表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
召喚士村 ~神に愛された一族~
75/485

少年、拒絶される

村に入りました。

さて、村人たちは・・?



すごい、すごい

あの少年はボクをとても楽しませてくれる


タノシイ

タノシイ


ボクは歓喜している


ウレシイ

ウレシイ


ソレはとても嬉しそうに楽しそうに

三人を見届けていたのだ


               ****


俺たちは砂漠のその向こうの世界に着いた

その世界は、美しい世界でそして

誰もが夢をみる桃源郷のような世界だったのだ


「すごい」


ただ、その一言に限るのだ

何もかも美しい世界

まるで古代の世界に巻き込まれたような

気分がした


「旬、向こうに村があるようだ。」


ジンが、村を見上げている


「そうみたいだね」


俺たちが村に向かうとそこには俺たちを見つめる

数奇な瞳があったのだ


「あ・・あの」


ビクっと震えて俺たちを見上げる人々

そして、目と目で会話をして


「・・・・。」

「・・・・。」


何も言わずに皆、俺たちが村にきたところで

バタ、バタっと駆け足で逃げてしまった


俺たちはその姿に呆然とした


「あの、すみません」


残っている村民にも声をかけると彼らは震えて

民家に逃げてしまった

俺たちの周りには誰もいなくなった


「なんや、うちら嫌われているな」


「そうだな。さすが断絶された村。

 王族に絶縁状を送り届けただけあるな」


ジンはううんっと考え込む


「あれ?そうなの?」


初めて、聞く話にジンはああっと言って


「そうだ。この村は王族とは既に縁を切ってある

 だから、王族には介入しない。」


「へぇ・・それはそうと」


ヒュっと~風が吹いて

人っ子誰一人もいなくなった。

奇異な瞳で見られるのは初めてだったので

寂しい・・。


「寂しいね。」


「そやな・・しかし、目を合わせただけなのに逃げるなんて・・

 うちらは悪人か!?」


ラミアは、不機嫌になる

俺はため息をついて


「仕方ないよ。」


共に頷いて寂しさを共感する

その姿を見たジンは俺たちを見て


「はぁ、二人共気持ちは理解したから

 ほら、行くぞ」


「どこに?」


「この様子じゃ、宿はなさそうだしな」


「そうだったね。受け入れてくれなさそうだしね」


先ほどの俺たちを見つめる瞳

畏怖というより嫌悪

まさに、それが正解だろう


「ほな、今日の宿もなしかい」

「そうみたいだね。」


ラミアは、困った顔をする


「ほな、どこに行くんや」


「森だ」


ジンが見つめる先は生い茂る森を指差した


「森ぃ~?」


怪訝な顔をするラミア


「サバイバルかい・・」


「しょうがないよ。サバイバルでも

 休めるだけでありがたいよ」


「はぁ・・野宿は慣れとるからええけど

 ほんま、悲しいな」


「さぁ、無駄話をしている暇はない

 行くぞ」


「無駄話って失礼な。まぁええ。行くで」


ザワリっと何か音がしたその音に旬はピクンっと反応した

立ち止まる


「どうした?」


「・・なんでもないよ」


旬はジンたちの後を追う


(なんだろう・・この声)


風に乗ってかすかに聞こえた声

それは、歌のような気がした


コテリっと首を傾け

旬は考え込む


向こうではラミアがジンと騒ぐ

食事について会話している声が聞こえる


「あ、お魚が食べたいからジン、獣化せぇ

 大きな魚を獲りたいんや。」


嬉しそうに語るラミア

げんなりとするジン


「そんなモノのために我は獣化するのか」


「あんさんの獣化はそのためにあるんやで」


「・・・なんか、獣化が乏しいことになるような・・。」


「ええから、行くで」

「・・・我の尊厳はどこにいった・・。」


と虚しい叫びが聞こえた


「旬、はよ」

「うん、待って今行くよ」


そして、俺たちは村を離れ

森へと向かった



俺たちが消えた後

村人たちはぞくぞくっと出てきた


人間(ヒト)だ」

人間(ヒト)だ」

「でも、人間(ヒト)でもないものも混じっていた」


三者三様に村人たちはヒソヒソと話す


「珍しい人間(ヒト)

