少年、過ちの行方
これは、戦闘描写はありませんが、少し内容が暗いです。
見たくなければ回れ右をお願いします。
では、どうぞ。
究極な術
これで、すべて完璧なのだ
すべて、自分が望んだこと
狂っていくのは自分の心
そう、周りが狂っているのではなく
自分こそが狂っているのだと
その王子は自覚したのだ・・・。
だけども、その狂いには収まりきれずに
ただ、狂い続ける・・それだけなのだ。
****
「兄上、こんにちは」
ニコッと邪気なく笑うクロス
その姿にもっとも驚いたのはトウリだ
「き、貴様・・なぜここに!?」
「兄上こそ、こんな所で何しているのさ・・いや、こんな所じゃ悪いかな
この世界で」
見渡しながら聞くクロスにとぼけているのか・・という顔付きのトウリ
「・・・くっ、お前は分かっていたのですか?」
「どうだろう・・でも、兄上の悪いことはお見通しだよ」
「・・・。」
睨みあう二人
どうやら、兄弟だとしても
水と油のようだ。
俺はそのピリピリとした二人を眺めて
ゴクリっと唾を飲んだのだ。
その時、隣にいたラミアは顔を青くして
旬のバンバンっと肩を叩くのだ
「いた、痛いって、今、場面的、切迫しているんだから」
「そ、そそ、そんなことよりあれをみるんや・・!!」
「え・・・!?」
ラミアはフルフルと震えながら指をさす
それは儀式の中で眠りつづける二人の姿
だけど、二人は鎖に繋がられて
動けそうにもなかった
その人物の顔には見覚えがあるのはラミアはますます顔を強ばらせ
「ア、アリアはんとソリドゥスや!!」
そこには、気絶している二人がいる
「な・・!!」
すると、クロスと牽制状態だったトウリはニコっと俺達を見て
「芸術に見えますよね・・コレ?」
「・・・こんなものは芸術なんかでもない。」
俺は怒りに震えるばかりだ
「・・ほぉ、じゃなんだというんです?」
トウリの笑みに俺は怒りで叫ぶ
「これは、ただの犯罪だ・・!!二人を解放してよ・・!!」
「無駄ですよ。」
トウリはクックックと笑う
「何が可笑しいんだ・・兄上!?」
クロスは鋭く睨む
「もう完成しているんだ・・究極の願いを」
「・・・!!」
ミリカはバッと陣を見る
下へと見ると陣が浮かびあがっている
「し、旬・・早く、ここを出ないと・・あたしたちも危険よ!!」
「え・・!?」
すると、ドォンっと音を立て、周りから結界が張られる
その結界はピリピリっとしていて触ると痛い
ルークは気づいたのか
「これは・・四方結界!!」
バリっと音を立てる、ルークは息を飲んだ
「少年、これは四方結界だ!!逃げることができない・・!!
トウリ様!!貴方は、何を考えているんですかこの結界は・・
アリア様達を・・生贄する最悪の力だ!!」
「生贄・・早い話です。私の究極の願いには二人が必要。
ふふっ・・あははははっ。君たちも一緒に糧になってもらいますか。」
「か・・糧!?なんでそんなことを・・!!」
「蘇生。それには二人では足りないんですよ・・そう、ここにいる全員の
力を糧にすればいいだけの話です」
「ま・・まさか、アリアはんも・・糧に」
すると、ククククッと笑いが激しくなる
その様子に俺はいても立ってもいられなくなり
「アリア!!」
「うちも行くで!!」
俺とラミアはアリアの元へと向かう
「無駄だ・・結界から中に入ることができない。」
結界から出るとか以前に、旬とラミアは構わず走る
そして、一瞬で何もしていなにのに結界から出たのだ
その様子を見ていたトウリはあんぐりと口を開ける
クロスだけはこんな状況の中、笑みをうかべていた
「あの少年達だけは、あなたの思い違いのようだよ・・・兄上?」
「くっ・・。」
俺はそれを振り切って尚アリアの元へと走り出す
後からラミアも来る
「アリア!!」
「ソリドゥス!!」
二人をパシパシっと叩くが反応がない
「な・・どういうことや」
「反応がない・・どういうこと・・?」
二人は眠っている
だけども、反応がない。
どういうこと・・?
