アニマ ~風の獣~
63話目、ついにこの話しも終盤になりました。
さてさて、冒とくはまだ誰かです。
みなさんも当ててみてくださいね~
では、どうぞ。
一度見た夢があった
兄が、自分より王座に収まるその姿
寄り添う彼の妻たち。
その中でとても輝いていたのは・・。
優しい笑みを浮かべる
あの人だったのだ・・・。
だけども、どうしてか
怒りがあった。
あの兄に寄り添うあの人に。
すべては、一人の女性から始まった
一人の男の愚弄された人生・・。
そして、始まったのだ。
*****
目の前の精霊を見ても怖くはない
そして、不思議に呪文が頭の中で浮かびあがる
恐怖も何も無い
スゥっと~息を吸う
さぁ・・・始めよう。
「精霊よ我に力を与えよ」
すると、パラララっと本が開く
杖が共鳴して光る
「我名は、旬、その契約の元に姿を現せ」
旬の目の前に陣が現れる
その途端、クレーエの精霊が旬に襲う
「旬!!」
ラミアが叫ぶ
その途端、精霊は旬に鎌を振りかぶろうとするが
「風の精霊・・アニマ」
旬の一言によって淡い光が陣から発生する
そして・・。
精霊は、強い風によって吹き飛ばされる
(ゴシュジンノジャマスルナ。)
ゴォォォォっと強い風が旬を守る
精霊は、後ろへと下がる
その途端、姿を現したのは、一匹の獣。
(ゴシュンジン、ヨンデクレタネ)
ニコっとその獣は笑う
穏やかな羊のような風貌で可愛らしい
思わずミリカはその獣を見とれて
「かわいい・・。」
と呟いていた。
俺は、改めてアニマを見る
あの時は、声と光だけしか見えなかった
本来は・・こんな姿なんだな。
(ゴシュジン、チカラカシテホシイダネ。)
「・・うん、俺に力を貸して・・どうしてもこの怒りを
向けたい人物がいるから・・。」
俺はその獣に優しく触れると目を細めて
(リョーカイ)
俺はアニマと共に戦う
俺は、呪文詠唱しながら走る
風が吹き荒れたアニマがトーンっと高く飛んだからだ
真正面に向かう先は風圧によってよろよろ気味な精霊
だが、そんなことどうでにいいのか目標対象はアニマに変更したようだ
精霊は、アニマに鎌を振りかぶる
だが、アニマはフッと笑い
(オソイヨ。フキトベ・・・”ウィンドゥブレス”)
鋭い風が精霊に当たり後ろへと吹き飛ばされる
もう、精霊はあまり動けなさそうだ
その途端旬が詠唱している術が淡く光
「光よ、我にその力を貸せ・・そして、その力を敵を封じ込めよ!!」
その途端、精霊を取り囲むように光に包まれ
精霊は、驚いたような顔をしたが、旬を見て
戦う気が失せたのか、かすかだが、笑ったような気がする
その途端、精霊は鎌を振り上げ光に包まれ消えた
あっという間に終わったすべて
さて、俺はしなければいけないことがある
「・・・さてと」
淡い光が紅く光る
「炎よ、その力我に尽くせ・・”ファイヤーボール”」
俺は渾身の怒りの一撃を奴に向けた
奴は、その炎を手で受け止める
「・・・。」
思ったとおり、奴は・・強い。
もちろん、この攻撃も俺なりの威嚇だ。
「ひどいなぁ」
ポリポリっと頬をかくクレーエ
攻撃を受けたとはいえ、彼は平然としている
「俺たちの怒りの分だよ。そのくらい安いはずさ」
目が点っとなり俺を見るクレーエ・・うつむき
やがて、クッククと笑い声をあげる
「あははっは、面白い。こんな面白いことだとは
このクレーエ、思い知った~」
頭を抑えて笑っているクレーエ
「・・・。」
俺は黙ってその成り行きを見ていた
(ゴシュジン、アイツ・・クルッテイルヨ)
アニマがクレーエを見て一言呟いた
笑いが収まったのか、クレーエは俺を睨み
ポンっと何かを渡された
それは、青い魂が入ったカンテラだ
「約束だ、このカンテラを返すよ・・そして、もう一つ
君にこの僕を楽しませてくれた礼として。
コイツをあげる」
ピッっと一枚のカードを見せる
「これは・・?」
「ふふっ。いい土産だよぉ・・とびっきりの・・ね」
そのカードをクレーエはかる~く振ると
カードから
「うわぁぁぁ」
男性かが出てきたのだ
その人物を見るなり俺は首を傾け
「誰?」
俺は、どこかでその人物に会ったことがあるような気がした
でも、どこだっけ・・?
