現在までの主要な魔物たち
350話&コミカライズ第1巻発売&小説第4巻発売を記念し、登場人物……ですらない魔物たちについてのまとめを作りました。
レゴール支部のギルドマンたちがよく見る、あるいは作中に出てきた魔物の紹介です。
ギルドマンやハルペリアの学者たちが解釈している内容と、一部周知神プレイジオに記録された情報が混在しています。
重要な未公開情報などは伏せてありますが、初公開となる設定がそれを上回り数多く記載されています。
読んでいて面白くなるような書き方を意識したつもりですが、中には過去の話と矛盾する設定があるかもしれません。
その際は感想や誤字報告などでお知らせいただけると助かります。
また、大人の事情などによって後から修正されることもあるのでご注意ください。
【クレイジーボア】
:危険度: ☆☆
:討伐証明部位: 尻尾
:外観:イノシシ型の魔物。荒れた肌と毛皮に、大きめの牙を持つ。
:生態:雑食。群れを作ることもあるが、気性が荒いために勝手に離脱することも多い。見慣れない生き物を見つけると突進してかかる。
:戦闘:鋭く研がれた牙による突進が脅威。生半可な身体強化では押し返すことも難しく、バロアの森においては多くの新人ギルドマンがクレイジーボアの突進によって致命傷を負っている。屈強な後ろ足による蹴りも無視できない。
:備考:肉が美味であり、魔物肉の中ではかなりメジャーな位置を占める。人間によって飼いならされると一転して非常に穏やかな気質となり、豚として家畜化される。魔物の中でも数少ない、家畜化できる種として有名。
:碑文:生まれてすぐの個体でなければ家畜化は難しい。
:評判:
半端者「美味いし儲かるから好きだぞ。脂が良いんだ」
受付「はぐれた個体は農作物や人への被害が大きいため、積極的な討伐が推奨されています」
兵士「厄介な魔物だな。とにかく防御が得意な奴が前に出て固めて、一撃をいなしたら剣で……とは言われているが。あまり相手にはしたくないのが正直なところだ」
後輩「正直向かってくる時は結構怖いっスね。避けようとはしないから楽ではあるんスけど」
【チャージディア】
:危険度: ☆☆
:討伐証明部位: 尻尾
:外観:突き刺すことに特化した二本の鋭い角を持つ鹿型の魔物。
:生態:草食。下草や低い枝葉などを好んで食し、広範囲を歩いて回る。外敵を見つけると鋭利な角による攻撃を仕掛け、積極的に害そうとする。
:戦闘:角を用いた刺突を好む。突進が避けられた場合はある程度走り過ぎた後、再度の突進を試みることが多い。角を振り回すなどといった攻撃は意外と少ない。
:備考:赤身肉が美味である他、毛皮に様々な需要があり、良い値で取引される。角なども売れるため、全身に様々な価値がある魔物である。
:碑文:毛皮は時期によって価値が大きく変動する。
:評判:
半端者「常に遮蔽物を身近に置きながら逃げられるようにするのがセオリーだな」
兵士「角をどうにか弾けば剣でも対抗できる相手だ。クレイジーボアよりは与し易い」
受付「チャージディアの突進は安価な防具では防ぎきれません。軽装ギルドマンの方は、チャージディアとの戦闘はくれぐれも注意してください」
団長「――子鹿の角には薬効もあるぞ――」
【ハルパーフェレット】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: 毛皮全体、尾部不要
:外観:猫サイズのイタチに似た魔物。尾が長く扁平であり、側面が硬質で鋭い。
:生態:雑食。森を駆け回り、時には獲物を求めて樹を駆け上ることもある。肉食も可能だが、木の実などが好物ではあるらしい。取りづらい枝の末端に実ったものを尻尾で切り落とそうとする姿が時折見られる。
:戦闘:獰猛。噛みつきの他、尻尾を用いた斬りつけが油断ならない。切れ味はさほどでもないが、傷口が荒くなるために治療が高くつく。
:備考:毛皮が高級品であり、小柄な割に高値で売れる。
:碑文:変異個体は大型化し、ネームドとして各地に存在する。
:評判:
半端者「木を登ってくるってのがマジで厄介だ。基本的にバロアの森の木の上は安地なんだけどな……」
受付「毛皮は高級品として貴族街でも取り扱いがあるほどです。が、毛皮の状態に固執して蹴りだけで戦うことは推奨されていません。お気をつけください」
