35話 50層
季節は夏、初めて原始の迷宮に入ってから数ヶ月が過ぎた。20層を超えてから攻略速度は段々ゆっくりしたペースになっていった。クロとローズに戦闘経験を積んで貰う為というのもあるし、最近では召喚獣達も一緒に修行している、イクスとイズミも順調にLvが上がって進化する事が出来た。
イクス
イクシオンLv3
HP320/320
MP182/182
<スキル>
『体当たり』『踏みつけ』『身体強化』『飛翔』『雷魔法』『雷化』
状態:契約
伝説の馬。黒い体躯に雷を纏い空を翔る。
イズミ
ファントムウルフLv3
HP214/214
MP166/166
<スキル>
『牙』『爪』『体当たり』『察知』『回避』『幻影』『闇魔法』
状態:契約
ウルフの希少種。自分の幻影を作り出し敵を翻弄する。
イクスは伝説種に進化した。なかなか進化しないからずっとそのままだと思っていたのだが、ある日自分に雷を落として敵に突っ込んだ、それが切っ掛けになったのか分からないが何度もその技を練習して、気が付いたら雷そのものになれるようになった。それと同時に進化したみたいだ。
多分、俺が剣に雷魔法を付与して戦うのを見て真似したんだと思うんだけど、俺好みのかっこいい姿になって大満足なのでめちゃくちゃ褒めてやった。
イズミも希少種に進化した。俺の召喚獣達は『無限の運』のおかげで全て希少種か特殊進化、もしくは伝説種になっている。スノーやイズミは勿論、ゴブリンズも育てれば最終的には伝説種になるかもしれない。シルクも育ててやりたいのだがいかんせん外では本領を発揮出来ないので諦めてもらってる。
そして俺達の装備もここ最近でかなり変わってきている。まず俺は鍛冶屋で一番いいミスリルソードとミスリルの丸盾を購入した。魔法伝導率が高いので俺の戦闘スタイルとかなり相性がいい。基本的に魔法職なので防具はミスリルローブにしてある、敵の攻撃に当たる事が少ないし魔法で強化出来るのでこちらもかなり使いやすい。
ローズはブロードソードに大盾のスタイル、プレートメイルを装備している。正道の騎士の格好で、背の高いローズは凛々しくて美しい。
クロは40層のボス部屋の宝箱から手に入れたキリングクローに防具屋で一番いい装備だったサラマンダーレザーアーマとサラマンダーブーツを装備している。キリングクローは大型種に対して攻撃力UPが付いており、サラマンダーブーツは一定確率で蹴りの後に炎が出る。
ギルは殆ど使い切ったがこれから50層に挑戦する事を考えれば装備は整えておくべきと、奮発した。
こんな感じで近々50層のボスに挑戦する事になりそうで、今はその手前で連携の特訓や個々のスキル上げをやっている状況だ。
「しかし、クロの新しい武器は強いな。これまでのナックルガードとは全然違うの?」
「違うね~、凄く使いやすいよ。刺さるから出血も狙えるしね。」
「ちょっとエグい気もするな・・・。Lvもスキルも装備も準備はバッチリだし。そろそろ50層のボスやってみる?」
「私は大丈夫だと思うぞ。来たばかりの頃はこの階層も辛かったが、今では楽に突破出来るようになったしな。」
「50層はレッサードラゴンだからな。初めてのドラゴンとの戦いだし、出し惜しみなしの最初から全力でいこう。」
俺達はボス部屋に入る前に魔法で強化していく、スノー、イクス、イズミにも強化魔法を掛けてやる。扉を開けると昔見たドラゴンよりかなり小さいが、クロとイズミの顔には恐れの色が見て取れた。
「大丈夫だ、俺達なら勝てる!行くぞ!『疾風迅雷』『魔眼』!」
「GYAOOOOO~!!」
レッサードラゴンは威圧を使ったようだが俺達には通用しない!俺はお決まりの疾風迅雷からの魔眼で剣に雷を付与し、スピードを上げて切りかかる。レッサードラゴンもこちらに攻撃を仕掛けようと身体を揺らす。
「こっちだトカゲ『挑発』!」
俺の攻撃が当たると同時にローズの挑発が決まり、意識がローズに向く。右前足で薙ぎ払おうとするが盾で防ぐ。イズミの体当たりが当たり、同時に闇魔法で相手を暗闇状態にしたようだ、イズミを見失って辺りを見渡す。そこへイクスが雷化状態で体当たりを決めた。
「GU・・・GYAAAA~!」
「まだまだピンピンしてやがる、さすがは腐ってもドラゴンだな。俺が雷を撃ち込んで麻痺を狙う。クロは隙を突いて攻撃だ!」
まだ体力に余裕がありそうなレッサードラゴンはスノー、イクス、イズミを狙って足や尻尾を振り回している。今なら意識が俺とクロから離れている。
「任せて!大型種は得意だよ!」
クロの武器は大型種に対して攻撃力が上がる、スキルとの相乗効果で普段の3倍近い攻撃力になっているはずだ。
飛び上がりブレスの構えを取るレッサードラゴンに雷魔法を撃ち込む、まともに喰らったレッサードラゴンは地上に落ちる。そこへクロの連続技が決まった。
「はぁ~『正拳五連撃』!」
「GUAAAAA~!」
レッサードラゴンはクロの連続攻撃を喰らいながらも尻尾を振り回し反撃をしかける。その攻撃がクロに当たる。
「くっ、大丈夫。ダメージは大したことないよ!!」
今まで攻撃を殆ど受けてこなかったクロは焦ったようだが、ダメージは思ったほどないみたいだ。すかさず反撃の蹴りを放つ。その蹴りがレッサードラゴンに当たるとブーツの追加効果で炎が上がる。
「今だ、スノー『羽根吹雪』、イクス『雷撃』!更に俺からも『魔眼』!」
スノーの羽根吹雪と嵐魔法の合成技、更に俺とイクスの雷撃がクリーンヒットする、断末魔の叫びを上げるレッサードラゴンは炎のブレスを吐いた。
「任せろ!」
すかさずローズが盾で防ぐと、俺達は決着を着ける為に追い込みをかける。
「決める!『疾風迅雷』『炎拳乱舞』!」
「こっちもだ!『疾風迅雷』『紫電一閃』!」
俺とクロの必殺技がレッサードラゴンに決まるとそこで決着だった、レッサードラゴンは光となって消えた。
「お疲れ様。どの層もボスは一筋縄じゃいかないな。ブレスはちょっと焦ったよ、ありがとうローズ。」
「あ、ジン君、ローズ。宝箱に良さそうな片手剣が入ってたよ!」
「なになに、ドラゴンソードか。効果は竜種に対して攻撃力補正少だって、これローズにいいんじゃないか?かっこいいし。」
「うむ、そうだな。見た目は非常に好みだ、ありがたく使わせて貰おう。」
ローズは新しい剣にご満悦のご様子だ、取り合えずブロードソードは予備という事で俺が無限収納に突っ込んでおいた。ドロップの竜の皮も近いうちに加工しないといけないな。俺達の中だとクロの装備にいいんだが、相性の問題もあるからなぁ、一旦保留かな。
「よし、じゃあ今日は一旦出て、明日休んでからまた攻略の続きにしよう。」
「わ~い、みんなでお菓子食べに行かない?美味しいお店があるんだって。」
俺達は楽しく話しながら塔を出て帰路についた。
戦闘場面も難しいです。試行錯誤の日々です。
お読みいただきありがとうございました。




