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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
召喚士村 ~神に愛された一族~
90/485

少年、古き想い

今回は、召喚獣の名前はありません。

想像上で構いません。

むしろ、想像してください。

では、どうぞ!!


描写はあんまりないです・・すみません


あの頃は信じていた


この天国のような階段も


すべて信じていた


でも・・それは遠い昔の話になるとは


誰も思わなかったのさ・・。



苦しい


幼い召喚士はただその階段に座り込んだ

子供の身体ではこの螺旋階段は無理だったのだ


「まだ・・とおい」


そう呟いた


「   」


その幼い召喚士の名を呼んだ声がした


「きてくれたの・・・?」


召喚士は息を整えながらその人物をみた

それは・・。


獣だった

それも、優しい獣だ。


その手にあるのは・・


小さな青の飴玉

召喚士は、その飴玉をもらうと

すぐパクっと口に入れる


「ありがとう・・らくになったよ。」


すると、獣は嬉しそうに笑うのだ

幼い召喚士は、その姿を見てほがらか笑う


「さぁ、あと少しだ。行こう」


コクリと獣は頷いた


「きっと・・この先には楽園があるよ」


獣と召喚士は階段へとまた昇る


それは、召喚士が”天国の道”だと信じていた頃だ


それはずっと昔の物語

誰も話すこともなく

誰も知らない

小さな思い出だ。


それから、幼い召喚士が真実を知るときまで・・。

その優しい関係は続いたのだ・・。


その関係もいずれ終わると知らずに・・。


                *****



目の前に現れた召喚獣の群れは

俺たちに迫る

だけども、召喚獣たちは名乗ることもなく

俺たちに向かっていくのだ


「かかれぇぇっぇ」


その声と共に一斉に俺たちに向かってきたのだ


(ゴシュジン、イッキにオワラセヨウ)


「うん。風の魔法で」


(ソウダ・・イクヨ)


俺は杖を持って唱えるのだ


「風よ俺に力を貸せ・・。」

(風よ・・。)


杖が淡く光る

アニマの遠吠えが始まる


「「ブラスト」」


鋭い風が爆風を起こす

そしてその爆風に巻き込まれ

召喚獣は一瞬で倒れる

それでもまだ半分だ。


「まだ半分だよ・・どうしよう」


(ゴシュジンモウイチド)


アニマの声がする

俺は杖を握る手を強めて


「そうだね。」


もう一度杖で再度魔法を使おうとすると

ノエルが制する


「大丈夫」


「え・・。」


そこには、ノエルが怪しげな笑みを浮かべている


「で・・でも、このままじゃ」


「ボクに任せて」


「え・・。」


(・・・ドウヤラデバンハナイヨウダ)


アニマは大人しく座り込む


「ア・・アニマ」


(ゴシュジン・・ミテミナヨ。)


「・・。」


目の前にはノエルの瞳は力強かった

だが、召喚獣たちはそのノエルを笑うのだ


「そこのひ弱そうな奴が相手するのか?」


「ひ弱・・。」


ポッリっとノエルは呟き

やがてその群れに対して嫌そうな顔をして

皮肉に呟いた。


「まぁ、ボクたちを襲うつもりがなんだか面白い。

 だけど弱はどちらなんだか。」


「なんだと・・!!」


雷の攻撃が一斉にノエルを襲うがノエルは避ける

それも身軽く


「でも、ボクはそんなのどうでもいい。」


無表情にノエルは呟く

その、途端、空気が冷たくなる


その冷たさに旬はブルっと来たのか

寒さに震える


「寒くない・・アニマ」


(ドウヤラ、ツヨイ・・コオリマホウダ。)


