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完全無欠の悪役令嬢はポンコツヒロインをほうっておけない  作者: Kei
第三章 建国祭はフラグ祭り

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最後のフラグ 1

「武術大会、大迫力でしたね!」


 リナは興奮冷めやらぬ様子で、素振りをする仕草を繰り返している。

 無駄に腕力があるので、すぐ隣でやられると少し危なっかしい。


 武術大会の決勝戦を観戦した私たちは、会場を後にし、大通りから少し外れた場所を歩いていた。

 私が「少し休憩をしましょう」と提案し、人混みを避けて静かな通りへ向かったのだ。


 決勝戦は王立騎士団のヴィンセント団長とライオネルの対戦だった。

 ゲーム内では、この勝敗はヒロインとの好感度に左右される。好感度が一定以上であれば、ライオネルはヒロインのために団長を破り、優勝する。


 そして──つい先程。

 ライオネルは団長を下し、見事優勝した。


 私は今日、何度目かわからないガッツポーズを心の中で繰り出した。

 リナとライオネルの好感度は、しっかり一定以上に達している。無事、フラグ獲得である。


 試合前、ライオネルが登場した瞬間から私は心の中で「勝て勝て勝て」と念を送り続けていた。

 もしかしたら、その思いが通じたのかもしれない。目が合ったような気がしたし。


 試合後、闘技場を出ようとする私たちに、ライオネルが声をかけてきた。


「応援、ありがとうございました」


 団長との激闘で疲れているはずなのに、わざわざ律儀に挨拶に来るなんて。

 リナとルークが彼を褒めちぎると、ライオネルは少し照れくさそうに微笑んだ。尊い。


 彼はそのまま、ちらりと私に視線を向ける。少し乱れた髪と滴る汗が、妙に色気を放っていて、私は思わずたじろぎそうになる。


「おい、ライ。デレデレしてんじゃねぇぞ!」


 その声とともに、ライオネルの首にヴィンセント団長の野太い腕が回される。

 もう少しで倒れそうだった私は、その腕に救われた。


「デ、デレデレって……誰もそんなことしてないでしょう!?」

「俺に一回勝ったくらいで調子乗んな!」


 団長は豪快に笑いながら、ライオネルの肩をぐいっと引き寄せる。


「今回は俺の女神が身重で応援に来れなかったのと、お前の女神がたまたま見に来てただけで──」

「わーっ!」


 ライオネルが珍しく慌てふためき、団長の口を慌てて塞ぐ。

 耳まで赤く染まった彼は「で、では、これで失礼します!」と、団長の口を塞いだままズルズルと引きずって行ってしまった。


 取り残された私たちは、ぽかんとその様子を見送った後、首をひねりながら闘技場を後にしたのだった。

次回は2/26(水) 19:00更新予定です。

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 完全無欠の悪役令嬢はポンコツヒロインをほうっておけない
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