少年、惑わされた噂
37話目
いよいよ、ジン過去編を開始しようと思います。
まぁ、その後で、王国陰謀編でも開始すると思います
では、どうぞ。
深い闇は永遠に続く
それは、光をさすこともなく
ずっと迷い続ける
やがて、深い闇へと沈んでいくのだ
自分の意思は関係なく・・ね。
*******
馬車に乗るとアリアは俺達と向かいに座った
俺はというと、なぜか憂鬱な気持ちになったのだ
それは、そうかもしれない
とんでもない事実が待ち受けていそうだからだ・・。
「ソリドゥス、動かしなさい」
「かしこまりました」
すると、馬車は動き出す
アリアはふぅっとため息を吐いて
俺達を見て
「それで、どこから話せばいいかしらね・・。」
アリアはう~ん、っと頭を悩ませる
横からジンは助け船をする
「・・ラミアの噂話からでいいじゃないのか?」
「そうね、それがいいわ。」
ラミアは間抜け面をしている
どうやら、いきなり話を振られるとは思わなかったような顔をしている
「・・え・・ああ。噂のことやな・・えっと、いいんか?」
ラミアはジンを見た
ジンは、シレっとした顔をして
「・・どうとでも・・所詮は噂だ。」
「ほんまにええのね?」
「・・ああ。」
「ラミア・・?」
再度に確認する了解を得たのでラミアは静かに笑みを浮かべて
「うちが、この噂を聞いたのは、旬に出会う随分前のことや
まぁ、ジンがこの噂を知っているのは、多分あんさんが
一番よく知っていること・・」
「・・?」
語り手のラミアはある噂を語りだす
それは、重すぎる話だった
俺はといえば、ただ話を聞くしかないのだ。
「数年前、ある事件が王宮を襲った。クランティア王国の王である
ライドウ・ガロウティ・ラゥ・クランティアが亡くなったや。」
「え・・。」
ジンのお父さんが・・?
俺は思わずジンを見た
だけど、ジンは何も言わない
「それは、大きなコトやった・・盛大な、葬式やった・・子供でも知っている
知識やからな・・。」
常識か・・じゃ、俺も知っておかなければならないことか・・。
ラミアの話は続く
「その王は、とても優秀な王やった、なにせその王一代で、国を平和にさせ
産業を発展させた。時代から言えば、賢王かもしれへん・・」
ラミアが腕を組みながら
「まぁ亡くなった原因は様々な説があるけどその中でも、
一つだけ真実味がある噂があったんや・・。」
二人は黙る、それどころか静寂だ。
そう、語ることもない
口に出すことも無い
それは、もしかして・・事実なの・・?
ラミアの話は続く
重い口から出るのは事実なのか虚実なのか
分かりもしない
そして、衝撃なことを告げられる
「王の殺害の関与や」
「か・・関与!?」
とんでもない話が転がってきたのだ
これ、犯罪的な話だよ!?
「ありえない・・!!」
「ああ、そうかもしれへんな・・けど、色々説があるとはいえ
病気という説もあれば、事故・・様々な中でも、特に有名なのは
王殺害説」
「「・・・。」」
二人の雰囲気が変わる
なんか、重い雰囲気に変わったような
気がした・・。
「その殺害説より、もっとも重要なのは、関与説や。」
「・・関与・・?」
「そや、その王殺害に関与説・・まぁ、失踪した王太子が殺害をしたのではないかと
噂が一時期流行ったことがあった・・けど、王太子がそんなことするはずがない
すぐ、噂は消えたけどな・・でも、信ぴょう性少しあるやろ・・?」
「・・・。」
本当にそうだろうか・・?
