少年、旅の途中に
ついに召喚士村編に入りました~
では、どうぞ。
かってこの地上には神がいた。
彼らは始まりと終わりを導き
その世界を平和の為に祈った
神は一度だけ愛した存在がいた。
とても純粋な愛だった
その神が愛したのはもっとも強い一族で
それは、どこまでもその力に振り回される一族
果てしなく強く
果てしなく哀しい
森羅万象ごとくその力を持ち
神すら認めた一族の力
果たしてどこまでが、人間で
どこまでが化物なのか
それは、誰も知らない一族
その一族の名は・・。
人は呼ぶ”召喚士一族”と。
*****
「暑い」
ジリジリと日光が伝わる
フードを着た三人組が見える
「・・・。」
「・・・。」
「暑いぃぃぃ。」
騒ぐ少女、褐色の色が見え隠れしている
その瞳は、グレーで、髪は長い黒髪しているのか暑そうにしている
「うるさい。黙れ」
「なんやとぉ!!」
灰色と青の青年が、少女を叱る
すると、フードを被っていて彼らより背が小さい少年が
クィクィっと二人の裾を引っ張る
「二人共、暑いのは分るけど。頼むから争わないで
余計に暑くなるよ」
この少年は、優しそうな風貌をしている。薄い色素の髪
そして、この世界には異質な黒の瞳をしている少年。
本来は、16であるが、この世界の何らかの事情により
子供になってしまった少年・・旬
「旬、だって暑いやもん」
暑そうな顔をしてフードを外す少女・・ラミア
「暑い気持ちは分るが、やけどするぞ」
そして、砂漠方面を見つめるジン
「・・・当たり前だよ。砂漠近いだから・・ほら、しっかり
フード被っていなよ」
退化した少年、旬による旅を続けていた
「ふぅ。それにしてもアズールってどこにあるんや
このフードも王都で買ったけど・・もう暑くて死にそうや」
ゼーハーっと息を吸うラミア
どうやら暑さにまいっているようだ
「我慢しなよ。このフードがなかったから砂漠を越えられないよ」
「うっ・・わかっとる・・けど、なんでジンは涼しそうな顔をしている
んや!?」
「・・ああ。我は慣れているからな。」
涼しそうに平然というジンにラミアは
「旬、うちに魔法でもかけてくれ」
「ええ~、魔法?俺、あまり加減できないよ」
「ええから、うちを凍らせるようにしてくれ」
そういって笑う姿に俺呆れる
馬鹿なの・・!?
俺はどうしようか悩んでいると
「旬、ラミアの願い叶えてやれ」
「え・・でも」
「いいから」
ジンが悪乗りする姿に俺はますます呆れる
「ほら、早くしろや」
ラミアが急がすそうに騒ぐ
「分かったよ」
俺の手からは淡く光る
どうなっても知らないからね・・。
「この者を凍らせよ・・”フリーズ”」
すると、ラミアが嬉しそうな顔をして
「ふぅ、暑さが・・冷えてくるわぁ
幸せ~。」
幸福そうな顔をするラミア
しかし、手や足がピキピキっと凍る
「はぁ・・最高・・ってぎゃぁぁぁぁ」
どんどん、身体が凍っていくラミア
さすがに凍っていくことに恐怖になり
寒さで震えているのかブルブルっと震わせている
「旬、ひ、ひゃく、しゃむい。しゃすけて(は、はやく、さむい。助けて)
ピキピキっと凍っていくさすがのラミアも
寒くてたまらないという顔をしている
俺はそれを知っていたからか
「・・はいはい、だから言ったのに・・はぁ」
強制的に術を止めるとラミアの冷凍化は防げた
「ふぅ、死ぬかと思ったわ・・。」
身体を抱きしめるラミア
俺は、げんなりした顔で
「こっちの台詞だよ。だから言ったのに」
そう言うと、ラミアはウルリっと瞳を潤ませ
「暑かったからや。どうしてやぁぁぁ
うちは、ただ暑かっただけやもぉぉぉん」
嘆くラミアの声が響く俺とジンはやれやれだ。
そういってダンダンっと大地を叩く
「諦めてほら、いくよ。」
「そうだ。アズールさえ着けば水とか飲めるだろ?」
そう優しく言うとグズリっと鼻をすすりながら
キッと俺たちを睨む
「・・あんたら、うちを子供扱いにしてへん?」
と聞くと、俺とジンは顔を見合わせて
「・・・・。」
「・・・・。」
無言になり考える
その姿にイライラするラミア
「お前らァァァ、考えるなぁぁぁ」
「だって・・ねぇ」
「そうだよな。」
「もういい、うちは・・うちは」
「あ、ラミア」
「先にいくわぁぁぁぁ」
そう言って走りだすラミア
その姿を見て俺はジンに問いかける
「ジン、ラミアってやはり・・。」
「言うな。本人も悲しむぞ・・子供って言うと」
「・・・・。」
ジンはそう思っているようだ
そういえば、ジンはあれからよく喋るようになったような気がする
「どうした、旬?」
「・・ううん、なんでもないよ」
あの事件でもっとも傷ついたのは・・ジンなのかもしれない。
彼なりに受け止めて答えを出していると思う
俺には想像つかないほど
とても・・重たい決断だったかもしれない・・。
だけど、ジンはどうやら自分の中の殻が少しずつ破くように
きっと、良い方向にいるような気がする
「さてと、我もラミアの所に行くぞ、ほら走れ」
「・・・そうだね」
俺たちは走る向こうからはラミアが嬉しそうに笑う姿があった。
「旬、ジン~。見えたで村あった~」
「・・どうやら、落ち込んでいないようだね」
「・・・。」
ラミアはニコニコ顔だ
心配して損した。
「旬、行くぞ」
ジンの声に俺はうずうずする気持ちを抑えて
「ああ、そうだね」
俺たちは村に向かう
これから、始まる一つの物語。
俺は、まだ見ない何かを思いながら
村へと入っていった。
次話ではアズールに入ります
では、また次話で。