兵士「野営中に食料を盗む厄介な連中だ。……強いとか弱いとかは考えたことがないな」
後輩「弓じゃ全然当たらないっス……」
【ゴブリン】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: 鼻
:外観:小柄な人型。大きな鼻と耳。醜悪。基本的に灰色の肌だが、模様など個体差がある。
:生態:雑食。ほぼ雄のみであり、多くの哺乳類に対して欲情し、種族を超えて妊娠させることができる。成長速度も早いため、あらゆる場所に生息している。
:戦闘:攻撃速度は遅く、人間と比べれば非力であり、また知能も低く、挑発にも弱い。単体であれば一般人でも駆除に難儀することは少ないだろう。時折枝や棍棒などを装備する個体が現れるため、油断は禁物。
:備考:大きい群れなどでは統率する、多少大柄なホブゴブリンと呼ばれる個体がいる。知能の高さや体格の大きさから変異種かと思われていたが、リーダーとして狩りの分け前を多く摂っているために差が生まれているだけという説が有力である。
:碑文:変異種としてサイクロプスやオーガが存在する。
:評判:
半端者「昔は耳が討伐証明部位だったらしい。鼻より衛生的だろ。戻してくれよ……」
受付「ゴブリンの被害は軽視されがちですが、徒党を組まれると厄介な魔物であることは間違いありません。ギルドでは貢献度を高く設定しています」
兵士「ゴブリンなんて、自警団やギルドマンが相手にする魔物だからなぁ。俺達の出る幕じゃない」
【サイクロプス】
:危険度: ☆☆☆☆
:討伐証明部位: 虹彩の半分以上
:外観:3m近くある人型、一つ目。毛深く、汚らしい。
:生態:雑食。自分より小さい生き物は全て食料と見なし、襲いかかってくる。満腹であっても目に映る相手には反射的に攻撃してくることがある。
:戦闘:大柄だが俊敏であり、力も強い。ゴブリンと同等かそれ以下の知能であると考えられているが、その考察が慰めにならないほど強いため、侮れる相手ではない。
:備考:雑食ではあるものの、基本的には肉食である。長期間肉食できていない個体は見るからに不調であり、力強さがない。
:碑文:戦闘時や狩猟時には魔力を用いて全身を強化している。平時は魔力の消耗を抑えて緩慢な四足歩行をすることが多い。
:評判:
半端者「デカいゴブリンだな。まあ、サイクロプスはゴブリンを食うことも多いみたいだが……」
受付「非常に危険な魔物です。発見された場合、必ず周囲を警戒することになっています。複数の個体が見つかるケースは稀ですが……」
兵士「強力な魔物だが、防具をつけているわけでもない。複数人でかかれば討伐できるだろう」
団長「眼を射抜けば簡単な相手ね」
【オーガ】
:危険度: ☆☆☆☆☆☆
:討伐証明部位: 首もしくは下顎
:外観:2mから2.5mほどの人型。浅黒い肌に髪。二本の角。恐ろしい形相をしている。
:生態:雑食。サイクロプスほどの大食漢ではないが、体格相応に色々食べる。知能が高く、棍棒を好んで活用する。暴力的かつ残虐な性格であり、捕食目的でなくとも気まぐれに人を殺すことがある。
:戦闘:魔力の波動を目視することができ、スキルや魔法の発動に対して機敏に反応する。同じ理由から夜目が利き、暗所でのオーガとの戦いは非常に不利である。魔力による全身の強化能力は卓越しており、ただの棍棒であってもそう容易く防げるものではない。
:備考:発見した場合、優先的に討伐部隊が組まれる魔物。ゴールドランク複数であたる必要がある。
:碑文:サイクロプスと同じく、ゴブリンの突然変異種である。
:評判:
半端者「棍棒ですら脅威なのに、人間の武器なんか持ってたらそりゃ危ないわな……」
受付「発生地域によっては兵士を派遣することもありますが……ゴールド以上の実力者でなければ軍人であっても厳しい相手がオーガです。魔物討伐はギルドマンの仕事という認識もありますので基本はゴールドランクの方々に動いてもらう形となりますね……」
兵士「正直に言って、戦いたくない相手だ。良い話は聞かないからな」
【クレセントグリズリー】
:危険度: ☆☆☆☆
:討伐証明部位: 胆嚢
:外観:3m近くある黒い熊型の魔物。腹部に黄色い三日月模様がある。
