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少年、異世界に渡る  作者: 野上月子
第2章 ~シーフ、ラミア登場~
17/485

少年、すべては生きるために・・。

ラミアと少年のダッグ戦です。

さぁ、始まりますね。

では、どうぞ。

あの少女が俺の大事なものを奪ったのは分かっている

でも、目の前に迫っていたゴブリンを見たら

見逃すことが出来やしなかった

だから・・俺は、魔法を使った。

それが、良いことなのか悪いことなのか分からない

だってそうだろ?

俺は、魔法使いだからこそ

その力を正しく使っていきたい

だから・・。

どんな、結果になろうと

俺は悔いがなければ、それが良いはずだから。


                      *******


一気に叩きのめしたゴブリン、あれですべてではなかった

まだ、半数ぐらい残っている

ゴブリンたちの気迫がすごい

こっちまでビシビシと伝わっている

その感情は怒りだ、


旬はその様子を見ながら、息をのむ


「・・思ったより、しっこいね・・」

(ああ、奴らは、おそらくグレムリン達を倒した奴らを探している

 ようだ・・結構なことだ)



それは困るよね・・その犯人は俺たちなんだから

とにかく、さっさと倒してしまおう

そうしないと、このゴブリンたちの一撃は、かなり重そうだ

だけど一つ問題があるんだよね・・。

それは、ゴブリンが持っている斧だよ。

さっきは、不意打ちだったから良かったけど

今度はうまくいくか分からない

なぜなら、防御するはずからね・・。


そう困っていると、見かねたラミアが声をかける



「あんた、あの斧がなければ戦えるやろ?」

「え・・まぁ・・そうだけど」



すると、何かを考えたのかラミアは立ち上がる



「分かったわ。うちがなんとかしたる」

「えっ、で、でも、ケガしているじゃないか」


そう、ラミアの足は怪我をしているのか血が少し出ている

ラミアはそんなことどうでも良さそうに平然としている。


「ケガ・・?そんなもん、どうでもええ。」


ジャキっと音を立てて、サバイバルナイフが姿を現す


「少年。うちは、シーフや。物を盗むことは得意やで?」

「で、でも。この数では」



たしかに、さっきよりか少なくなっているけど

この強さは半端ではないはずだ

それに俺、今思うだけど防御もすごいゴブリン達からどうやって盗むつもりだろう

すると、ラミアは旬に不敵な笑みを浮かべる


「さっきは、怯えていたけどな。でも、今度は大丈夫や

 こんくらいならうちでもどうにかなるわ」


旬たちの前に立つ

ゴブリン達に立ち向かいだす

そして、当然ゴブリンたちもラミアを狙い出す


「あ、あぶない」


旬が思わず叫ぶ、ゴブリンの斧がラミアに振りかぶられる

とうのラミアに至っては怖がるどころか

挑発的な笑みを浮かべて


「きゃぁ・・っていうと思ったか?んな、わけないやろ」


全然、先ほどとは様子が違っている

しかも、その素早い行動で避け

ラミアは一瞬で、ゴブリンの隙間に入り込み


「うちの技の一つ・・”盗む”発動!!」


すると、光だしてゴブリン達の手から武器が盗まれる


「がぁぁ!?」


武器が無くなったことに、ゴブリンたちは驚いている

ラミアはニッと笑って


「ほな、その武器ありがたくもらっておくな」


ニコっと笑って、多数の斧を持って下がる


(旬、今だ!!)

「ああ、そうだね」


もう、ゴブリン達には自分の守るものは無い

これで終わりだ

俺が持てる力を持って倒す


「吹雪よすべてを凍らせろ」


「フリーズ」


さっきのアイスより重い攻撃だ

その途端、ゴブリンたちは身体が硬直し、凍結状態になる

そのとたん、ジンがすかさず一体ずつタックルすると

ゴブリンの身体はガラガラと崩れていった


「ふぅ」


なんとかなったな、俺、咄嗟に思いついた力を使ったけど

これで、良かっただよね・・。


そばには、少女が一人・・。

俺たちを見ていた


                 *******


「これ、あんたらから盗んだものを返すわ」


そういって、本とルナを返すラミアにそれを受け取る俺。


「なんで、そんなにいきなり返すの?」


俺たちから奪ったものを返すなんて

とてもじゃないけど信じられない

だけど、現に返してもらっている

一体どうして・・?

その様子をみたラミアが笑みを浮かべ


「決まっているやろ?助けられたからや。だから返すものなんや

 これでもシーフやからな」


「・・。」


なんだか、へんな泥棒。

あいからずよく分からない少女だ。

一体何で俺たちの大事なものを盗んだだろう・・?

