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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
召喚士村 ~神に愛された一族~
91/485

少年、白き美しい獣

さぁ、91話目です。

今回はいよいよあの方と・・・?


別れは近くて

とても寂しいのだ


ワタシは・・楽園に帰りたい

それは義務だとワタシは思うからだ


でも・・。


本当は、どうなんだろう?


帰りたいだろうか


義務が重すぎて


ワタシは・・分らない


ふと、思い出すのは幸せだと感じていたあの頃


そして別れがきたその日


今も思い出せば思い出す程・・寂しく感じるのだ・・。



               ***


俺たちは神殿へと向かう道を歩いている


先ほどのノエルは酷く動揺していた

そして、哀しそうに笑うのだ

なんで・・そんなに哀しそうなのか

俺には・・分からなかった


なぜなら、ノエルはとても悲しい顔をしていた

でも、それだけじゃない


今のノエルは神殿が近づいていくだけで


「ノエル・・。」


ノエルは険しい顔をして・・そして痛そうな顔をするのだ


「・・・?」


俺はその様子ただ、後から着いて行くことしかできない

時折、ノエルは

何故か・・とても懐かしそうにただ神殿に向かうのだ

それが、何故なのか俺にでも分らない


その時、ピタリっとアニマが止まる

そして、フンフンっと臭いをかぐ。


(・・イル)


そうして、射抜くのだ


「アニマ・・!!?」


毛を全身に逆立ちする

その反応の強さに俺たちは立ち止まる


(ゴシュジン。ツヨイ・・ツヨイジュウノケハイダ!!)


「・・どうやら、俺たちを待ってくれたようだ

 こんな妙な空間で待っているぐらいだから。」


その世界はどこまでも異空間に見えてきた

水晶で囲まれているのに

なぜか、どこか異様に感じたのは

きっと、俺だけじゃないだろう


その神殿には、人型化した獣が俺たちを待っていたように

じっと見つめていた


「・・・。」


ノエルは黙っている


俺はといえば辺りを見渡した


様々な髪質と色を持った獣

人型でもその異質さはやたら目立つ存在


もちろん、ユニコーンでもあるジゼルの人型の姿も見える

そして、その中心には・・。


祈りを捧げている存在がいた

そして、俺たちに気づくと立ち上がり


ニコっと笑う

長いシルクのような髪と翡翠の瞳が俺たちを射抜く


「待っていましたよ」

「・・・!!?」


「ワタシはリンドと申します」


より儚い印象がある青年はリンドと名乗った

その青年をみた瞬間

ノエルは・・黙って空を見上げた


「どうやら、役者はそろったみたいだ・・。」


ノエルはポッリっと呟く


「え・・。」


その途端、神殿の様子が変わる

グニャグニャっと空間が曲がるような音がした


「ぐっ・・。」


足元がなくなるような奇妙な感じ

気持ち悪くなる・・。


アニマは警戒して


(ゴシュジン!!ダイジョウブカ!!)

