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完全無欠の悪役令嬢はポンコツヒロインをほうっておけない  作者: Kei
第三章 建国祭はフラグ祭り

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フラグ回収の旅

 無事に定期テストが終了し、リナはようやく地獄のような対策期間から解放された。


 結果は──まぁ、ギリギリ平均点といったところ。赤点は回避できたものの、まだまだ課題は山積みだ。

 特に午後の実技では、魔術の制御が思うようにいかなかったらしい。他のことが気になって集中できなかったとのこと。後で、ルークに「姉さんのせいだよ」と叱られた。


 濡れ衣だ。……たぶん。


 それでも、入学当初のポンコツぶりからすれば、かなりの成長を遂げている。このまま努力を続ければ、グランドナイトガラ──攻略キャラのルート分岐までには、必要な実力を身につけられるはずだ。


 そう。次に重要なのは、確実に各攻略キャラのルートに入るためのフラグを立てること。


 その絶好の機会が、建国祭である。


 エルデンローゼ王国の建国祭は、定期テスト直後に開催される伝統的な一大イベントだ。

 王国の建国記念日を含めた三日間、全国民が王国の繁栄に感謝し、未来への願いを込めて祝う特別なお祭りとなる。


 王都では早朝から鐘の音が響き渡り、街には色とりどりの旗や花飾りがあふれる。各家の玄関には国花である《ミスティルローズ》が飾られ、家々の扉は通りに面して開かれる。これは「隣人と祝福を分かち合う」という古い伝統に由来するものだ。


 広場では騎士団や魔術師団、楽団が行進し、王宮のバルコニーからは王族が姿を現す。国王が国民に向けて祝辞を述べると、集まった人々は歓声を上げ、祝福の歌を口ずさむ。最終日の夜には、王都を中心に国内各地で盛大な花火が打ち上げられ、王国の空が華やかに彩られる。


 城下町や地方都市では市場や屋台が立ち並び、一般市民も楽しめる催しが続く。子供から大人までが参加できる多彩な行事は、この王国が誇る「民と共に歩む文化」の象徴でもある。


 この日を迎えるため、人々は何ヶ月も前から準備を重ね、祝福の装飾や料理を用意する。どれだけ貧しい家でも、小さな《ミスティルローズ》だけは必ず飾ると言われている。


 ──とはいえ、今の私にとって建国祭の歴史や意義は、正直どうでもいい。

 重要なのは、この建国祭が攻略キャラとのルートに進むための必須イベントだということだ。


 フラグが山のように積み重なる、絶好のチャンス。

 リナの未来──そして世界の命運を握る、重要な祭りである。


 しかし、建国祭の初日は王国記念式典が行われるため、私も参加しなければならない。

 筆頭公爵家の令嬢である私が、これをサボるわけにはいかない。エヴァレット家の名にかけて、ここは完璧にこなすしかない。


 勝負は二日目と三日目だ。

 初日の責務を終えたら、リナを連れてフラグ回収の旅に出る──このお祭りが、彼女にとっても、そして私にとっても正念場となるのだから。

次回は2/14(金) 19:00更新予定です。

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