それは、とても強い力

俺は、驚いたのだ


水晶がどんどん凍りだすのを・・。


「な・・。」


自分たちが吐く息が白くなる

冷えていく・・。


そしてノエルの無表情はとても怖い

まるで、氷のようだ。


「君たちのことは、ボクとしては恨みはない。

 だけど、ここまでだ。」


すると、ノエルは杖を地面にカンカンっと音を出す

ノエル周りがピキピキっと音を出して

凍っていくのだ


「フリーズ」


それは、旬がかける魔法よりもとても

精密で強い魔法


「俺が使うより強力だ・・。」


その旬の声よりも召喚獣たちは動けない

それどころかやがて身体が凍っていくのだ


「き、貴様・・。」


ピキピキと音を立てる

足から身体・・全身へと凍り始める


俺が使う魔法よりか強い氷魔法を使うノエル


「くすくす。ボクは・・属性は氷だからね」


こんなの朝飯前。


「お・・覚えていろ」


召喚獣たちが騒ぐ声が聞こえる


「残念。次に会うときは・・もう、忘れているよ」


すると、氷で次々と召喚獣たちは凍漬けになる


「おぼえて・・いろ」


ピキピキ・・ピキン


冷たい彫刻になった

すると、すべての召喚獣たちは凍漬けになる


「はぁはぁ」


ノエルは杖を持ったまま脱力する


「ノ・・ノエル。なんて無茶を・・・。」


「こんなの朝飯前だって言ったでしょ・・?

 でも、きついね・・こんな強いと」


息を整えながらノエルは立ち上がる


「さぁ・・行こうか。」


「行こうか・・って・・このまま放っておくの?」


ノエルはコンコンっと氷の彫刻化した召喚獣に触れる


「な・・!!」


冷えた空間が支配される

動くことができないまま俺たちを睨む瞳

それは憎悪だ。


俺は、その瞳に恐れた

だけど、ノエルは動じることもなく


「ごめんよ。」


ノエルはただそう呟いた


「・・。」


俺は静かにその場を見ていた


「ボクは、無益な争いは好まない・・すべて終われば

 君たちは・・自由だ」


そう、彼らに問いかけたのだった

その時、召喚獣たちはノエルを見て

ただ、見つめていたのだ


「すべてを終えた後にボクを恨んでくれ・・。

 ボクはそれでも構わないから」


「・・・。」


俺は何も言えなかった


ノエルはそのまま何も言わず

先に行ってしまう


(ゴシュジン・・ノエルハ・・ヤサシイ)


「・・そうだね。」


俺はチラリっと彫刻を見た

召喚獣たちは先ほどよりも少しだけ穏やかに見えたのだ


それも、憎しみよりも・・。

そんな彼らを眺めるをやめて

俺はノエルの後を追うことにしたのだ


そこには、ノエルがただ黙って歩いている姿が見えた


「ノエル・・。」


「・・・・。」


ノエルはただ黙っている

フードで自分の姿を覆っていて表情が見えない


無言だけが支配されながら俺たちは進む

ただ、進む・・それだけだ


「旬。」


「な・・なに」


ふいに声をかけられ俺は、驚く


「ボクは・・彼らの心は鎮めることはできなかった」


ノエルはフード越しからの表情は何も見えない


「・・・・。」


おれは、何も言えない


「ああするしかボクにはなかった」


「・・・。」


ノエルの拳が強く握られる


「・・馬鹿だよね・・ボクは」


そう呟いたのだ

立ち止まって、うつむいているノエル

俺は・・。


「馬鹿じゃないと思うよ」

「え・・。」


そう馬鹿じゃない

ノエルは、召喚獣のことを考えていたからこそ・・。


「傷ついてほしくないのは、同じだから」


「・・・旬・・。」


そうだ・・俺は彼らを傷つけるためにいるわけがない

だけど・・俺だって彼らと何も変わらないかもしれない


だけど、その答えが神殿にあるのなら


「行こう、ノエル。」


「・・・・・うん。」


俺たちは、また走りだすのだ・・。

神殿への道はどんどん近づいていく


だけども、水面下の下では・・ドロドロとした気持ちが

そこにあったのだ・・。



              ***


暗闇の底に彼らはただ待っているのだ

神秘的な場所には、それぞれの獣がただいるだけだ


そして、一体の獣がジゼルにヒソヒソと耳打ちする


「どうやら、ここにくるようです」


「・・・そうか。」


ユニコーンであるジゼルは呟く

そして、伝えるためにジゼルは行く


「・・・さま」


ジゼルは、トコトコと神殿で祈りを捧げている存在を見た


それは、神よりも美しく

そして、どの召喚獣よりも神秘的な存在


「どうやら、ここにくるそうです・・。」


「そうですか・・彼らはここにくるのですね。」


ソレは、分かっているかのように前を見据えるのだ


始まる音

それぞれの想い

ただ、そこに嘆くだけいる


始まりは・・すぐ傍に



ノエルの優しさ

旬の想い


水面下なドロドロとした気持ち

それぞれの想いが書かれた次話をどうぞお楽しみに

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