少年、獣の追撃
さて、この冒とくは・・誰でしょうか・・?
嘘だと言いたい
これまでずっと共にあった存在なのに
なぜ、牙を向ける
なぜ、そんなに憎悪をしている
私は、何が間違っているというのだ
召喚獣たちは・・何を憎んでいるのだ。
なぁ・・誰か、教えてくれ
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顔をあげたノエルは涙で顔がぐちゃぐちゃだ
ラミアは、ノエルにハンカチを渡す
「ほら、貸すわ」
すると、ノエルはキョトンっとするが
ラミアを見て・・ニコっと
「・・・ありがとう」
そういうと、ラミアはそっぽを向いて
「ふ・・ふん」
頬が赤くなっている
どうやらラミアは照れているようだ
「ほら」
ラミアが手を差し出すとノエルは嬉しそうに握るのが
見える
その和やかな光景を見ながら
「旬、どうする?」
「・・とりあいず、急ごう。」
「だが、もう・・村は」
ジンの顔は曇る
「まだ、・・だよ」
すると、ジンはハッとする
「俺は・・諦めていないよ。諦めたら・・
きっと後悔するはずだから」
だから・・だから
後悔しないようにしたい
俺が出来ることをしなければ・・。
ゴソゴソっと本を出す
「旬・・?」
ラミアたちが不思議そうな顔をする
すると、ハッとした
「ま・・まさか」
そう、ラミアたちが思っている答えかもしれない
俺は息を吸って、本を開く
読めないはずだった本には
不思議と読める。
ペラペラっと開けたソレには
アニマがこちらをみている画が見える
俺は、信じるために
そして・・終わらせるために
再び、この本を使おうと・・思う
「我の名は旬。契約によりその姿を現せ
”アニマ”」
すると、本が光り
陣が現れる
すると、浮き出てきたのは
(オヤ、ゴシュジンサマ)
そこには、くぁ~っとなんともいえない
のんきな顔をしたアニマがいた
「のんきすぎるな・・。」
ボソリっとジンが呟く
ラミアはハハッと笑う
ノエルは驚いたかのように
「・・・アニマ・・。」
と呟いていた
アニマは現状を確認するようにキョロキョロっと
見渡していたが
やがて・・何かを確信したのか
「アニマ、ごめんね」
(イイヨ。ヒマダッタカラ)
そういってピョンっと起き上がって
大きく伸びをする
(デ、ヨウケンハ・・トイイタイトコロダケド
ゴシュジンタチノカオヲミテ・・イソガナケレバ
ナラナイトコロニイクンダネ・・?)
「・・・ああ。お願いできるかな。アニマ」
すると、アニマはニコっと笑う
穏やかなのか
のんびりとした口調で
(モチロン。イイヒマツブニナルヨ。
クサヲクウシカナカッタシ。)
同意してくれたことにより
旬はホッとした。
もしかしたら、アニマも・・。
とか悪い方向に考えていたからだ
「ありがとう。アニマ」
(フフッ。サァ、ソトニデテ
ゴシュジンサマタチ)
そういって催促されるかのように外にでると
そこには、アニマが感じ取るかのように
目を瞑るのが見える
(ソウナノカ・・・。)
ざわめく森に、アニマは何かを感じ取っている
「・・アニマ?」
(ゴシュジン。イソガナイトイケナイヨウダ)
アニマは、森の外の方面を見て
険しい顔をする
「でも、どうするの?」
(ソンナノ。キマッテイル。)
ニヒルに笑うアニマに旬はゾゾッとした
(コノアニマ。カゼノゾクセイヲツカウヨ
ダイジョウブ。)
何が大丈夫なのか
アニマは空を見つめて方向を見定めている
その方向はもちろん、森の外だ
ノエルはジッとしていて何も喋らない
ラミアは嫌な予感がするのか
「なんや、アニマ。あんさん何をする気なんや」
(マァ、ミテイテヨ。)
ニコっと笑う
「し、旬。」
