慣れた。少しくらいはまだ残っとるけど、誤差の範囲やな』
「やるじゃん!」
1回、2回と経験して、3回目はこんるるーだからね。いけるよ!
京ちゃんの配信を追っている私からすれば、雑談配信でもゲーム配信でもだいぶ落ち着いているように感じる。
京ちゃんは、歌をあれからそこまで多くはやっていないけれど、今は準備期間。これからたくさん配信することを思えば、京ちゃんのトークスキルを上げる絶好の機会。そう捉えれば悪いことばかりではない。
『やるじゃんて』
「えーそう言うしかないじゃん!」
『あ、そうや。ウチから頼みたいことあるんやけど、いい?』
京ちゃんが思いついたように、私に聞いてくるので、耳を傾ける。はい、なんでしょう?
ふむ、ふむふむ? なるほど?
それは私の専門分野。お得意のジャンルであるが故に、私の答えはオンリーワン1個だけだった。
「わかった、京ちゃん──」
──デートしようぜ!!
次回から、京ちゃんとのデートです。