:生態:雑食。個体によって好みの違いが大きく、偏食である。バロアの森にはあまり数がおらず、山岳部などで見られることが多い。
:戦闘:分厚い毛皮と鋭い爪を持ち、戦闘時は二足歩行で襲いかかってくる。頭蓋骨が強靭であり、矢の通りが悪い。ロングソードによる速やかな討伐が推奨されている。
:備考:毛皮や肉にも利用価値はあるが、熊胆が薬として特に珍重されている。
:碑文:打撃が有効打になり難いため、サングレール聖王国内では一段高めに危険度が設定されている。
:評判:
半端者「肉は美味いっちゃ美味いけどボアほどではないな。熊胆は……これ本当に効くのかね?」
受付「クレセントグリズリーがバロアの森で発見された場合、一体であっても調査及び討伐任務が組まれます。非常に危険ですので、出没地域には近づかないでください」
兵士「非常に危険な魔物だ。滅多に遭遇することはないが……できれば相手にしたくない。魔物討伐はギルドマンが専門なのだから、そちらに任せたいところだ」
魔女「二本足で立つから魔法が当てやすいよね」
【マルッコ鳩】
:危険度: なし
:討伐証明部位: なし
:外観:ふくふくと膨れた丸っこい鳩。キジに近い模様。
:生態:雑食。他の生き物が食さないバロアの実を好んで食べる。バロアの森の樹上には天敵が少なく食料にも困らないため、おだやかな性格をしている個体が多い。
:戦闘:何かを襲うことはほとんどない。危険を感じると不安定な飛行で逃げる。
:備考:肉が食用に向く。羽毛を集めれば換金することもできる。
:碑文:肝が比較的大きいのはバロアの実の毒素に対応するためである。
:評判:
半端者「焼き鳥にするとうめえんだ。けど木の上だからなー」
後輩「警戒心も薄いし狙い放題の鳥っス。一時期はお世話になってたっス」
受付「狩猟可能な鳥獣です。くれぐれも、他の非狩猟鳥獣と間違わないようにしてくださいね。……まあ、見た目が特徴的なので、間違うことはないとは思いますが……」
老人「食っちゃいけねえ鳥を食ってるとこを誰かに見られたらな、こいつはマルッコ鳩だって言っときゃ良いんだよ。ガハハハ!」
【スケルトン】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: なし、遺品や身分証などがあれば遺骨と共に回収が推奨される
:外観:白骨、あるいは損壊した死体。
:生態:死後放置された白骨がアンデッド化し、ひとりでに動き回り、時に人間を襲う。生前の行動を模倣するような個体もあるが、基本的に意思疎通はできない。
:戦闘:完全な白骨体は脆く弱い。肉が残っている個体も、噛みつかれない限りは怪我を負うこともないだろう。速やかに討伐し、遺品を回収することが求められる。
:備考:看取られることなく人知れず死んだ者の末路。死体のアンデッド化を防ぐため、死んだ人間は火葬するか、首や背骨を折る必要がある。
:碑文:死後手にしていた物品や本人の能力により、異なるアンデッドに派生する場合がある。
:評判:
半端者「まあ、見てて気持ちの良いもんじゃねえよな。さっさと眠らせてやるのが一番だ」
受付「アンデッド化したギルドマンを見つけた場合、可能な限り遺品や認識票を回収してください」
兵士「トワイス平野に置き去りにされた死体が孤独に歩き回っている姿を砦から見ることがある。哀れな姿さ。……そいつらを逝かせてやるために平野を単騎駆けすることは、ハルペリアとサングレールの間では暗黙の了解として許されている」
【パイクホッパー】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: 尖った額の甲殻
:外観:犬サイズの大型のバッタ。額の甲殻がやや尖っている。
:生態:春頃に各地に出没し、麦などイネ科の植物を好んで食べる。外敵を見つけると、尖った額を用いた突進攻撃を仕掛けてくる。
:戦闘:機動力は低めだが、強力な後ろ脚による瞬発力とそれによる尖った額を用いた頭突きが脅威。幸い尖っているといっても鋭いわけではないのでチャージディアほどの威力はないが、複数体いる場合は多方向からの突進攻撃に注意しなければならない。
