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57話 扉の奥に待っていたものは

 俺達は無事に50層の扉まで辿り着く事が出来た。そこに辿り着くまでの道程は大賢者の塔に比べれば楽なものだったが、この迷宮でここまで辿り着いたのが両手の指で足りるくらいしか居ないと知っている分、自分達の成長と実力を感じる事が出来た。


「ただの子供でしかなかった私達がここまで来る事が出来たのか、物語や昔話で聞いていた場所に立つなんて夢にも思わなかったな。」


「本当だね、ジン君と出会っちゃってわたし達本当に強くなったんだね。」


「みんなには才能があって、その上で努力して強くなったからここまで来れたんだよ、俺の力じゃないさ。マリーだってそう、素晴らしい才能を持っていたんだよ。」


「ありがとう、ジンにぃ。」


「だけどみんな、ここがゴールじゃないぞ。大賢者の塔を攻略して魔神を封印するのがゴールだからな、まだまだ頑張って貰わないと!」


 なんだがいい雰囲気になっていたので一応釘を刺しておく。


「も、勿論分かっている。今のはただの感想だ、感想。」


「そう、そうだよ、勿論わたしだって分かってるんだから。」


「はは、冗談だよ。みんなこれからも宜しく!」


 和やかな雰囲気になったが、今からボスの部屋に入れるかどうか試す大事な時間だった事を思い出しす。


「よし、じゃあボスの扉に手を掛けるぞ、上手くいけばそのままボス戦だ。」


 みんなの喉が鳴った。この500年、扉を開く方法は分かっていない。未だに開かない開かずの間となっている。

 俺は覚悟を決めて扉に手を掛ける、すると扉はギギッという音を立て開いていった。


「ははは、なんだか知らないけど開いたぞ?」


 半笑いで後ろを見るとみんなは口を開けてポカンとしている。


「と、とりあえず入ってみよう。ボスを確認してやばそうならすぐ逃げよう。」


 歩を進め、ボスが見える位置まで来た。そこに居たのは上位の竜種である事は間違いなかった。そしてあろう事か、その竜は話し掛けてきたのだ。


「ほほう、この扉を開ける者が現れるとは思わなんだ。よく来た、大賢者よ。」


「あなたには私が大賢者だと分かるのですか!?」


「うむ、なぜならその扉は大賢者にしか開く事は出来ん。そして我は長い時を生き、大賢者に竜の里の場所を教えるのが役目なのじゃ。」


 話しが急すぎてよく分からない、なぜ竜の里とやらに行かなければならないのだろうか。


「ふむ、よく分からんという顔をしておるな。お主はこの世界に魔神が復活するのは知っておるな?」


 俺が頷くのを見て竜は話しを続ける。


「その為に大賢者の塔を攻略する必要がある、しかし大賢者の塔の最奥にある扉を開けるにはあるモノが必要になる。それが竜の里にあるのじゃ。これは代々の竜の長と我しか知らぬ事、そして魔神の手の者に悟られぬよう神の口からも語られぬ事じゃ。」


「と、いう事は自力でここの秘密を知るか竜の里へ辿り着かない限り、大賢者の塔は攻略出来なかったという事ですか。」


「そうじゃ、毎回のように大賢者の塔や神の周りには魔神の策略が張り巡らされておる。それを掻い潜る為にこのような方法を取っておるのじゃ。間違っても魔神の手の者に大賢者の塔を攻略されぬ為にな。」


 確かに、今回は大賢者の塔のモンスターが魔石になったり、転移が出来なくなったりと罠はあった。1000年に1度復活する度に何か仕掛けて来ているのだろう、その為にこの場所で竜が待っていたのか。


「分かったようじゃな、では大賢者よ。こちらへ来い、お主の頭の中へ直接情報を流す。口に出せば悟られる可能性があるのでな。」


 竜の側によると周りの時間が止まったような感覚を感じた。


「我の周りには結界が張ってある、これも必要な事なのじゃ。」


 竜は俺の頭に手を置いた。その瞬間、竜の里について、そして繰り返される戦いの歴史や、扉を開く方法が頭の中に流れ込んでくる。


「ぐっ・・・。」


「大丈夫じゃ、身体の力を抜き、流れに身を任せるのじゃ。」


 意識がハッキリして、周りを見るとみんなが不思議な顔でこちらを見ていた。


「他の者には一瞬の出来事じゃ。これでお主は理解したはずじゃ。行くがよい。」


「ありがとうございます。必ず魔神を封印してみせます。」


 竜の表情は分からないが多分満足気な顔をしているんだと思う。未だに不安そうなみんなの方をしっかり見て口を開く。


「よし、これでこの迷宮の攻略は終わりだ!これから俺達は竜の里を目指す事になった!」


「竜の里だと!?本当に存在していたのか!!」


「あぁ、そこへ行く道も方法も分かった。そこに大賢者の塔を攻略する鍵があるんだ。」


 ローズは複雑な顔をしているが、クロとマリーは楽しそうだ。普通に生きている限り訪れる事はない場所だろうし、俺は楽しみだ。


「ふぅ、行くしかあるまい。クロやマリーは楽しみなようだしな。正直私も行ってみたいと思っていたんだ。」


「よし、じゃあ今日はおいしいもの食べて宿でゆっくり休んで、明日買い物してから出発しよう!」


 その日は美味しい物を食べて、宿屋も2部屋取れたので久しぶりにお楽しみをしてゆっくりと寝る事が出来た。明日は竜の里へ向かう、どんな場所か分からないがどんな場所なのか、どんな食べ物があるのか楽しみでしょうがない。

お読み頂きありがとうございます。

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