少年、楽園の行方
さぁ、どうなるんでしょうか
作者自身眠気と戦って書きました
では、どうぞ。
まだ、ボクが幸せだった頃
人々は誰にも支配されていなかった
多分、召喚獣も人間も
幸せだったじゃないかと思う
だけど、あるとき、誰かが言ったんだ
”ユートピア”を
それから・・すべてが変わった
誰も、避けられない運命となるまで
ボクは、知らずに
のうのうと生きていた
でも・・それは、終わった
一人の男のくだらない計画と
そして、支配による・・すべてに
***
「ノ、ノエル・・・。」
ノエルの瞳は、憎悪に満ちている
村長は、不思議そうな顔をして
「わしのことが嫌い?昔は、あんなに慕ってくれておったのに
あの頃は可愛かった・・嘆かわしいものじゃ」
涙を流す振りをするその存在にノエルは怪訝そうな顔をして
嫌悪しながらも話す
「それ、召喚獣からも同じような事を聞いたよ
何度もいうけど・・ボクはお前が嫌いさ。
なぜなら、お前はとんでもないことをボクたちに
もたらした・・張本人だからさ」
「と、とんでもない・・こと?」
「とんでもないことではない、神が味方にしてくれる
素晴らしい計画ではないか」
「計画・・?」
ピクリっとノエルが反応し険しい顔になる
俺は、その言葉を聞くなり唾を飲んだ
何故なら、妙な緊張感が支配をした
「冗談じゃない。ボクは認めやしない。
”神”を造ることは禁止されていることだ。」
その言葉は静寂へと変化する
「・・少し、黙ったほうがよいな。」
パチンっと音を鳴らすと
「グァァァ」
ノエルは呻く
ますます、蔦が広がり
ノエルは苦しむ
「ノエル!!」
苦しむノエル
そして、そんな中でアニマが前にくる
(ヤハリ・・オマエタチハ・・トンデモナイコト
ヲシタノダナ・・。)
アニマは前にでる
それは、驚きと・・そして、怒りだ
「これはこれは・・”アニマ”様じゃないですか・・。
神獣がここにいるとは驚きました」
その言葉に俺はさらに驚く
「ええっ・・アニマ、神だったの!?」
(・・ムカシノハナシダ。イマハモウカミデハナイ)
そして、村長はククッと笑う
「伝説どおり、封印されていたようだ・・・神に
逆らった・・神獣”アニマ”」
(・・・。)
アニマは黙った
「アニマ・・?」
(モシ、オマエガカミヲツクルキナラ・・ヤメロ
・・・サイダイナフカガクルゾ。)
アニマはキッと村長を睨む
「だから、その負荷はもう受けている
そこのあざをもつノエルがその証拠だ」
すると、ノエルは嫌悪と苦しみの瞳を向ける
(・・!!)
アニマはふいにノエルを見つめた
俺も同じだ
「ノエル・・が・・?」
ノエルは苦虫を噛み潰す
そして、痛みと苦しみを耐えながら
笑うのだ
「なんで・・。」
「・・・それが、ボクなんだよ旬
軽蔑した?」
「俺は・・軽蔑なんてしないよ。」
俺はふいに流れてきそうな涙を見せないように
下を向く
「旬・・聞いて。ボクの過去を」
「・・うん」
「やめろ、話しても何も徳などないぞ!!
もう一度苦しみたいのか?操り人形のお前に」
「ふん、ボクにはもう何も徳などない
それに、膿は出すべきだよ・・それが
今がその時だ!!」
強い氷が村長を襲う
村長は弾きだされる
「ぐぁっ・・。」
うめいて苦しむ姿が見える
そして、呪いが引いていくのを見たノエルは
立ち上がる
「ノエル・・大丈夫なの?」
「ああ・・大丈夫だよ。おかげで少し、呪が楽になった
それよりも聞いほしいことが・・旬」
俺の肩に強く掴むノエルは
どこか切羽つまっていた
「わかったから・・落ち着いて」
「ごめんね・・みんなも聞いてくれ
この村長と名乗る奴がした・・すべての始まりを」
女であるノエルの瞳は
絶望と憎悪だけが支配された瞳を向けられ
俺はゾクっとしたのだ
当の村長は弾きだされて気絶しているのが見える
どんだけ、ノエルの力が強いのか不思議だ
でも、この話を聞けばノエルのことが分るかもしれない
「昔は召喚獣も人間も仲がよかった。信じられないかもしれないけどね」
「そうなの・・?」
「そうだよ。昔は召喚獣と共にあったんだよ・・本当に」
「じゃ・・なぜ・・。」
「・・すべてはユートピアが始まりだった」
「ユートピア?」
「ジゼルくん達が目指している世界さ。完全なる幸せな世界
誰も苦しむこともなく楽しく暮らせるまさに永遠の楽園の
話しさ」
楽園・・。
それはどんな世界なのか俺すら尊像できもしない
未来だ
そして、話は続く
「そして、ユートピアの計画により、ボクたち召喚士は
ユートピアに移住する話が出たのさ。それからなのか
ボクたちは・・いや、誰かが言ったのだよ。」
「何を言ったの?」
「”ユートピア”の召喚さ」
「しょ、召喚・・?」
なんか、壮大な計画だね・・。
うまくいくのか・・?