旬にすがりついてくるラミアに
「だ、だいじょうぶだよ・・多分」
確証のないことをラミアに話す俺
すると、大きな風が揺らいでくる
それも、強い風が
「ア・・アニマ」
(ジカンガナイ。ダカラ・・トバス)
物騒で恐ろしい声
その一言に
「え・・浮いている・・ってぎゃぁぁぁぁ」
浮いていることに少し喜んだが
それは、束の間だ
すると、突然、風によって強く飛ばされていく
アニマも当然、旬の傍で平然としている
ラミアは突然の風で身動きができずに
暴れまわる、もはやパニックだ。
「うぎゃぁぁ、なんやねぇぇぇん」
「うがぁぁぁ」
ジンも飛ばされているようだ
ノエルも飛ばされている
「あはははっ、面白いね~」
なぜか、ノエルだかは笑っている
その姿に俺たちは何も言えない
「うきゃぁぁぁ」
俺たちは絶叫しながら
飛ばされていく
だが、それもどんどん慣れていくと
ラミアはのんびりとした顔で
「快適やなぁ」
のんびりとくつろいでいた
「もうすぐ、戦いだというのにのんきだな」
ジンの呆れる声が聞こえる
「ふん、どうせ今のうちに体力を温存しといたほうが
都合がよいはずなんやで?」
ラミアの力説にジンはそうだな・・っと
「確かに、これからの戦いは辛くなるしな」
なるべく、身体を使わないように飛ばされていくジン
そんな、会話が続けられていく
俺はといえば、もちろん慣れていく
アニマの風によって飛ばされて
どんどん、森を超えて
見えてくるのは・・。
(アレダネ)
そこには煙がたっているのが見える
「・・旬。」
見える森に、ノエルは不安になり俺の服をギュっと握る
そのノエルの表情は俺たちが知っている
怯え
不安
恐怖
多くの不安の顔だった。
俺は、だから言えることは一つだけだ。
「大丈夫」
「え・・・。」
ノエルは目をパチパチっとする
「俺たちが、何がなんでも味方でいるから
それに、なんとかなるような気がする」
そう、なんとかしなければならないのだ
もう、これは止められないのではない
そんなことどうでもいいことだ。
止める。
それだけだ・・。
「なんとか・・なる。」
オウム返しをするノエルに俺はニコッと笑った
「そう。だから・・大丈夫。」
大丈夫・・。
これは、強い言葉だ。
その言葉は・・無敵の呪文でもあるはずだから
その強い旬の瞳にノエルはジッと見つめている
心なしか服を握る手が強まったような気がする
そして、アニマはそんな二人を見つめながらも
村の方面へと風を強める
(ゴシュジン。ミエタヨ。)
見えてきたのは・・。
「暴れている・・!!」
そこには、召喚獣たちが暴れているのが見える
「なんて・・酷いことをするんや・・。」
ラミアは口を噛み締める
「・・これが、現実ってことか・・。」
ジンは、村の状態に何も言えないようだ
「アニマ!!」
そこには、村人が人型になった召喚獣に襲われている
姿が見える
(オロセダネ?ワカッテイルヨ!!)
すると、急激に風は俺たちを真下に下ろすために
強く引き込む
「うわっ」
(イクヨ!!)
アニマが、下へと下ろす姿に
「準備はええか」
そこには、ラミアが武器を構える姿が見える
ジンも剣を取り出すのが見える
「うん。ノエルは?」
ノエルは、杖を持って
強い意思で
「うん、ボクも。用意はいつでもできている。」
俺も、杖を持っている
ラミアは呪文を呟く
「シーフ。奥義”技盗み”」
と呟く声が聞こえる
どうやら、ラミアはもう攻撃態勢に入っているようだ
もう、戦いは始まる
何が起ころうが
何が始まろうが
俺は・・逃げはしない!!
次回は戦闘描写です。
これからどうなるのか・・
それは旬次第なので・・。
では、また次話で。




