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貴方と背中を合わせる理由。(仮)  作者: はつい
第壱縁:ボーイ・ミーツ・・・・・・?
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第Ⅱ話:溜め息は本当に幸せを逃がすのか。

構成がわかりにくいかなぁ、やっぱり。

 自宅謹慎。

それが封書の内容だった。

しかも、無期限。

即刻、所長室に抗議を試みようとしたのだが、所長は既に海外出張に出かけてしまったらしい。

こういう方法を所長が取ったという事は、少なくとも出張期間中は、自宅謹慎という事だ。

だが、封書の内容はそれだけでは終わらなかった。

自宅謹慎期間=所長の出張期間、彼の息子の面倒を見ろ、と。

職権濫用も甚だしい。

抗議しようにも所長がいないというのが、また憎たらしい。

しかし、面倒を見ている期間中は、特別手当付きの有給扱いにするという一文だけは、流石に弁護士事務所の所長だと思った。

パワハラを見事な取引きにすり替えている。

半ば強制的なのは、変わりないないが。


「腹をくくれってコトね・・・。」


 提案を一蹴する事は簡単ではあった。

荷物をまとめて、ここをさっさと辞めてしまえばいいのだ。

しかしこの不況のご時勢、ここ以上の待遇と充実感は持てないだろう。


「いいじゃないの・・・女は度胸よ!!」


 今度は封書を叩きつけて、どんっと胸を張る。

ワンテンポ遅れて、彼女の胸も大きく揺れて決意を主張したのであった。





「はぁーっ?!」

 

 一方その頃、静流と同じようにマンションの一角で大きな声を受話器に向かって上げる少年がいた。


「だから、今日からワシの代わりにお前の面倒を見てくれる人を送るとだな・・・。」


「今まで、僕の面倒はじぃちゃんとばぁちゃんが見てくれて、親父は何もしなかっただろっ!」


 少年はその言葉を言って少し泣きそうになったが、それを何とか堪えて言葉を続けた。


「第一、今まで何とかなっただろ?」


「おう、親は無くても子は育つだ。」


 最近、少しずつ慣れてはきたが、父のいい加減さは酷すぎる。

これで"国際弁護士"という肩書きがあるのだから、納得出来ない。

本当は集団詐欺で弁護される側なんじゃないんだろうかと、彼は常々思っているくらいだ。


「もぅ、とにかく断るからね?・・・失礼だから、夕飯くらいは食べていってもらうけどさ・・・。」


 流石に一方的に断って、『はい、さようなら。』は失礼だと思った。

それくらいは、あの父を見ていれば学べるコト。


「まぁまぁ、征樹まさき。全てこの父に任せろ、な?」


「任せてロクな試しなんかなかった。・・・もう切るよ?夕飯作るから・・・。」


 征樹は力無く項垂れたまま、電話の受話器を置くとそのまま冷蔵庫に向かった。


「何作ろうかナァ・・・。」


 正直、このあおい 征樹まさきという少年にとっては、面倒を見てくれる存在は必要ではなかった。

それ程に重要ではないのだ。

幼少期には既に母は亡く。

祖父母が彼の面倒を見てくれた。

そこでの祖父母の過保護っぷりは激しかったが、常識範囲内外、諸々。

一人で生きていけるだけの知識は詰め込まれたと思う。

家事もそうだ。

まぁ、常識範囲外の部分は、盆栽だとか武道だとか、お茶とかだ。

この偏り具合は、祖母と祖父のそれぞれの顔を立てた結果。

どちらかの意見のみを採用すると、たちまちもう片方がイジける。

子供心に困った自分が、そういう意味での祖父母の過保護に振り回されていった。

過保護という意味はソレだ。

お陰で現在の生活に特段問題は無かった。

寧ろ、独り暮らしは彼にとって気楽。

ただ、予想通りの父の放置っぷりに少しだけの落胆はあったけれど。


「あの親父の部下だもんな・・・可哀想に・・・。」


 そんな父に普段から振り回されている部下だ。

きっと今回も、強制的にやらされてるに違いない。

冷蔵庫の中身を確認して、アレコレと頭の中で献立をまとめると、思いっ切り溜め息をついた。

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