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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第5章 ~ある学者の忘れ形見~
60/485

オルフェとトウリ ~対峙する二人~

60話目は二人の対峙編になります

これから、あと5~話ぐらいの予定ですが

案外長くなるかもしれません・・。

今回も暗いです。

見たくない方は回れ右です。

「トウリ」


と、呼ばれた声はとても優しかった

だけど、その声は、やがて消えていった


どんなに、逢いたくても遠いどこかに行ってしまった

ただ、認められたかった

ただ、愛されたかった


それだけなのに・・。

たとえ、真相が違ってもいいから

どうか、私に・・。


会わせてください・・もっとも、尊敬していたあの人に・・。

そのためなら、たとえこの命が削られても

惜しくはないはずだから


            ****


姿を現したのは、俺たちの前に姿を消した人物だ

当然、俺たちも驚いた


「ジ・・ジン!?」

「あんさん・・一体、今までどこに!!?」


俺達は驚くばかりだ

だが、ジンは涼しい顔をして俺達を見て


「すまない、二人共間に合って良かった」


ただ、謝るだけだ

やりきれない・・俺は感じた

ラミアは、悪態をつく


「良かったどころやないわ。」

「そうだよ・・どうして俺達を・・・。」


そう、反証したが、ジンはただ冷静に


「話は後だ。それより、お前たちはアリアを」

「そや、旬!!」

「うん。」


俺達はアリアの元へと向かう


ジンは、トウリと対峙している。

クロスの時よりかピリピリっとした空気だ。


俺は、アリアの様子を見ることにした

あいからず意識が無い


「どや?旬・・アリアはんたちは」


俺は、軽く回復魔法を使ってみた

淡い光に包まれ発動したがそれでも反応がない

やはり、トウリの話通りに魂が抜かれているとすれば話は別だ

いくら、魔法を使っても内面の魂がなければ

意味がない


俺は、冷や汗が出てきたのだ。

同時に背筋が寒くなってきた

そして、怖くもなってきたのだ・・。


このままでは・・アリア達は最悪の結末を迎えることになる


「旬・・?」


俺の様子に気づいたラミアは不安そうな顔をする

俺は必死に平静を装った



「俺の魔法では、無理だ。」

「・・・やはり、魂抜きのせいか?」


すると、俺は頷く、ラミアはやはり・・と神妙な顔をした


「うん、魂を抜きだとしたら・・お手上げだよ。

 トウリから方法を聞くしかないみたいだね」


「けど、あの様子じゃ教えてくれへんよ?」


「そうだね・・トウリの望みは叶わなかった

 だけど、トウリしかいない、アリアたちを

 救えるのは・・!!」


それを聞いたラミアはキッと決心して

ジンとトウリを見上げ


「そうみたいやな」


俺はジンとトウリの攻防にただ傍観者として眺めることにしたのだ


俺たちが入っていい場所ではない

その場で感じ取ったのだ。


               ****


突然の訪問者にミリカは驚くばかり

そして、先ほどの圧迫感が無くなったことに驚くばかりだ


「結界がなくなったわ・・。」


ミリカは呆然とするばかりだ

ルークは驚きで目を丸くする

その目の前にいる人物に


「オルフェ様・・。」

「え・・オルフェ・・・あの方が・・。」


ミリカは驚いているようだ

どうやら、ミリカ自身オルフェに会ったことが無かったようだ


「あれが・・あたしの・・お兄様・・?」



トウリとジンは互を睨みあっていた

そして、クスッと笑うトウリ


「お久しぶりですね。兄さん。このような形でまた出会うのは

 驚くばかりです」


「・・・ああ、我としてはこの宮にも戻る気はなかった。 

 もう、お前にも会うつもりはなかった。」


嫌っているかのように、顔を歪ませ


「・・ふん、自分から王座を投げてただの一般人に成り下がった

 そして・・私の計画を台無しにした忌々しい兄だ

 分かっていてアリア姉さんに協力したのですよね?

 兄さん・・。」


鋭く睨むトウリにオルフェは首を横に振る


「いや、我はアリアの計画は知っていた。だけど・・・

 協力はしなかった。」


ジンは、静かに告げたのだ


「な・・兄上・・・?」


「嘘をついても意味がないですよ・・兄さん」


だが、ジンは弁解もせずそして、冷静にトウリと視線を合せ


「確かに、アリアの計画は知っていた。だけど、それよりも

 お前たちの行動が気になった・・調べた結果、お前は・・。

 父上の蘇生を行うことを知った・・。」


その瞳をみた時、ジンはただ哀しそうだったのだ


「・・くすっ。知っていたのですか・・口が軽い人ですね

 一体誰が・・。」


「お前の、部下たちだ」


「チッ・・使えない奴らだ・・。」


嫌悪感を露にしたトウリ


「・・・お前を止めて欲しいと懇願してきた・・必死の顔でな」


ジンは、淡々に言うだけだ、トウリは唇が震えている


「・・・もう、止められはしないですよ。そう、誰も!!

