34話 20層到達
次の日は罠になれる為に11層からスタートした、クロは昨日よりも落ち着いてるように見える。
「クロ、今日はゆっくりでいいからね。」
「うん、ジン君ありがとね。」
遭遇する敵自体はそんなに苦労する敵ではない。俺とローズで対応しつつゆっくりと進んで行く。
ゆっくりと進んでいるつもりなのだが、気が付いたら20層のボス部屋の前にいた。どうしてこうなったかと言うと、罠はクロがほとんど見つけてくれる、敵は俺とローズとスノーで瞬殺する、ドンドン進むという展開になったからだ。
「ゆっくりってなんだろうな、ジン・・・。」
「本当になんだろうな、これが俺達のゆっくりって事さ。それでいいじゃないか・・・。」
「ほ、ほら。二人とも元気だそ?順調なんだからいいじゃない!」
「そうだな・・・うん、そうだよな。順調なのはいい事だよ!」
俺達は無理矢理テンションを上げて20層のボス部屋へと入る。そこには大きな黒い虎がいた。
「ここはキングブラックパンサーか。あいつは素早い上に攻撃力も高い、二人とも油断せずにいこう。」
「行くぞ、黒猫『挑発』!」
ローズの挑発で戦闘が始まった。キングブラックパンサーも負けじと咆哮する、そしてローズに向けて突進してきた。ローズは盾でしっかりと受け止める、噛み付きに来るがそこは剣で防ぐ。
「ローズ、そのまま押さえててね!」
クロがローズの後ろから飛び出し、強烈な飛び蹴りをお見舞いする。動きを押さえられていたキングブラックパンサーは受けきれず吹き飛ばされる。しかし、大きなダメージにはなっていないようだ、咄嗟に反応して後ろに飛んだらしい。
「ここからは俺も参加するぞ!『疾風迅雷』『魔眼』。」
流石に20層のボスは簡単にはいかない、俺は身体能力を強化し魔眼でキングブラックパンサーに向けて雷撃を放ち、間合いを詰めて横薙ぎに剣を振るう。一瞬動きを止めたボスを俺の剣が切り裂く。続けて2回、3回と剣を振る。ボスは腕を振り上げ反撃しようとするがローズが割り込んで盾で受け止める。クロも攻撃に参加しボスの眉間に強烈なパンチをお見舞いした。
「もう少しだ、このまま押すぞ!」
俺達はスキルを駆使してボスを攻め続ける。キングブラックパンサーが咆哮するが、それが最後の抵抗だった。俺の剣の一撃が止めになってボスは消滅した。
「ふぅ、なかなか手強い相手だったな。お疲れ様。」
「わたしの攻撃も受け流されたし、まともに避けられたのは久しぶりだよぉ。」
「そうだな、私も受け止めた時に踏ん張るのがきつかったぞ。ここから先は更に気合を入れないといけないな。」
「ここからはどんどん進むんじゃなくて、すこし鍛えてながら進もうか。今の感じだと30層にすぐ挑戦してもかなり厳しい戦いになりそうだ。」
実際は楽に倒せると思うのだが、それは俺がスキルも魔法も全力で使った場合だ。今後の事を考えると二人も経験を積んで力を付けた方がいい。
その為なら少々ゆっくり進んでも問題は無い、大事なのは大賢者の塔の攻略でこの原始の迷宮をクリアする事じゃないからな。
21層に入って俺達の目の前に広がったのは草原だった。ココから先は10層毎にフィールドが変化するらしい。
「しかし、不思議だよな。ダンジョンの中に広がる草原と太陽か。」
「外にいるみたいだね。私は太陽があった方がぽかぽかして嬉しいな。」
進んで行くと獣系のモンスターやゴブリン系のモンスターに出会った。ゴブリンといえど20層を超えているのでかなり強い。舐めていたら危険だ。
「武器を使う相手との戦いはいい経験になるな。」
学園での模擬戦では出来ないような戦いが出来るし、なにより殺意を持って目の前に立つ相手を倒すのは覚悟が違う。そして得るモノも多い。
「ここはじっくりと進んでいこう。なに、急ぐ必要はないさ。俺達なりに進んで行こう。」
俺達は迫り来るゴブリン達を倒しながら前に進んで行く。
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