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49話 大賢者の塔 その8

 20層での激闘を終えて、俺達は21層へと向かっている。色々と考える事はあるが、今は兎に角前に進むしかない。

 21層は1層から10層までと同じ迷宮タイプのようだ、こうなると常に警戒をしながら進まなければならない。


「ジン君、多分あそこにあるのは罠だよ。」


「くそ、罠もあるのか。これはかなり辛いな。クロはすまないが警戒と罠の解除を頼む。スノーも警戒に当たってくれ。」


「分かった、任せて!」


 通路の広さもあるのでスノーとイズミを召喚して、スノーにはクロと一緒に警戒してもらい、イズミは最後尾で背後の警戒だ。クロが言うには罠自体は大したことがないが、掛かるとモンスターを集めるものらしい。何が出るか分からないし、こんな通路で大量のモンスターに挟まれるとかなり危険なので慎重に進まなければならない。


「前方から敵。数は3体!」


 クロの声で我に帰り前方を確認すると、見えたのは犬人族だった。犬のような手足に人に近い顔を持つ者や、人のような身体に犬の顔を持つ者などが手に武器を持ち襲って来る。こいつらは素早く、土魔法を得意としている。


「大丈夫だ、しっかりと武器に対応して戦うんだ。」


「グルルルゥゥ!」


 1体が唸りを上げ手に持った棍棒でローズに襲い掛かる、ローズは落ち着いて盾で受け止めそのまま盾で犬人族の身体を弾き飛ばす。


「大丈夫だ、こいつらの攻撃力は大したことはない。仲間を呼ばれない内に素早く確実に倒せ!」


 ローズが言った通りこいつらは瀕死になると仲間を呼ぶ為の遠吠えを使う。すると近くに居る犬人族が寄って来るので使われないように倒さなければならない。


「わかりました、ローズおねぇちゃん。ワンちゃん、ごめんなさい!」


 マリーは犬成分が高い犬人族を謝りながら切っていた。マリーは動物が大好きだからこいつらは戦いにくかったのかもしれないが、情けは無用だ。


「マリー、こいつらは敵だぞ。情けや手加減などするな!」


「マリーちゃんの気持ちもちょっとは分かるかもなぁ。ハッ!」


 クロがマリーに同調しながらも犬人族の股間を蹴り上げ頭を殴り飛ばす。全く手心を加える気配はない。


「よし、こいつで最後か。私に任せておけ!」


 ローズが最後の1体を倒して21層の最初の戦闘は終了した。20層のボスで苦戦しただけに警戒していただ、これならなんともない。しっかり余力を残して進めそうだ。


 途中で1度だけ倒し切れずに仲間を呼ばれてしまったがなんとか切り抜ける事が出来た。他にはこれといった問題もなく階段まで辿り着いた。俺は確認したい事があったので先に休ませて貰う事にした。



「久しぶりですね、ジン。今日はどうしたのですか?」


「お久しぶりです、アリスティル様。実は確認したい事がありまして。」


 俺は久しぶりに『交信』を使って夢の中でこの世界の女神であるアリスティル様と話している。この力も久しぶりに使ったので上手く行くか不安だったが、ちゃんと対応してくれたようだ。

 前回20層のボスの時に思ったよりも武器や防具が疲弊した為に、何かいい方法がないか。それと途中で塔へ出入り出来ないのかを確認する為だ。


「なるほど、そういう事ですか。武器や防具の修復については私や神々では対応出来ませんね。それと出入りについてですが、こちらは創造神様の担当になるのです。ですから私が確認を取って明日、改めてお呼びしますね。」


「わかりました。お願いします。」



 その日はそれで話しを終えて目を覚ました。この日は22層へと挑戦する事になっていたので朝から準備をして22層への階段を昇る、22層で待っていたのは魚人族だった。

 魚人族は男性型は顔は魚そのもので身体は人間に近く、水掻きと足ひれを持っている。女性型は顔は人間に近いが身体は全身に鱗があり、魚の特徴を多く残している。槍や水魔法を得意としており、陸上でも他のモンスターと同じ動きをするが水中ではその危険度は倍程まで増す。


「ジンにぃ、なんかあいつら気持ち悪いよ・・・。」


「うん。マリー俺もそう思ってた所だよ。」


 実際、魚人族の男性はかなり気持ち悪い。魚の顔を持ったムキムキの人間が襲って来るとか悪夢見たいなものだ。弱点は火魔法なので俺達は迷い無く火炙りにしていく。


「弱点は火魔法だ。残らず焼き魚にしてしまえ!」


「燃えちゃえ!『ファイアストーム』!」


 クロは躊躇無く全力で火魔法を叩き込む。ローズは敵の攻撃を受け止めるがヌルヌルが付いたようで顔を顰めつつ戦っていた。


「うぇぇ、剣がヌルってなってるぅ・・・。」


 マリーは出てきた魚人族を全部倒した後、自分の剣を見て泣きそうになっていた。あの気持ち悪い敵は倒した後も精神的ダメージを残すようだ。

 俺達は基本的に魔法で遠距離から攻撃し、出来るだけヌルヌルが付かないように進んで行く。階層中が魚臭いが贅沢は言っていられない。全力で階段へと向かう。


「どうする?階段まで来たけどこの臭いじゃとても休めそうにないが・・・。」


「先に進もう。わたしもう鼻がどうにかなっちゃうよ。」


 獣人のクロにはこの臭いはかなり堪えるようだ。今日は無理をしてでも23層へ進むこととなった。次の層が平和である事を祈って。

お読みいただき、ありがとうございます。

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