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40話 大賢者の塔 その2

「マリー、そっちに行ったぞ!」


「はい!『暗黒剣』!」


 マリーは暗黒騎士の専用スキルで攻撃力を上げ、迫り来るホブゴブリンを切り飛ばす。2層目も中盤に差し掛かっただろうか、段々とモンスターのLvも上がってきた。マリーは一流とは言えないまでも剣の腕はかなり上達した。


「そこっ!」


 更にゴブリンに両手剣で突きを放つ、盾で防がれたがそのまま吹っ飛ばした。STRの上昇に伴って幼女とは思えないような力を発揮している。


「ナイスだよ、マリーちゃん!」


 クロが吹き飛んだホブゴブリンを空中で蹴り飛ばして消滅させる。みんなの連携もかなり熟練してきた。クロとマリーは拳と拳を合わせて喜んでいる。


「いい連携だったよ、マリー、クロ。この調子でいこう。」


 俺達は大賢者の塔2層に居る。メンバーは俺とローズ、クロ、マリー、そして召喚獣のスノーとイズミだ。この層は迷路になっているために通路が狭い、なのでイクスはサイズ的に難しかったのと戦闘スタイルが雷に偏っているので場所を選ぶ。その点スノーはサイズ的にどこでも呼び出せるのですっかり俺の相棒になっている。

 初日で階段のスペースには敵がやってこない事が分かったので俺達は1日1階層の攻略を基本として進んで行く予定だ。食料は半年分くらい買い込んで無限収納に詰め込んであるし、風呂もデカイ桶を用意して俺の魔法でお湯を沸かして入る事が出来る、攻略が長引いても問題ないように準備している。


「さて、まだまだ元気みたいだから進もうか。」


「はーい!」


「本当にマリーは元気だな。ふふっ」


 ローズは本当の妹のようにマリーをかわいがっており、マリーもローズを姉のように慕っている。


「前方から敵の気配がします!」


「任せろ!お前達の相手は私だ!『挑発』!」


 前方から迫ってくるホブゴブリン3体をローズが纏めて挑発する。今のローズなら3体くらいは楽に押さえる事が出来る。このLvなら10体はいけるんじゃないだろうか。


「わたしが魔法使いのヤツをやるよ!『疾風迅雷』!」


 ゴゥ!っと凄いスピードで加速したクロが杖を持ったホブゴブリンメイジに突っ込む。魔法使いタイプは非常に厄介なので最初に潰すのが定石だ。腹へ左でボディーブローをかまし、右ストレートで顔面をぶっ飛ばす。俺は左のヤツにアースバインドで足止めしそこへスノーがアイスニードルを撃ち込み、イズミが牙で喉を切り裂く。


 ローズが中央のホブゴブリンの剣を受け止め、カウンター気味に切りつけ、盾で吹き飛ばす。


「やれ、マリー!」


「はい!おねぇちゃん。えぇぇい!」


 マリーがホブゴブリンの首を跳ね飛ばして戦闘は終了した。


「よし、よくやった。スノー、イズミ。いい攻撃だったぞ。」


(へへへ、私達も頑張るんだからね!)


 イズミの頭をガシガシと撫でてやると喜んで尻尾を振っている。まるで犬みたいだ。って言ったら怒られるから口には出せないけどね。


「今の所は問題ないな、今のうちに連携の練習をしっかりしながら進もう。」


 その後は問題なく進み、2層の階段に辿り着いた。一泊して翌朝から3層に向かう。3層はスケルトンの層のようだ。


「ここは私とクロの見せ場だな。聖域で浄化してやろう。」


「頼んだよ、まぁマリーの剣なら粉々にふっ飛ばしそうだけど基本的にスケルトンと剣の相性は悪いからね。」


 ローズは聖騎士になったことで聖魔法を覚えている、これは不死系のモンスターを弱体化させたり浄化する魔法だ。なのでこの層ではローズの活躍に期待する。


「ちょっと俺も試したい魔法があるんだけどいいかな?」


 向かってくるスケルトンの両サイドに『魔眼』で土の壁を出してそのまま押しつぶしてみた。見事にスケルトンは消滅した。


「なんというか、それは卑怯だな。」


「いや、俺もこんなに上手く行くとは思わなかったよ。ただ、これじゃ修行にならないからあんまり使えないね。」


 とは言ったもののローズの聖魔法もクロのパンチも一撃でスケルトンを葬るので結局3層ではまともな戦闘はなかった。迷路にも迷うことなく階段に辿り着いたがまだ昼前だったので昼食を取ってそのまま4層に進むことにした。


「この層はちょっと楽をしすぎたな・・・。」


「まぁ、いいではないか。ずっとギリギリの戦闘ばかりしてたら疲れてしまうぞ。」


「その分4層まで進むんですから、良かったんじゃないですか?」


 話しながら進むが敵が全く現れない。


「しかし、妙だな。敵が全く出てこないぞ?」


「そうだな、もしかしたらボス層なのではないか?」


「まだ4層だぞ。もう少し進んで見よう。奥に何かあるのかもしれない。」


 奥に進むと広場に出て原始の迷宮の10層に出てきたストーンゴーレムが3体並んでいた。


「なるほどね、こういうパターンもあるのか。多分、倒して進まないといけないんだよね。みんな強化魔法を掛けて戦闘準備!」


 それぞれがプロテクションとシェルラを自分に掛ける。


「まず、ローズ以外の全員でここから魔法を撃つ。そしてローズが挑発して右から各個撃破していこう。」


 更に自己強化のスキルを重ね掛けしていく。


「行くぞ!『魔眼』!」


 ガガーン!ゴゥ!ドパーン!俺の雷撃、クロの炎魔法、イズミの風魔法、スノーの嵐魔法がゴーレムに炸裂する。それと同時にローズが挑発し、全員で一番右のゴーレムに向かう。最初の一斉攻撃でストーンゴーレム達のHPは半分以上減っているようだ。


「行きますよ!『炎拳乱舞』!」


 クロが両手に炎を纏い必殺技を放つ。


「トドメ!『暗黒剣』!くっ、倒しきれませんでした。ジンおにいちゃん、お願い。」


 マリーがスキルを使い上段からの一撃を放つが倒しきれなかった。俺はすかさずフォローしストーンゴーレムの頭を叩き切る。


「次だ!スノー、イズミ、行け!ここは俺が受け持つ。クロとマリーはもう1体へ行ってくれ!」


 スノーとイズミが連携して攻撃を仕掛け、俺は魔眼で風の塊をぶつける。そして1発、2発、3発と雷を付与した剣で叩き切る。


 俺が倒すのと同時にローズ、クロ、マリーもストーンゴーレムを倒し終わったようだ。全力で行ったので殆ど攻撃される事なく撃破する事が出来た。


「これで4層終わりかな。お疲れ様だったね。」


「後は階段へ行くだけだな。無事に勝てて良かった。」


 この日も俺達は無事に階段へ辿り着き、休息を取る事が出来た。「



お読み頂きありがとうございます。

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