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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第5章 ~ある学者の忘れ形見~
47/485

少年、疑惑と遠すぎる想い

さぁ、47話目に入りました、

これからどうなるのか

さぁ、新章の幕開け

さぁ、冒とくは・・?

あたしは泣いている

帰ってこない誰かのために泣いている

戻ってくる・・そう約束した姿をもう見ることもなく

雨と共に流されてしまったのだ・・。

この悲しみと・・共に。

そして、時代は流れ


すべて、また始まる・・。

              

                ***



王宮へと向かって馬車はカポカポと陽気な音を出している


ラミアはうんざりとした顔をしていた。

しかも、姿勢が悪く座っている。


「なんだか、腰がいたくなるな」


あまりにも居心地が悪いのか

腰に手をやるラミア


「ラミア、我慢だよ・・。」


「旬、あんさんに分かるか、この痛み」

「いや、俺も同じだから。」


ラミアは、不機嫌だ。

気持ちは分る。

俺も、実は腰がいたい

馬車って大変だよ

まるで、電車に長時間乗っているみたいで

腰が痛くなるね・・。


ラミア、馬車にあんまり慣れていないようだけど・・?

どうしているだろう・・交通とか?

俺は聞いてみることにした。


「そういえば、ラミア達の普段の交通はどうしているの?」


ラミアはん~っと口を尖らせ


「うちも庶民やけど、馬車に乗るのはあんまりないな」


「・・へぇ、そうなの?」


「ああ、荷車の方が安いしな。馬車は高貴な存在なんや

 知っとるか、馬車を借りるだけで、500ルナがかかるんやで?

 乗るだけでも、200ルナもかかるんや。」


「借りて500ルナ、乗って200ルナか。」


「そや、反対に荷車は10ルナや」


「10ルナ!!さすがに、ケタ違うね」


ケタの違いには驚くばかりだ

馬車に乗るより

荷車のほうが幸せだね・・。

お得感があるね。

俺達の世界じゃ、バスや飛行機

充実していたけど

こちらの世界は、まだそこまで・・とは言わないようだ

でも、乗ってみたいな・・。


俺が目を輝かせると

ラミアはニッと笑う


「せやろ?だから、庶民の通行はほぼ荷車や。

 それに堅苦しくないから、のびのびや

 せやから、馬車は初めてや」


へぇ、この世界の馬車ってやはり、高貴な人が乗るんだね

俺は、残りの二人を見つめる


一人は、元王太子

もう一人は、王女。


二人は、さすが、王族なのか

腰が痛そうな顔もせず

優雅に座っている

ジンに至っては、ぼーっと空を眺めている

よく見れば、少し顔色が悪そうだ

仕方ないかもしれない


ジンの過去は壮絶と驚愕

そして、名を捨て

すべてを失った王太子


俺は、その過去を聞いているうちに


もしかしたら・・。

だけども、ジンは何も教えてくれはしない

それどころか、寡黙になるだけだ


アリアは、柔和に笑い


「心配しないで。」

「え・・。」


「私は、前も言ったように貴方達に危害を加えない

 私は得することはないわ。」「そんなの・・。」


ラミアが話そうとすると旬が、勢いよく口を手で覆う

いきなりのことで、ラミアは騒ぎだす


「フゴ!!?フゴフゴ(なにするんや、旬!!)」


不機嫌になるラミア

俺は、何としても事実が聞きたかった

彼女の口から・・ね。


「ねぇ、それよりも俺達・・いや、ジンは王位継承は

 失ったはず。なのに、貴方は、ジンだけでもなく

 俺達までも巻き込もうとしている・・貴方の狙いは

 何・・?」


そう、彼女は俺達をなぜ・・?

ジンは、王宮には戻りたくなさそうだ

なのに、強引に連れていく

そして、俺たちも同様だ。

この本気・・一体何に向かっているのか・・?