ミリカは結界の外で出られない
けれど、旬たちの行動を見ていた
反応がない姿を見てハッとしたミリカは。
「ま・・・まさか・・」
「ミリカ様?」
ルークが心配そうな顔するミリカの顔は顔面蒼白だ
「お・・お兄様・・貴方はも、もしや
魂を・・抜き出したのね!?」
ミリカはふるふると震える声でトウリを見る
「よく、わかりましたね。さすが、私の妹だ」
「・・・まさか・・そのようなことを・・あれは禁術よ
お兄様・・貴方は一体誰を・・生き返らせるつもりなの!?」
ミリカの叫びに
「言うようになりましたね・・あの少年のおかげでしょうか。」
「お・・お兄様」
ミリカは震える、ルークは動けることができない
クロスは、そんなミリカを守るかのように
「妹が答えを聞いているようだよ?答えなよ・・兄上」
クロスは牽制するかのようにトウリを睨む
「・・ふふっ、丁度いいから教えてあげましょう・・
私の真の目的は王であるライドウ・・お父様に
会いたいからですよ」
見せた瞳はとても冷たい瞳だ
「お・・・お父様に・・?」
「・・・やはりそうなんだね・・兄上」
俺は、ミリカとクロスの話を聞きながら
俺はラミアにボソリっと
「二人をお願い」
「ああ、分かったわ」
俺は立ち上がり
「君の目的は・・父親の蘇生なの?」
問いかけるとトウリは・・。
ニッコリと悪魔の笑を浮かべる
「そうですよ、あの事件のおかげで私はもっとも尊敬している父が死に
ました。原因は誰か・・それは、あの忌々しい兄であるオルフェ・・
そして姉上であるアリア従者であるソリドゥス・・そして、あの魔女
だった・・お前の母親だよミリカ」
その言葉にミリカは・・・。
「お母様・・・。」
そう呟くのだ、クロスは険しい顔になり
「あの事件は父上の自害で終わったはずだよ・・兄上」
「・・いや、そんな訳がないあの三人による共謀に違いない!!
私はあの日からアリア姉さんを憎んで・・オルフェ兄さんを憎んだ
そして、アリア姉さんも次第に我らを憎みだした・・そうだろ?」
クロスは黙るばかりだどうやら図星のようだ・・アリアが兄弟を
憎みだしたことについては事実のようだ。
そう、俺は知っている
あの暗い底の瞳を。
絶望と怒り
あの瞳を思い出す・・つまり、知っていたのだ・・。
俺は黙ってトウリの話を聞く
トウリの話は続く。
それは、アリアの計画についてだ
「そして、アリア姉さまは無謀にもとんでもない計画を立てた
それが、私たちを失脚させるという計画をね・・こんな醜い人が
私たちの姉であるはずがない・・。」
そう叫ぶトウリの瞳は既に狂気だった
「・・・それで、貴方は、アリア達を贄に使ったの?」
怒りで頭が可笑しくなりそうだ
冷静になれ・・相手の思う壺だ
だけども、俺は目を逸らすことができなかった
「ふん、本当はあの魔女が一番最適だったんですよ・・しかし、あの魔女は
死んだ。だから、二人じゃ足りなくなった・・そうですよね?
あの魔女の血を受け継ぐ・・お前ならば」
ミリカはビクっと震えるルークは反撃する
「違う、メノリ様は・・あの方は魔女でも無かった!!
たった・・ほんの少しだったけど・・あの方が妃であった
あの頃のことは僕が一番よく知っている!!」
ルークさん・・?
その瞳はとても哀しそうだった
トウリは吐き気がするかのように
「・・ふん、学者でも魔女は魔女なんですよ。」
「ミリカはその魔女の娘だから・・巻き込むというのかい?兄上」
うつむいたクロスはポツリっと呟く
「・・・ああ。」
静かなる怒りだ
それは、クロスから発せるギラリっと鋭い瞳を見せたのだ
「そして、姉上が自分たちを恨んでいるから?・そんなくだらない
理由で・・兄上!!?」
くだらない理由。
だけどもトウリにとってはとても当たり前な理由
「くだらない・・それは、どうでしょうね。」
クロスはギリっと口を噛み
「・・貴方はもう、あの頃の兄上じゃない。
それどころか、人でも獣人でも誇れる存在でもないんだ・・。」
クロスはトウリになんとかしても止めるために言った
でも、その言葉は届かない
「はははっ、それだけですか・・?そんなことより発動しますよ
私の一生一代の夢を。」
陣が発動する
「な・・。」
「お別れのようです・・残念ですか。」
「お別れ?兄上も巻き込まれるのでは?」
「ふふっ、私にはこれがあるのですよ」
それは、淡い光をもった
「クリスタル・・。」
それは美しい光を持ったクリスタルだった
ニッコリと悪意のある笑いをするトウリ
淡く光る陣とクリスタルに俺は恐怖を抱いた
「し、旬、どないしよう、アリアはん達動かへんで」
ラミアの切羽詰った声が聞こえる
「・・くっ。俺が魔法で」
「駄目よ!!ここで魔法を使えば危険よ!!
この結界は魔法を跳ね返す仕組みをしているみたい。」
ミリカが叫ぶ
「けど、うちらもあんさんらも死ぬのやで!!」
「分かっているわ・・でも・・でも」
ミリカの渋る声
そして
もう、何もできないのか?
その時、声がしたのだ
「すべてを無に返すものよ・・我に力を与えよ
残無剣」
すると、ブラック・ホールがこの魔法陣を無効にしたのだ
その世界は、一瞬で終わったのだ
「・・こ・・この術は。」
「・・・久しぶりだな、トウリ」
その姿は俺達がもっとも知っている姿
そして、俺達が会いたかった姿
「・・・ジン。」
そう、ジンが現れたのだ
俺は、ただ呆然としていたのだった・・。
トウリの前に現れたのは・・?
さぁ、これから始まります
すべての始まりへと
では、またどうぞ




