表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
召喚士村 ~神に愛された一族~
78/485

少年、ざわめく森

さぁ、78話目になりました

どんどん展開が面白くなります

では、どうぞ。

”お前は村の人間ではない”


それは、ただ一つの罵倒の声

ボクを苦しませる声


”召喚士は、完璧でなければならない”


”オマエハチガウ”


ボクを傷つける声


イタイ


イタイ


ボクは、罵倒に涙を流すことはなかった


ギリっと拳を握る


村の誇りがなんのためになる


そんなくだらないことはボクには要らない


ボクは村から飛び出したのだ

いや、飛び出したのではない


逃げ出した。


そして、逃げ出した先には

人が立ち寄ることのない


召喚獣の森だった・・。



          ****



「しかし、ほんまにここ、召喚獣がおるのか?」


ラミアは、疑問と疑惑を持ちながら歩く

ジンも同意なのか


(ほんとうだな・・獣の唸り声すら聞こえない。

 ・・・気配を殺しているように見える)


ザワザワっと騒いでいるのに

何も感じない

まるで、本当に・・ただの森のような気がした


ジゼルは、草木をかきわけながら歩くが

頭には、葉っぱがつけながらも

平然と気づくこともなく歩く


「おれさまたちはしぜんといったいなのさ

 だから、けはいをかんじられない。

 かみのけしんとなのるくらいだからな。」


いきいきと説明する姿に旬たちは関心する

白髪な髪につけている葉っぱをつけた状態のジゼルは

可愛らしくみえたのか


「へぇ、それはすごいね」


旬たちは、和むのだった。



ザワザワザワ・・。


獣の声さえ聞こえない森のざわめきの中、

旬はキョロキョロ辺りを見渡しても

周りにあるのは木ばかり

とてもじゃないが、獣の姿が一つも見えなかった


ラミアの言う通り

本当に、ここに召喚獣がいるのかと疑問があるくらいだ


ジゼルは立ち止まって旬たちを見つめる


「?」

「どうしたんや?」


すると、ニヤリっと子供らしくない笑みを浮かべて


「でも、おまえらうんがいいな」


「え・・運がいいってどういうことや?」


ラミアは不思議そうに聞くとジゼルは自慢そうに胸を張って


「だってさ、おれさまがあらわれたんだぜ?これほどうんがいいことは

 ないさ」


確かに、ユニコーンは珍しい所の話じゃないかもしれない

なにせ、伝説上の獣なのだ


だけど、ドーンっと胸をはるジゼルの姿にラミアは呆れて


「自身過剰やな。このがきんちょは」


がきんちょというラミアの言葉にムっときたのか


「がきんちょじゃない。ジゼルといったはずだ。おばさん」


ジゼルはがきんちょっと一言に気に食わなかったのか

ラミアに暴言を吐く


おばさんっと言う一言にカチンっときたのかラミアは


「うちはおばさんやない。ラミアや。ラ・ミ・アって

 この世に素晴らしい名前なんやで?がきんちょ。」


「ふん。何度でも同じことでおばさんで十分だよ。」


尚も睨みあう二人

旬は慌てて仲裁する


「まぁまぁ、二人共。せっかく、仲良くなっただし・・ね?」


旬の仲裁に二人はフンっとそっぽ向く

俺はとにかく呆れるが、そのままでいけないと思い

ジゼルへと顔を向ける


「だけど、ジゼル・・俺たちはせっかく名乗ったんだ。

 君も俺に名乗ったのは、俺たちに名を知ってほしいからだろ?

 だからこそ、俺たちも名を名乗った。知ってほしいから。

 だから、そのための自己紹介だよ。」


せっかく、仲良くなるために名乗った名前だ。

その名前を呼んでほしいのは

ラミアもジンも俺も同じ気持ちだから


ジゼルにも分かってほしいその気持ちを



「・・・。」


ジゼルは、考え込んで旬たちを見つめる


「・・・おまえらのたいどしだいだけどな。」


頬を真っ赤にしてスタスタっと歩いていくジゼル

その姿を見届けた旬


「ふふっ。」


旬は笑った。

ジゼルの頬が真っ赤になったのを見て

可愛らしく見えて思わず笑ったのだ


「ほんま、素直やないな。あのがきんちょは。」

(また、がきんちょって呼んでいるぞ。ラミア)


「ふん、がきんちょで十分や。けど、あいつがうちらの名前呼んでくれたら

 きっと・・な。」


ラミアは、フッと笑っているようだ

ジンはわかっているのか


(・・・そうか。)