「うん・・・だけど・・気持ち悪い。」


この空間の曲がる感じはどうも好きにはなれそうにもない


ノエルを見れば

平然と無表情だった


恐ろしく冷たい瞳だ。

先ほどの憂いを秘めた瞳はもう・・無い。


ピタリっと音を立て空間の曲がる音が消えると

同時に気持ち悪さがなくなった


「一体何が・・。」


すると、リンドはニコっと笑い


「少し空間を曲げさせていただきました」


「・・・ボクとしては、なぜ、空間を曲げる必要性があるのか

 わからないよ。」


すると、周りは騒ぎ始める


「な・・リンドさまを侮辱する気か!?」


「やめなさい。」


その鶴の声・・一つで辺りが静まる


「・・・。」


ノエルは黙る


「久しぶりですね。我が元主よ」


その声に俺たちは驚愕の瞳を向ける

ノエルといえば平然としている


「あ・・あの、ノエル?」


「あ・・うん、旬。びっくりした?」


平然とした顔で俺を見る

俺は呆れて


「びっくりどころじゃないよ・・何

 元主って・・。」


「ああ・・そうだったね」


ジッとその青年を見てノエルは溜息をついて


「アレは、ボクの昔の召喚獣なのさ・・”今”は関係もない

 赤の他人さ」


すると、リンドは黙って


「おいたわしい。昔は可愛かったのに

 今ではただの無愛想になりそこねたのですね。」


そして、袖で口元を隠す


「ボクが哀れだろうと・・どうでもいいのさ

 ただ、目的があってボクはここにいるのだから。」


そして、ノエルは杖を構える


「役者は揃った。でも、ボクとしては・・君の

 この可笑しい世界を止めるだけさ

 さぁ、誰から相手なの?ボクが相手になるよ?」


すると、リンドはスッと無表情になり

口元から袖を離す


「いいでしょう。お前たち行きなさい」


「はっ・・。」


そこには、大地色の髪と瞳をした少年

そして、黄金色の瞳と髪をした女性


「我が名は、コカトリス。」


淡々と自己紹介をする

が、隣にいる女性は茶目っ気に


「我が名はサンダーバード・・この世でもっとも

 美しい羽を持つもの。美容はかかさないわ。」


その余計な一言と共にそれぞれの獣の姿になった

一つは鳥のような姿。

もう一つは鳥だけど、どこか神々しい姿


「旬、いくよ」

「ええ、俺も!?」


「当り前だよ・・今度のはかなり強い」


「そうなの?」


アニマはうんうんっと頷く


「なんだか・・怖い」

「怖がっている場合じゃないよ。旬」


そういってノエルはいつでも戦闘ができるように陣を

造っているのが見える


「でも、早く終わらせないとね」


その瞳にノエルは驚くこともなく平然としたままだ


「なめられたものね」


サンダーバードの声に

その声にノエルはククっと笑い


「・・なめているのはどっちなんだか」


「な・・なんですってぇぇぇぇ!!」


カッカと怒る召喚獣だ

ノエルは、造った笑みを浮かべて


「短気は損気・・その言葉知っている?」


ノエルはニヤリっと悪徳笑う


「くっ・・許せないわ」

「シュリ、何をしている。敵に心を乱されるな」


コカトリスの声に


「わ、分かっているわよ。うるさいわね。トアリス」


ヒステリーに叫ぶ。

どうやら、サンダバードの名はシュリらしく

そして、コカトリスの名はトアリスと名乗っていた


「私があのオチビちゃんの相手しようかしら」


すると、鋭い氷刃が飛んでくる

雷の壁で氷刃を避ける


「ヒュ~、怖いわね~」


「・・あなたの相手は、ボクですよ」

「ふん、あなたなんて。雷でコゲコゲにしてあ・げ・る」


その強気の女の発言にノエルはハァ~っと脱力して


「コゲコゲになるのはどっちなんだか・・。

 ボクはそういうの好きじゃないので・・。」


そう呆れるノエル

シュリはギラリっと瞳を向けられる


「後悔するのはどっちなのかしらね・・。」


その怪しげな笑みを浮かべたのだ


一方、旬の方では


「貴様の相手は私だ」


「・・怖いよ・・なんか、こっち見てる」

(ゴシュジン、オビエルナ)


「そういうアニマ、何俺の後に隠れているの?」


なんとアニマは旬の後に隠れている


(ダッテ、アレ・・メヂカラコワイ)

「ああ、分る気がする。目が強いよね・・鶏に似ているよ。」


(ニワトリ?)


「ああ、俺たちの世界では食用だよ」

(ブブッ、ウケルゥゥ。)


とケタケタとアニマは笑う声がすると

ギロリっと睨むトアリス


鋭く俺たちを睨む瞳はかすかに怖い


「失礼なやつらだ。だが、それもすぐ終わる」


すると、二匹は目を細めて


「「いざ・・参る」」


そして、コカトリスの先制攻撃がくる

ノエルはサンダーバードと対峙している


「まず、私がやらせていただく」


息を大きく吸っているコカトリス


”ペドロブレス”


と風が吹きかけてくる


その風は普通の風とは違う


なんとか感じていたが

アニマが声をかけてくる


(ゴシュジンサケテ。)

「うわっ」


慌てて避けると


「ひぃ~、石になっとる!!」


なんと、その場所が石になっているのだ!!

しかも、そこは旬がいた場所よりわずか一ミリずれている

もし、ずれていたら旬の身体は石になっていただろう


背筋が寒くなる

アニマは関心するかのように


(サスガ、コカトリス。イシヲカエルソノツヨサ・・

 スゴイネ。)


「まだ・・だ」


スゥ~っと息を吸って再び襲いかかる


「なんだよ。あの風、なんで石になるの!!」


アニマは避けながら解説する


(フツウノカゼジャナイサ。ナゼナラ

 ヒトヲイシニカエル・・マショウノ

 カゼナンダカラ)


「早く言ってよ・・怖いィィ」


怖い、怖い、と叫びながら旬たちは避けつづける

そして、強い風を感じた


その風が、旬は避けきれなくなった


「うわっ・・」


目の前が暗くなろうとすると

アニマが目の前にきて


(ワスレテモラッタラコマル。)


そういってアニマは素早く


(ウィンドゥブレス)


強い風と風が相殺される


「さすが・・だ」


(マダマダ、コレカラダトイウンダヨ・・コカトリスクン)


「・・・!!」


拮抗する力

負けられぬ戦い

今・・始まる・・!!






なんだか、これからどうなるか分らない程ですね~

前途多難な予感です

でも、旬は案外・・?

では、また次話で

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