:備考:甲殻が分厚いが、内部に食用に向く体組織を持つ。淡白な味だがサングレールなどでは一般的に食用とされている虫肉である。また、額の頑丈な甲殻を用いた防具類が安価であり、駆け出しのギルドマンには人気がある。
:碑文:翅を有しているが、飛ぶことはできない。
:評判:
半端者「案外、虫の肉も食えるもんだな。別に美味いってほどではないが」
受付「農業被害の大きな魔物です。春先の大量発生時には、是非とも各地に赴き討伐を行ってください」
兵士「基本的にはギルドマンの仕事だが、連中の手が回らない時には俺らも出動することになる。ま、楽な仕事だ」
【イビルフライ】
:危険度: ☆☆☆
:討伐証明部位: 複眼
:外観:1m近い大型の蝶。基本的に銀色だが、光の加減により黒にも紫にも見える。
:生態:イビルフラワーの蜜を好む。イビルフラワーはバロアの森の奥地に多く存在するが、春になると浅い場所にも生えるため、イビルフライが発生することがある。鱗粉を受けた生き物は一定時間後に直近の短期記憶を忘却してしまう。そのため、気がつくといつの間にか別の場所にいたりだとか、戦闘をしていたりといった事象に苛まれる。
:戦闘:鱗粉は吸わなくても身体で受けるだけでも効果を発揮するため、接近戦では確実に記憶を喪失する。記憶喪失の効果を発揮するまで数十秒から数分のタイムラグはあるものの、戦闘中に効果が発揮されると非常に厄介。イビルフライもそれをわかっているのか、敵を発見した場合は逃げるか、あるいは突進を行い鱗粉を浴びせかけてくる。とにかく速やかな討伐が求められる。
:備考:イビルフライの記憶喪失を逆手に取った、人間による犯罪行為が報告されている。鱗粉を受けた場合はパーティーメンバーは余計な行動をせず、また余計に喋らないことが最良とされる。
:碑文:イビルフライの鱗粉に人間の悪意を直接的に増強する効果は無い。
:評判:
半端者「最悪の魔物だよ。絶滅しねえかな」
受付「イビルフライの討伐は必ず複数人で、万全の状態を整えた上で行ってください。装備が整っていない場合、退避することもひとつの手です」
兵士「イビルフライの鱗粉には、人の悪意を誘発する成分があると言われている。奴らが死んだ後には失活するそうだが……俺が思うに、効果は長く残り続けているよ」
剣士「他の魔物と同時に現れた時は最悪です。何が最悪って……それも覚えてないのが最悪なんですよね」
【クレータートード】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: 弓形の下顎
:外観:体表にクレーター型のイボを有する、人と同じ程度のサイズのカエル。
:生態:春になると各地に現れ、虫や鳥類などの小動物を捕食する。穏やかな性格で、外敵が近くに接近しても動かないことがある。
:戦闘:跳躍からの踏みつけなどを得意とする。そこそこの重さがあるため、直撃すると危険。また、横から飛びかかられて引き倒されることもあるので、常に正面に向かないように位置取りを工夫する必要がある。逆に言えば、それ以外には特に脅威がない。
:備考:可食部が多く美味。また、分泌される油は食用には向かないが整備油としては優良。
:碑文:農作物を食害することはあまりないが、相応の体重によって畑を無遠慮に踏み荒らすことはあるので嫌われている。
:評判:
半端者「なかなか美味いんだこいつが。骨も結構良い出汁出るしな」
受付「春は色々と討伐対象が増えますから大忙しです。クレータートードも無害というわけではないので、見つけ次第アイアンランクの方々にお願いしています」
兵士「野営の時、食料として世話になる魔物だ。装備の整備もできて文句のつけようもない」
【クヴェスナ】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: 尾部の棘
:外観:アンデッドのようにも見える骨格じみた多脚生物。長い首と尾、翅を持つ。
:生態:前触れなく集団で現れ、無目的に徘徊する。狩りはしないが、接近した生物に対して攻撃的な態度を見せることはある。
:戦闘:人間などがいる場合、多脚によって接近し、長い首を伸ばして頭部をぶつけるか、噛みついてくる。ただし咬合力も歯そのものもあまりないため、大した脅威にはならない。強めに胴体を殴打すれば破壊できるため、苦戦することはない。