「ユートピアの行き方を知らなかった。だからか
ユートピアに行くために・・それだけの力を持つことができる
召喚士の育成が必要だった。」
召喚士の育成・・。
それは、信じられない言葉だった
「・・それからかな・・・どこからか、話が崩れて
やがて、最強な召喚士を造ることが神に繋がるように
なり誰も止められなくなるほどの狂気に繋がるとはね」
「・・・。」
狂気・・。
俺はブルっと震えた
とても、寒く感じたのだ
「・・狂気は進みユートピアを争いが始まった
加担したのは召喚獣だった」
「・・召喚獣・・?」
そこには、ジゼルたちは黙っている
皆、ただ聞いているのだ・・。
俺は静寂の中にいた
それは、とても悲しく虚しい話
「争うのちに召喚獣と対立が始まり・・そして、勝ったのは
人間だった」
召喚獣たちは、黙ったままだ
「負けた召喚獣たちは奴隷になった
それが・・召喚獣たちが恨む原因さ」
でもね・・とノエルは言うのだ
「勝つことはすべてじゃなかった・・・
やがて、村は・・禁忌をおかした。それは・・・
人工神という・・とんでもない・・実験だった」
俺は何も言えなくなった
「とても、恐ろしい実験だった。
狂気が狂気を生んだ・・最悪の実験だった
それが・・召喚士一族の一つ目の秘密だよ」
「一つ目の・・秘密・・。」
どういうことだ・・?
でも、人工神の話・・一つ目の秘密には
まるで、実際にその現場を見てきたのように話すのだ
それに、疑問を感じたのだ・・俺は
「ノエル、君は・・・。」
あの村長が言ったことを思い出す
ノエルもまた・・人工神の被害にあっていると
気づいたのだ・・。
すると、ノエルは苦笑い肯定したのだ
「・・・そうだよ。ボクはそうだった。
村の為と思いながらとその実験で酷い目にあったのさ
確かに、あの実験でボクは力を手に入れた・・でも
未来は・・失われたのさ・・召喚士としての誇りも
どこか置いてきてしまった」
向けると、こちらを睨んでいる男が見える
「しょ、しょうかんし・・。」
ジゼルは心配そうに見つめる
尚も話を続ける
「未来を失ったボクは・・なにもない空虚だ。」
「でも召喚術は使えるはず・・だよね?」
「ううん。ボクにはもうその資格がない。
使えないのは・・そうだね・・理由があるのさ」
ノエルの瞳は悲痛だった
それは・・どこまでも哀しみの瞳だった
「旬・・そんな顔をしないでよ」
「・・だって・・。」
「ボクは・・君にこの話をしたことを後悔していない」
俺はきっと辛そうな顔をしているだろう
どこまでも心が痛い
「旬がそんな顔をしたら・・ボクは悲しくなるよ」
苦笑するノエル
「でも、ボクは許せない存在がいる」
目を向けたのはそこにはすごい目で俺たちを睨む存在がいた
「貴様・・わしに歯向かうと村がどうなってもいいのか?」
「・・そうやってボクを脅すところが嫌いな一部なのさ
脅すことしかできない低俗で愚か・・でも、もう
・・遅いけどね」
「遅い・・そうだな、お前はあの日から奴隷になったのだ
わしのな・・!!」
「・・・。」
無言で黙るのだ
俺は心配になり声をかける
「ノエルがそんなわけが・・。」「そうさ・・。」
「えっ・・。」
「ああ、そうさ、ボクはあの村の奴隷だった」
それは、否定もなにもない
事実を語る
「・・!!」
認めた・・ノエルが!?
「だから、逃げ出した。このあざも・・奴隷の証さ!!」
「ふはははははっ」
男は笑うのだ
当然、他の召喚獣たちは怒りを増幅させるのが見える
静かに怒りをだしているのだ・・
「貴様・・許せない!!」
それは、白い龍の姿になった
リンドの姿だった・・。
楽園は誰のためにある?
ボクは問いかけた
でも、誰も問いかけてはくれなかった
あの人は、楽園が素晴らしいと言ってくれた
ボクはそれを信じていた
たとえ、裏切られても
ボクはたぶん忘れないだろう
(主、飴をあげる)
「ああ、飴・・ありがとう」
受け取るボク
「誰からもらったの」
すると、召喚獣は後ろを振り向いて
「この方からもらいました。主が辛そうだったので」
ニコっと柔和に笑う笑顔
「飴・・美味しいかい?」
ボクは思わずコクンっと頷いた
そして、笑う顔が今でも覚えている
優しく笑ってくれて
それは、ボクも召喚獣も
同じ気持ちのはずだったのだ・・
でもそれは・・随分、昔の話だ・・。