「・・貴方達を連れて行くのは多分

 私の我侭・・そして、これからの事態の為。」


「・・・貴方は、知っているというの?」


すると、首を横に振り


「・・いいえ、私は、もっともな第三者

 でも、第三者だから・・色々と面倒

 だけど、これだけは何度も言うわ。

 私を信じて・・それだけよ」


「・・・信じてもええの?」


「・・・そうね、私のこの命・・まではいかないけど

 この首を賭けるわ・・私の人生すべてを・・ね。」


そういって、ミステリアス的な笑みを浮かべる


「どういう意味やろ?」


「つまり、首を賭けるということは、自分の存在。

 つまり、身分だ。王女という存在そのものな。」


ジンが、静かに話す

今まで寡黙だったジンが、俺達の方へと見たことに

俺は、なんとなくジンの思惑も分る気がした。


「身分なぁ・・。」


ラミアは首を傾ける


「我にも、賭けたな・・しかし、すべてを失った。」


ジンの言葉に俺は目を丸くする


「つまり、俺達を王宮に入れるということは

アリア自身が危ないってこと!?」


「そういうことになるわね」


平然とするアリア

呆然とする俺

アリアは、立ち上がり

だけど、ゴンっと音がする


「いったぁぁ」


シリアスの場面ぶち壊しだ。


「だ、大丈夫!?」


俺は慌てるが、ラミアは涙目で


「痛いけど・・あ、あんさん、自分の人生のすべてをかける

 ようなことやで?平然としてええんか!!?」


すると、クスッと笑う


「私はそこまで覚悟はもう決めているわ。

 そこまで・・私はすでに追い詰められているから」


信じていいのか分らない

でも・・。


アリアは、またニコっと笑って

外の景色を見る


「ほら、見えてきたわ、王国よ。」


活気な声が聞こえる中

先ほどの暗い話を吹き飛ばした


まさに王女という・・存在が見えた。


「すごいなぁ、これが産業の王国か。」


ラミアは、機嫌が良くなった

横で、俺はひたすら考える


「大丈夫だ。」


「ジン・・。」


ポンっと頭を撫でられる

暖かい手だ。

俺は、まだ見ることのない世界に期待と悲観に


少しだけ・・楽になった。


その様子を見ていたアリアは、とても哀しい顔をしていたことを

俺は知らない・・。


果てしなく馬車は王宮へと続いていく



           ****


ヒヒィーンっと馬が止まる音がした

そして、止まる


「どうやら・・着いたようね。」


「お、ようやく、止まったか」


そういってラミアはん~っと伸びをする


「ほな、行くか」


ラミアは上機嫌で、降りる

俺としては不安になる一方だ。

ジンは俺の後で出た。


「ん?迎えの人は来ないみたいやな。」


普通はお付の人、一人くらいはくるものだけど

どうやら、アリアの場合はそうでもないようだ


「・・・ええ、仕方ないのよ

 私は・・何もできないし歓迎もされていない。」


「・・・。」


無言になる俺達

なんだか、窮屈に感じたのは俺達だけではないようだ。


「大丈夫よ、さぁ、行きましょう」


「皆様、こちらに」


いつの間にかソリドゥスは、俺達の前にいた

さすが・・といいたくなる

ソリドゥスの案内に俺達は着いていくことにした


見えた王宮はとても美しい世界そのものだった。

見たこともないモノがたくさん溢れていて

優雅そのものだ。


俺は、アリアの後を着いていく

その途中で、不思議なことに誰も会うことは無かった

それどころか、静寂していて怖い。


「・・・なんやろ・・静かすぎるな」

「何か・・あったのか?」


ジンも不思議に思っているようだ。

どうやら、ジンの時とは違っているようだ


前から歩いてきた人物に、アリアは走り


「叔父さま。」


それは、気品のある人物だった。

銀髪は特有だが、瞳の色はアイスブルーだ。

そして、優しげな風貌しているのか

まさに、王族という感じもある。

それだけ、高貴な存在に見えた


その人物はアリアを見るなり


「ああ、アリアか、お帰り。」


「ただいまですわ。」


「ん?そちらは・・・!!」


驚愕の瞳をジンに向けた

ジンはと言うと冷静に挨拶をする。


「お久しぶりです。レイアス卿」


「・・・オ、オルフェ・・!?」


信じられない者を見るようにジンをみる人物


「その名はもう捨てましたよ・・卿。」


すると、納得したのか


「・・・そうか。」


「叔父様、この方々は客人ですの。私の」


「・・・そうですか、初めまして。」


ニコリっと物腰柔らかそうに握手を求める姿

俺とラミアは交互に自己紹介をすることになった


「あ・・、初めまして。シュン・ヒナセです。」


「ラミア・ロディアや・・です。」


さすがのラミアも緊張で敬語になる

握手をしたが、レイアス卿と呼ばれた人物はニコリっと笑い


「よろしく。私は、レイアス・アルバニア・ラゥ・クランティア

 と申す。人は、皆、レイアス卿と呼ぶ・・よろしく。」


ラミアは当たりをキョロキョロと見渡して


「それより、今日は、何で・・こないな・・いや、静すぎるや・・

 ですか?」


あやふや過ぎるラミアの言葉

すると、レイアスは、黄昏ているように


「静かなる戦い。聖戦・・だ。」

「・・・?」


はっとして、レイアス卿は口を閉じ


「おっと、私もやらなければならないことがある

 客人よ、宴にもぜひ、参加してもらえると嬉しい

 では、また。」


さっさと去っていく姿を見て

俺は、どういうことなのかちんぷんかんぷんだ


ただ、ジンとアリア・・そして、ソリドゥスだけは黙っていた

俺は、その後ろ姿がやけに、目に焼きついたのだった。


疑惑と共に王都へと・・。

あいからずなラミア

そんな彼女は作者はとても気に入っています。

もちろん・・寡黙なジンも旬も・・同様です。

では、また次話で。

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