俺はマジマジっとその人物を見ていると
「・・・ツゥ!!?」
ミリカが驚いた顔をする
「ミリカ?どうしたの?」
「レイアス叔父様、なぜ・・!?」
その声にジンたちが反応する
なんと、青白い顔をして俺たちを見ていたのは
あの時、初めて会った
あの、ジン達の叔父である。
レイアス卿だったのだ。
「なんだって!!」
「ええ!?」
それぞれの反応を見て愉快に思ったのかクレーエは
楽しそうにしている
ミリカはイラっとしたのか
「なんで、叔父様が・・ねぇ、あんたは叔父様に何をしたの!?」
ミリカが睨みつけるが・・。
レイアス卿は何も言わなかった。
「ふふっ・・あははははっ、はぁ。こいつはね、実はその魂抜けのお嬢さんの
叔父でありながら・・その姪を強制的に力を解放させた人物さ。
そして・・自分の兄である王であるライドウを恨み・・自殺に追い込ませた
当事者さ」
笑っていた顔から、真剣な顔になったクレーエ
とんでもないことを勝手に語ってくれたけど
はっきり言って、信じられない
「そんな、叔父様が・・なぜ!?」
「あの方は、我々に援助をしてくれたのに」
ミリカとルークは困惑する
ジンは黙っていて何も語らない
クロスも黙っている
だが、二人ほど困惑もせず静観しているのだ
「クロス?」
ジンは、黙ったまま静観しているクロスを見た
「やはり、叔父さんだった・・だね」
「え・・・。」
クロスは何かを知っているようだ
嘆き悲しむようかのように瞳を暗くさせる。
その様子に、クレーエは口を歪ませ
「ほぉ、さすが聡明だね。第3王子様・・」
「・・・どういうことか説明せや」
ラミアが、苛立ちを隠せない不機嫌に問う
クレーエは、腕を組んで
「・・そんなことコイツが混血だからだよぉ。
コイツは、王になりたいために、純血であるオルフェを退陣
にアリア姫を使かった。優しい王太子だから、
自分の代わりに罪を受け入れることまで読んでいたんだよ
この・・王弟はね」
「・・そうか・・そうだったのか」
ジンは、とても哀しい顔をした。
すべてが明らかになった時だった
クレーエはその様子に満足したのか
「ふぅ、僕はそろそろ帰ろうかな。面白い土産ができたし」
満足そうな顔をして帰ろうとするクレーエ
皆、動くことができなかった。
それほど、コイツからは強い気を感じたのだ
だけども、俺は声は出せた
「待って!!」
「・・・何~?」
後ろへと振り替えずにクレーエは聞く
「・・どうして、俺たちにこんな話しをしたの?」
俺がもっとも聞きたかったことだ
「愚問だねぇ・・僕には理由がないさ。あんたたちに
話すことなど本当は無かった・・だけど彼には理由があった」
「え・・。」
意味が分からなかった
どういう・・ことなんだろう・・?
彼とは・・一体?
「・・・・おっと、迎えがきたようだ」
陣からは、深くフードを被って顔は見えない
だけども、大な杖を持っているところから
隣にいるアニマが
(ゴシュジン、ヤツハショウカンシダ。)
「え・・召喚士・・!?」
そこにいる人物は、俺を凝視していた。
そして、柔和な笑いをしていた。
どこかで、見たことがある笑いだ。
「・・・・?」
「じゃぁね~またどこかで会おう」
その途端、大きな光と共に
フードの人物と共にクレーエは去っていった
(ゴシュジン・・?)
「・・・・。」
俺は、その場所をジッと見ていたのだ・・。
そして、そんな俺を他所にクロスはレイアス卿と兄であるトウリを見て
「兄上、叔父さん、貴方方、二人を拘束します。なんの罪かはもう
分かっているはずです・・よろしいですね?」
二人共、顔を青白くして、やがて頷いた
俺は、まだその場所を見つめていた
「旬、どうしたんや?」
ラミアが聞いてくる
「・・・なんだか、不思議な感覚になってね。」
「そか。そや、そのカンテラを貸せや」
「ああ・・」
俺はカンテラをラミアに渡す
これで、終わった。
だけども、まだ謎が残っている。
その時、キラっと何かが光ったのだ
その陣があった場所に・・。
そこには、以前、森で見つけた石と同じように
淡く光っていたのだった・・。
旬を知っているかのように笑ったのは誰だったのか
そうですね・・番外編とかに書くといいかも・・。
それでは、あと1、2話で、このクランティア王国編は終了です~