「あの人間(ヒト)たちは・・我らに何を巻き込ませるのだろう」


不安そうに呟く

そして村人は、話す

どうやら、旬たちの会話を聞いていたようだ


「今、彼らは森へと向かうと聞いた」


「聞いた」

「聞いた」


囁くように村人たちは話す


「森は危険地帯なのに」


「死ぬかもよ」

「死ぬのはわからないかも」


両者共、死ぬか死なないかの語り合いをしている

内容的に物騒だ


「・・・可哀想・・アソコは、追放された召喚士がいるのに」

「そうそう」


「キケン」

「キケン」


続けて語り合う程

危険だと村人たちは語りあう


一人の村人が呟く


「召喚士でありながら罪を犯した

 信じたたがい・・悪夢な召喚士。」


「愚かな・・。我らにはどうすることもできはしない。」


村人たちは黙る

そしてまた静寂へと訪れるのだった


                    ****


その頃、俺たちは森で釣りをしていた


「あ~あ、うちは、なんでこんな所で釣りをしているやろ」


そういってラミアは川でふてくされるように釣りをしている


「しょうがないよ。ほら、ジンも見てよ。ラミアのために

 獣化をして魚を取っているし」


「ほんまに、獣やな。冗談やったのによぉ、やるな。」


ジンは、あれから獣化をして魚獲りをしている。

次々と魚を狩る姿は・・・。

まるで、写真でも見たことがある熊が狩りをしているように見える


ジン・・本当にしたんだね。

嫌々そうな顔をしていたのに・・。

尊厳がなんやらと言っていたのに


キランっと俺の瞳には涙を流れたことをラミアは知らない


「はぁ、でも釣りは飽きるな」


クィクィっと巧妙な手でラミアは竿を操る


「で・・でも、ほら、こんなに魚が取れているだよ」


そこにはどっさりっと魚が積まれている


「ふん、当たり前や。多分この村には滞在が長そうな気がするしな」

「わかるの?」


「・・・なんとなくな。ここには、何かありそうな気がする」


「シーフの勘?」


以前にも言ったラミアのシーフとしての勘は鋭い


「・・そやな。」


ラミアの言う通り

あの村がなぜ突然王族と縁を切ったのか

それが気になった


「もしかしたら、うちらを嫌う理由は、何か大きな事件が 

 あったかもしれん。」


「大きな・・事件?」


ラミアは俺を見て頷く


「そや。それしか思い当たらんのや。」


それしか思いつかないか


「でも、ラミア聞いたことはあるの?そんな事件」


ラミアは首を横に振る


「召喚士一族は、噂の中ではトップシークレットなことが多い

 一族や。そんな一族が外部にもたらすと思うか。普通」


「・・そうだね。」


「まぁいずれ明らかになるやろうな・・」


「ラミア?」


ラミアは物思いをふけるように


「うちらがここにいるかぎり。」


「・・・。」


ここにいるかぎりか・・。

旬は、ジッっと川を見つめた

向こうでは、ジンが楽しそうに魚を狩る姿が見えた


「さすが、獣の本能が見えるな」

「・・・。」


ジン、もう何も言えないよ。俺


その時、何かが視界へと遮ったのをラミアは見えた


「ん?」


ラミアは不思議そうにゴシゴシっと目をこする


「どうしたのラミア?」


「何か、今一瞬遮ったような」


「気のせいじゃない?」


俺は見えなかったな

ラミアの気のせいだろう


「そうか。気のせいか。ほな、続きの釣りをするか」


「そうだね・・うわぁぁ」


いきなり旬が叫び声をあげた


「な・・なんや」


その時、見えたのは


「こ、子供!?」


そこには、子供がベェ~っと舌を出して俺たちを見ていた

しかも、俺より小さい子供

見た感じ6歳ぐらいの子供だ。


「な、なんや。突然、村の子供か。」


ラミアも何がなんだか分らない顔をしている

旬はあいからず唖然としている

そして、咄嗟に魚を見ると


「ラ、ラミア・・さ、魚が」


そこには、あんなに一杯だった魚が消えている

ラミアはギョっとして


「うわっ。全部消えとる・・さては・・。」


ギロリっと子供に目を向ける


子供の籠には大量の魚が入ったのをみえる


「あんさん、盗んだなァァァしかもそれ

 うちらの晩飯やないか。返せ!!」


と叫ぶ


「ベェ~」


舌を出しながら素早く逃げる子供


「ムカックなぁぁぁ」


ラミアは青筋を立てながら子供を追いかける

そして、ラミアと子供の追いかけっこが始まった


「待ってよォォ、ラミアァァ」


俺はラミアを追いかけることになった

なんで・・こうなるのだろうね。


この少年、異世界に~は、ほとんど追いかけるか逃げるかと二択が多いです。

今回は前者です。

ジンは作者の中でも、少し扱いが難しいキャラです。

なぜか、コメディーになったりふとしたらシリアスです

ごめんよ・・ジン。

では、また次回で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