38話 パワーレベリング
「マリー、今日からLv上げと戦闘訓練を始めるけど、大丈夫かな?マリーの適正職業は騎士みたいだからローズのお下がりの剣と盾を使って。魔法は光魔法と闇魔法に適正があるみたいだね。怖いかもしれないけどモンスターと戦って貰わないといけないんだ。出来る?」
「私できます。みんなと一緒にいられるように頑張ります!」
「分かった、じゃあ一緒に頑張ろうね。」
マリーはすっかり元気になってやる気に満ちている。俺はそんなマリーがかわいくなって頭を撫でてしまった。撫でられたマリーは嬉しそうだ。よかった、変な顔されなくて。ローズとクロは羨ましそうな顔で見てるけど見なかった事にしよう。
「じゃあ今日は転移で俺達が最初に修行した廃ダンジョンに行こうか。マリー、今から知らない所に行くけど、びっくりしないでね。」
「はい!」
めちゃくちゃ素直でかわいい。これはやばいやつだ。無心、無心。取り合えず今日の予定は廃ダンジョンでマリーのパワーレベリングだ、今日で10くらいまで上げて、明日は賢者の森に挑戦かな。
「じゃあローズが先生だね、お手本見せてあげて。マリーはローズの戦いをしっかり見て勉強してね、何回かやってみたら実際に戦ってみよう。」
「はい!宜しくお願いします、ローズおねぇちゃん。」
「分かった、では私がお手本を見せる、まずは基本の剣の振り方と盾の使い方からいくぞ。」
「敵の動きに惑わされずに攻撃の中心を見極めて、そこに盾を合わせる。出来るだけ盾の中心で受けて衝撃を散らすんだ、そしてこうやって剣を敵に叩きつける感じだな。」
ローズはゴブリンの剣を盾で受け止め、膝を使って衝撃を殺す。そして斜め45度から切り付ける。
「はい!先生!」
「そして騎士に必要なスキルの1つが挑発だ。こう、『挑発』!これで敵の意識を自分に向けるんだ。」
その後、何匹かをローズが1人で倒して次はいよいよマリーの初戦闘だ。ここまでの経験値でLvが上がっているのでゴブリンくらいなら大丈夫だろう。
「マリー落ち着くんだ、危なくなったら怪我する前に絶対に助けるから。」
「が、がんばります・・・!」
「え~えぃ!」
マリーはふにゃふにゃと切り掛かる。が、意外と深く切れた。攻撃を盾で受け止めても体勢は崩れない、そのまま切り返して倒してしまった。
「で、できましたぁ~。」
マリーは腰が抜けたのかその場に座り込んでしまった。初めてモンスターと戦ったのだから怖かっただろう、だけどしっかり倒したのは偉い。今ので剣術と盾術のスキルも覚えたし、これで補正が掛かるはずなのでより安定するだろう。後は先にLvを上げてからスキルを覚えて貰おう。
「じゃあ、ここからは俺達が先導するからマリーは出来るだけ敵に攻撃してみて。イズミを護衛に付けるから離れないようにね。」
「は、はい。」
俺達はどんどんモンスターを倒して行く。途中でお昼休憩を挟んで、更に奥へと進む。マリーのLvは順調に上がっている。途中で光魔法と闇魔法のコツを教えて練習してもらいながらパワーレベリングを続けた。今日はLv14になったところで宿に戻って、明日から賢者の森でLv上げする事に決まった。
「マリー、今日はどうだった?」
「怖かったけど、頑張れました。剣も魔法も覚えて強くなれて嬉しいです!」
「そうか、良かったね。宿でも出来る簡単な鍛錬の方法もあるからローズに聞いてしっかりやるんだよ。」
「はい、私もっともっと色んな事を覚えたいです!」
マリーが素直すぎてまぶしくなってきた。こんな子が奴隷にならなきゃいけない世界なんておかしいと思う。俺の目標がまた1つ増えた。
☆
「じゃあ今日も賢者の森へ行くからね。マリー、イズミから離れないようにしてね。」
「わかりました、今日も遠くから闇魔法の練習します。」
賢者の森でLv上げを始めて3日目。今日でマリーのLvが30になりそうだ、Lv30で上位職への転職が可能になるはずなのでマリーがどう成長するのか楽しみなんだけど、なにせパワーレベリングで上げたので圧倒的に経験が足りない。上位職になれば全体的にパワーアップするので今度は1人で廃ダンジョンに挑戦してもらって戦闘経験を重ねるのがいいかもしれないな。
昼休憩を取る時にマリーの状態を確認するとLv30になっていた。
「マリー、Lv30になってるね。上位職が何か見てあげるからね。」
マリー
暗黒騎士Lv30
HP343/343
MP182/182
STR33
DEX21
VIT28
AGI20
INT19
CHR31
LUK3
<スキル>
『不屈』『挑発』『身体強化』Lv2『精神強化』Lv3『状態異常耐性』Lv2『剣術』Lv3『盾術』Lv3
<魔法>
『暗黒魔法』『生活魔法』『光魔法』Lv2『闇魔法』Lv3
<称号>
『逆境の騎士』
「マリーは暗黒騎士になっているね。暗黒魔法っていう専用魔法もあって、攻撃力が高いみたいだよ。後は装備のオススメが両手剣っていうのになるみたいだね。」
「む、暗黒騎士か。それならば70層で手に入れた常夜の大剣を渡してやったらどうだ?あれは攻撃力も高いし、追加効果が切った相手の視力を徐々に奪うという使い方次第ではかなり強力な武器だし、私達は誰も使わないからいいんじゃないのか?」
「分かった、じゃあマリーはこの常夜の大剣を使ってみて。後でちゃんとした鎧も買って上げるね。はい、どうぞ。」
「ありがとうございます、こんな高そうな剣を私なんかに・・・。もっともっと頑張ります!」
えっと、両手剣で強いスキルとか称号ってあったっけな、久しぶりに叡智さんの出番だな。え~っと、称号『剣鬼』とか良さそうだな。後は暗黒魔法の中の『暗黒剣』とか便利そうな技も結構あるんだな。ん~これは盾もちゃんと使って貰って、剣王の称号も取った方が良さそうだな。称号のおかげでスキルの成長も10倍になってるから大賢者の塔を攻略してる間に覚えちゃいそうだ。
「マリー、君がもっと強くなる方法を調べたからちゃんと教えていくね。まずは出来る所からやっていこう。君の戦闘訓練をもう少しやったら本格的に大賢者の塔に向けて出発するからね。」
「分かりました。ご指導よろしくお願いします。」
「厳しく行くからなマリー。しっかり付いて来るんだぞ。」
「がんばろうね、マリーちゃん。」
その日は早めに切り上げて王都に転移してマリーの鎧を買った。勿論一番いいやつだ。
お読み頂きありがとうございます。