 あの計画も数年前から進められていたことも・・その時知った

 私の気持ち、あなたにわかるはずがない・・!!」


トウリは叫ぶ

それは、信じていた何かを裏切られた・・そんな顔だ


「アリアの計画はお前の知っての通りだ。

 醜い計画・・かもしれん。だが、アリアの葛藤と苦しみは

 あの事件からすべてが始まっていたのだ・・お前たちも我も

 同じように。」


連鎖は繰り返される

それは、いつかラミアが言った言葉だ

俺は、ジンとトウリの姿を見つめながらそう思ったのだ


そんな、ジンの思いはトウリには届かない


「兄さん、あなたはやはり、私の敵だ。あの頃よりも

 どす暗い気持ちにさせる・・私をこんなに!!」


ギリっと、頭を抱えるようにイライラしているようだ


「トウリ・・。」


「兄上、もういいでしょう・・どんなにしてもトウリ兄上には

 届かない」


クロスはそう諭す


「・・・。」


そして、一歩、一歩とトウリに近づく


「兄上、来てもらうよ。結果的、あなたの術は破かれた

 これはどういうことなのか・・お分かりのはずだ」


クロスは、目の前でトウリを睨みつける


ギリっと口を噛むそして、口からツゥ~っと血が流れた

すでに、引き金は、もう・・。


「・・・じゃない」


ブツブツと呟くトウリの姿


「まだ、終わりじゃない・・

 私にはこれがある。兄さんを復讐する方法はまだ

 あるんだ!!」


すると、クリスタルをギュッと握りしめる


「兄上・・!!何を・・!!」


眩く光っていくクリスタル

それは、眩しい


「・・フッフッフ、私には奥の手がある。これさえあれば

 私はここで終わるわけにはいかない!!」


その言葉と同時にトウリの姿は、人間から獣になったのだ

それは、とてつもない姿となって


「ガァァァァァ」


と叫ぶ声

それは、変貌した獣の姿だ


「なんてことを・・。」


クロスが青ざめている


「あ・・ああ、」


ふるふると震えて動けないミリカ


なんだろう、この異様な空気は

そうだ・・これは邪気だ


「・・俺も加勢しないと」


立ち上がる


「旬。あかん・・危険や」


ラミアが止める


「行かないと・・なんだか、嫌な予感がするんだ

 このままだと、アリアだけではない・・とんでもないことが

 起こるような気がするんだ」


「うちもそれは分る・・だけど、うちは悪い予感がするんや

 アレはただの獣やない・・それでも行くんか?」


「うん・・約束したから」


約束したんだ。

あの扉の前で

俺の目の前で誰かが死ぬのは嫌だ。


綺麗事かもしれない

それでも、行かなければ・・。


「ラミア、アリアたちを・・お願い」


「・・・うちが行こうか?」


再度ラミアは旬に問う

ラミアは、動こうとすると俺は首を横に振る


「ううん、アリアたちを置いてはいけない

 それに、ラミアは俺よりか二人を守れそうな

 気がするから」


すると、ラミアの口から笑いが漏れる


「・・ははっ、ほんまにか?」


「嘘はつかないつもりだよ」


そう言うと、ラミアは口を引き締めて


「・・そか、なら・・頼むな」


俺を励ます声と顔に。


「・・・ありがとう、ラミア」


俺は、ジンたちの方へと向かう


「ジン、きたよ」


「・・・どうしてきた」


睨まれるが、そうはいかない。


「・・俺も、トウリにして欲しいことがあるんだ・・

 それに、死なせたくないから」


「・・・分かった。」


ここから、俺は獣化したトウリと対峙するようになる

そして、知ったんだ

トウリという人物の闇を・・・。






忘れていた設定

トウリたち王俗は、獣化することができます。

ジンもできます。最近は人化の方が書きやすかったので・・。

ミリカは純血です。彼女も獣化はできますが・・・。

この獣化に関して本編で明らかにしていこうと思います。

では、またどうぞ

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