:備考:アンデッドの一種であると考えられている。骨の大部分は利用に向かないが、尾部の先端に限っては魔族が食用にできる。
:碑文:アンデッドではない。
:評判:
半端者「なんもわからん」
受付「危険度の低いアンデッドです。出現が発覚した場合、念の為にアイアンランクの方に討伐を依頼することがあります」
学者「本当にアンデッドなのだろうか? しかし、調査の必要は感じられない」
兵士「スケルトンよりは全然マシな相手だ。人型でなければ気兼ねなく壊してやれる」
【オーユンリ】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: なし
:外観:椎の実型の本体に葉のような翅が二枚付随し、翅は時折力なくはためいている。
:生態:不明。前触れなく出現し、その場から身動きすることがない。植物や貝類に近いものと思われる。本体内部は圧力の高い弱毒ガスが充満しており、近付く相手に対して体表の部分部分にある気孔から噴射し、牽制する。
:戦闘:ガスの噴射以外にこれといった抵抗は見られない。
:備考:ほぼ外骨格に近い構造だが、内部は骨らしいものが疎らに存在する他、内臓と思われる何らかの塊が存在する。魔族はこの内部の塊であれば食用にできるらしく、この物質の回収作業が討伐とみなされる。塊はオーユンリ一体につき約70kgほど回収できる。
:碑文:完全に機能を停止するか、外殻が破損して内部のガスが大きく漏洩しない限り、内部の塊は活動を続けている。
:評判:
半端者「マジでなんもわからん」
受付「撤去の際に運び出さなければならない総重量が重く、焼却の手間もありなかなか面倒な魔物ですよね。魔族の方向けの食料が採集できると判明してからは、積極的な討伐が組まれるようになったみたいです」
魔族「……特別美味いわけではない」
兵士「俺達が相手するような魔物ではないな。詳しいことも知らん」
【ジェリースライム】
:危険度: なし
:討伐証明部位: なし、捕獲対象
:外観:クラゲに似たスライムである。傘の部分の3~4倍の長さの触手を持ち、宙に浮かんでいる。体組織は弱めの消化液に近いもので構成されている。
:生態:春頃にハルペリア各地に現れるスライムの一種。ふわふわと浮かび、空気中の有機物などを捕らえて内部で消化吸収する。
:戦闘:戦闘能力はなく、捕獲しても逃げる気配はない。
:備考:有機物を消化吸収する性質から、下水道などの汚物の多い場所などに放逐することで衛生を保つために利用される他、ペースト状にしたジェリースライムが消毒薬に近い利用をされることもある。精霊祭においては着色や飾りつけがなされ、街の彩りにも一役買ってくれる。
:碑文:休眠時は浮遊せず土中に生息している。
:評判:
半端者「着色されると結構綺麗なんだよな。ちょっと可哀想だけど」
受付「ジェリースライムは用途が多いですから、アイアンランクの方にも積極的に捕獲していただきたいですね」
匿名「ジェリースライムって本当に便利だよねー……」
大工「壁で破裂されると色落ちするのが厄介でなぁ……」
【クロステールスライム】
:危険度: ☆
:討伐証明部位: なし
:外観:緑色の半透明な身体。全長5m、体高1mの大型スライム。身体の両端が細くなっており、鞭のようにしならせて辺りを叩きつけている。
:生態:植物などを吸収し分解している。基本的にはのたうち回るようにして緩慢に移動しつつ、近くの草などを食べている。
:戦闘:近づいてきた相手を身体の両端にある鞭状の組織で叩く。あるいは巨体を活かして押しつぶそうとする。重量があるため、潰される危険のある真横から戦うのは得策ではない。
:備考:農地にまで進出することはほとんどないが、万が一そこまでの侵入を許すと農作物に大きな被害が出るため、発見次第討伐が推奨されている。
:碑文:巨大なミカヅキモである。
:評判:
半端者「毒にも薬にもならない魔物だ。ただただ青臭え」
受付「クロステールスライムは……あまりギルドで取り扱わない魔物ですねえ。被害報告も多くあるわけではないですし……」
兵士「あー……聞いたことはある。それだけの魔物だな……詳しくは全く知らん」