俺は、考えこんでいると
ラミアががしがしと頭を悩ませ
「もう一つ、その共犯者説もあるしな・・」
「共犯者・・?」
「それが、ジンの姉君である、アリアはんや・・。」
「え・・あ、姉君!?」
「正確には、異母兄弟や。」
「・・・。」
とんでもない話だよね・・。
アリアがジンの姉君
確かに、王太子なら、アリアは兄弟のはずだ
でも、異母兄弟とは驚いた
そして・・。
嘘だと思いたい
否定したい。
でも・・。
「うちからは以上や、旬からは何か質問は?」
「い・・いや」
これ以上混乱してしまうから質問なんてしたくない
真実なのか嘘なのか
分かりもしない何かに俺は答えようがないのだ
そんな、俺を見かねたのか
「その噂がでるのは仕方ないことよ・・。」
「え・・。」
俺は、アリアを見た
「な・・ほんまのことなんか!?」
思わずラミアの方がアリアに食いつく
「まさか、事実とでも真実でもない・・かといっても虚実
とかでもない」
「はぐらかすのか・・!?あんさんたちは!!」
「・・いいえ、そうね・・一部は本当・・といえばいいわね」
「・・どういうこと・・?」
すると、アリアはジンの方へと向く
「あの事件でオルフェと私はすべてを失った」
「ジ、ジン・・?」
「・・我は、知らなかったことは多すぎた。だから、その結果だ」
「・・・。」
俺は何も言えなかった。
「ねぇ、旬。」
「・・・?」
「貴方達だけに教えるわ・・私の秘密」
「アリア!!」
ジンは静止をするがアリアは首を横に振り
「もう騙し通すことは不可能・・
教えてあげる私の秘密を・・。」
パチンっと音を立てて
アリアは、ヴェールを外す
そこには・・。
「嘘や・・。」
その瞳は、黄金の瞳が、酷く光っている
暴走した瞳・・まるで、獣そのものだ。
「・・な、普通の王族は、ありえへん・・。」
「ど、どういうこと」
「・・私たち王族は力を使う以外、黄金の瞳は現れない
つまり、私はつねに力が放出され続けている危険な身ということよ。」
つねに・・?
じゃ、ずっと・・このまま・・・?
ラミアは、ありえへんと呟く
「・・。」
「なんで、そんな身になったんや!!」
ラミアは、怒りを露に叫ぶ
すると、アリアは平然として、その黄金の瞳を俺たちに向ける
「暴走したのよ。そう、私が・・ね。」
深い悲しみ
苦しみ
それはいいようがない・・話
俺には、答えようがなかった・・。
すると、俺の頭をポンっと撫でる
「ジン・・。」
そこには、思いつめた
ジンの姿があった・・。
「お前も我が父上を殺害したと思うのか?」
「え・・。」
ジンは真っ直ぐと俺を見る
その瞳は、悲しみと苦しみに揺れていた
「・・俺は・・。」
分かっている
ずっと一緒にいた仲間だから
裏切ることもない
だってそうだろ・・?
信じろ・・。
「・・。」
ジッと俺を見つめるその瞳
俺は口を開き
「俺は、何か理由があると思う・・ジンが、そこまで追い詰められた
理由があるはずだから・・。」
「・・・そうか。」
ジンは少しだけ安心したかのように笑みを浮かべる
先ほどまで、不満だらかなラミアも旬の言葉に感化されたのか
「旬。うちは、事実と真実は紙一重と思っとる・・けど、うちも
同じや、一緒にいたから分かる、うちはジンのことやアリアはんのことを
ことを信じとる。」
その言葉に俺は安心したのだ
味方がいることが・・。
「ありがとう・・ラミア」
すると、恥ずかしそう少しだけ頬を紅くして
「う、うちは、救われた身や・・信じなくてどうするんか・・
恩は返しておいたほうが人の為になるんや・・。」
紅い顔をしてそう言われても
説得力ないよラミア・・
俺はそう心の中で思った
俺達の様子を見ていたアリアは、くすっと含み笑いをして
「そう・・それなら、話してもいいかもしれない。」
「え・・?」
アリアの言葉にジンも同意する
「・・そうだな、我も旬やラミアは仲間だ
隠し事はもうするべきではないだろう・・。」
その二人の決意
揺るがない答えだ
そして、見せたのは・・
「貴方達を見て信頼できる人物だと私が判断したわ」
急にはっきりとした口調で話し始める
それは、人形でもない
王女であるアリアだ。
「・・あれは・・・。」
それは、長い時、封じ込められた記憶
始まるのだ・・。
すべてが・・。
次からは過去編が開始されます。
これは現在へとつなぐ物語となるので
では・・また次話でどうぞ。