ラミアはなぜ、ジゼルの名前を呼ばないのか知っている

恐らく、名を呼べばラミアはきっと呼ぶだろう


”ジゼル”と。


ただ、それだけのことだ。

前からはまだ頬を赤くしたジゼルが


「おまえら、はやくこいよ。」


と呼びかける声がした


「ま、待ってよ」


俺たちは、また歩きだしたのだ

そして、旬たちは知らない


その姿を見届けている複数の目があることを・・・。

ソレは、息を殺して見届けている

そして、俺たちを見定めるように・・。


そうとも気づかない旬たちはジゼルの後を追うのだった

           


             ****



「しかし、召喚士の家はほんまにあるのか?」


ラミアは疑問があるようだ。

たしかにそうかもしれない

進めば進む程、何も見えない


木だけがそこにあるだけだ。


「しかたないこと。はぐれないように気をつけろ。」


ジゼルは真っ直ぐにその道へと進んでいく


「ねぇ、ジゼル。」


「なんだ?」


「その家に住んでいる召喚士の人ってどんな人なの?」


俺がとりあいずどんな人物像なのか聞くことにした

すると、ジゼルはキッパリと一言


「へんじんだ。」


その一言に


「へ、変人?」


俺は、そのあまりにもキッパリした言葉に驚く


「おまえらは、しらないかもしれないが、そのしょうかんしは

 じっけんがすきなへんじんなんだ」


「・・・・じ、実験・・。」


今、体中に悪寒がしたような気がした。

気のせいだと思いたい。

ラミアは嫌そうな顔をして、


「なんや、実験好きな変人って、まるで召喚士やなくて科学者やな。

 周りに影響が出そうな召喚士やな。」


ラミアはげんなりとする、ジゼルは、淡々と


「・・・おれさまたちはひがいにあったことはないから

 わからない。ただ、そとのれんちゅうがひがいにあうだけさ」


今、とんでもないことを聞いた

俺様は・・と。聞いた。

そして、もっとも不吉な言葉


「そ、外の連中・・・?」


(ど、どういうことだ。)


旬たちはゾッとしたのだ。


「おれさまはふかくはしらない。

 しょうかんしは、おれさまたちにはやさしい

 だけど、そとのれんちゅうにはようしゃがない」


「・・・ってことは、村とおなじようにうちらにも 

 容赦がないということやな」


「・・・そうみたいだね。」


なんとなく予想ができる一言だ。

だけど、ジゼルは


「だいじょうぶ。」


「え・・・。」


ジゼルは、立ち止まって笑うのだ


「しょうかんしは、だぶんおまえらがくることを

 しっているから。」


知っている・・?

ラミアは情動不信になり


「・・ど、どういうことや。」

「・・どういうことって?」


コテリっと首を傾ける

だが、ラミアはすかさず思っていることを言う


「その召喚士がうちらのことを知っているってまるで

 見えているみたいやんか・・。」


すると、フッと子供に似合わないミステリアスに妖艶に笑う

ジゼル姿が見えた


「・・・あえばわかるよ。そのしょうかんしに。」

「・・・・。」


ジゼルは、その一言を告げるだけだ

旬たちはその妖艶に微笑むジゼルに何も言えない

だけど、ジンはすかさず


(教えてくれないのか?)


と聞くとジゼルは首を横に振り


「おしえてあげられない。だって、あのひとはわかっているから

 おれさまたちだけではなく・・すべてに。」


その、瞳にどこか憂いが見えていた


「それに・・ほら。」


ジゼルが指を指すと


そこには・・・。


「家や」


なんと、いつの間にか家が見えていた

可愛らしい童話風の煙突がついた一軒家が見えた


「そんな馬鹿な・・ここは先ほどまで木ばかりのはずや」


すると、ジゼルは、分かっているかのように


「もりがかってにうごきだしたのさ・・おまえらをよぶために

 おまえらを、まねきいれるために」


「・・森が・・動いた・・?」


「信じられへん。」


ラミアは驚きで一杯のようだ


(旬。)


獣の姿であるジンはヒクヒクっと臭いを嗅ぎながら


「何、ジン?」


(すごい、力の強い召喚士がいるようだ。

 それもすごい・・気だ。)


「・・・そうみたいだね。」


強い力を感じる

もしかしたら、俺以上なのかもしれない

この強い力は・・。

俺は知らずにゴクリっと唾を飲んだのだった。


作者は森が好きです。なので、作中に森ばかりでるのもあしからず。

さて、冒とくに出てきた人物・・これが今回のキーパーソンです。

一体、何があったのか・・それが、召喚士村を覆う事件の核心

では、また次話で。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