そんな旬の考えのよそにラミアはキョロキョロと見ている


「・・にしても、あの兄ちゃんはどうしたんや?その狼は 

 何なん?」


そういえば、忘れていた

ジンが狼になっていたんだった

もう、元の姿に戻っても大丈夫みたいだしね。


「あ、忘れていたよ、ジン、元の姿に戻っていいよ」

(分かった。)


すると、光だし、ジンの身体を包み込む

そして、光が途絶えると、ジンが人に戻る


「・・なんや、人狼やったんか、これはまた驚いたな」


驚いているのかジンをジロジロ見る

そんな様子も気にしないのかジンは聞く


「さっきから、なぜ返す気になったのか?」


ラミアは真顔になり二人を見つめる


「言ったはずや、助けられたからや。普通にありえへん

 泥棒を助ける人間なんて今までいなかったからな

 感謝の代わりに返す・・それだけや」


「それだけ?でも、何か事情でもあるじゃないの?」

「そうだな、我もそう思う」


すると、ラミアの顔が少し曇る


「うちには守りたい子らがいるからや」

「え・・。」


ポッリとラミアが話し出す

それは、思いもよらない一言だったのだ


「うちにも守りたい子らいるように兄ちゃんがその少年を

 守るようなものや・・だけど、それにはお金がな・・。

 どうしても必要なんや。」


お金・・・。

それは、どういうことだろう

俺は気になった。

さっきから薄々感じていたこと

この少女は、どうも変だ。

ただで返すより、このどこか悲しそうな瞳

何かを背負っている顔だ。


「すまなかったな。あんたらの大事な物を盗ってしまって

 それに危ない所も助けてもらって・・心から詫びるわ」


ラミアは、申し訳なさそうな顔している

その時、俺は咄嗟に声を出してしまった


「なぁ、俺たちに何か手伝えることはないか?」


俺はなぜだが、放っておけなかった

なぜだが、わからないけど

この少女は、俺たちに何か隠している。

すると、少女はクッっと口を噛み締めて


「あんたらには無理や。いくら強くてもな。

 うちなんかに関わったら命がないで?」


その途端、ピクっと、反応する


「命が・・ない?」


「あ・・」


ハッとしたのかラミアは口を抑える

どうやら、とんでもない一言を告げたようだ

俺はすかさず、聞くことにした


「話してくれるよね・・助けてくれたお礼として」


「お礼か・・。仕方ない。あんたらが言うのなら

 話すわ」


それは、ラミア自身が背負っていること

俺には到底ありえないことだったのだ


「人質を取られているんや。それも村全体な。うちがシーフで奪ったお金を奴らに定期的に渡す。そうすることで、うちが守りたい子らつまり、孤児院の子供たちが死なずにすむからや」


「孤児院?」

ジンが聞くと、ラミアは頷いて


「そや、うちは孤児やからな。まぁ、平穏やった

 貧乏ながら・・だけど、奴らがある日突然、姿を現し

 うちらを脅迫しだしたんや・・」


「脅迫!?」

目をまるくする俺とジン

どうやら、事態は思わぬ方向に行くようだ


「・・・。」


つまり、この少女は俺たちから盗んでいたのは

脅迫している物からお金を渡すためだったんだ


「やから、あんたらがうちに関わると命が無いというのは

 そういうことや。」


ラミアはキッと俺たちに関わらせたくないのか強い拒否をする


「遅いよ。」

「え・・。」


目を丸くする

遅いんだよ。

俺たちは、話を聞いてしまったらもう止まれない



「俺たちに話してしまったんだ。当然、それで終わりだなんてしたくないんだ」

「でも、あんたらには関係ない!!これはうちの問題や!!」


強い拒否をぶっけるラミア、その瞳は揺らいでいる


「じゃ、なんで・・そんなに悲しそうなの?」

「え・・。」


そう、俺が気になっていたのは

その悲しそうな瞳をしていたから

だから・・放っておけなかったんだ・・。

ラミアは黙り、うつむく


「・・・。」


「俺は、巻き込まれるぐらい慣れているから」

「我も同じく。だから、大丈夫だ」


もう、巻き込まれるぐらいなりすぎているからね

命に関わることなんて日常茶番になっている

だから、そのぐらい構わない


「・・ええの?」


「え・・。」


「うちが、あんたらに助けを求めてええの?」


それは悲痛の声だった


「当たり前だよ、乗りかかった船に途中、降りることはできないよ」

「だよな、我もそう思う」


「・・おおきに。」


また、うつむき、その時見えた涙は、真珠のようだった


そして、涙を拭き、笑みを浮かべた少女


「もう一度、自己紹介するな、うちはラミア・ロディア

シーフや。得意技は”盗む”や」


そういってニッと笑う

先ほどの顔より不敵な笑みだ


「俺は、シュン・シナセ・・旬と、呼んで。魔法使いだよ。よろしく」

「我は、ジン、剣を使うが、人狼だ。よろしくな」


互いに握手をする

それは、始まりであった

少年、旬と人狼のジン

そして、シーフである、ラミア

その三人が出逢うことにより運命の邂逅が始まる・・。



さぁ、終わりましたね。

さて、次回は追加エピソード編として

ラミアの過去編を番外編で書きます。

では、楽しみにしていてくださいね。

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