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27話 衝撃的な出会い

「じゃあ最初の授業だ。お前らには模擬戦をやってもらう。実際に手合わせしてみろ。」


 いきなり模擬戦か、如何にも冒険者の授業って感じだな。


「ジン!前へ出て来い!」


 うげ、いきなり呼ばれたよ。まいったな。


「知ってる奴もいるかもしれないが、こいつは今年の主席合格だ。しかも筆記も体力測定も全部ぶっちぎりのトップのな。戦いたい奴は前へ出ろ!」


「私に戦わせて下さい!」


 名乗り出たのは背の高い銀髪のエルフ。絵に描いたようなエルフの美女という感じだ。絶対誇り高いんだろうな。兎に角戦って見るしかないだろうな。


「私はローズ、誇り高きエルフの騎士。いざ尋常に勝負!」


 ちょ、いきなり突っ込んでくるローズ。振り下ろされる片手剣を盾で受け止める。なかなか力が強い。油断すると押し込まれるぞ。


「いい忘れてたが、ローズは全部2位だった。真面目にやらんと怪我じゃすまんぞ。」


 先生、それ凄く大事なことですよ。素早い切り返しから連続して繰り出される剣線、下手したらとうさんより強いかもしれないぞ。さっき鑑定した時にこの子居たかな?もう一回確認した方がいいぞこれは。


ローズ=シルバリア

騎士Lv10

HP310/310

MP68/68

STR12

DEX9

VIT33

AGI9

INT10

CHR24

LUK3

<スキル>

『不屈』『身体強化』Lv3『剣術』Lv5『盾術』Lv5 

<魔法>

『生活魔法』『光魔法』Lv2

<称号>

『守護者』


 えっ!?なんだこれ、もの凄いステータスなんだが。しかも称号持ってる。どんな効果なんだ?


『守護者』・・・守るべきものを守る強い意志を持つ者。※HP+100 VIT+10 『不屈』習得。


「守るべきもの?」


「私が守るべきものとは自分の誇りだ!」


 聞こえたか。守るべきものが誇りか、これは手ごわいぞ。こういうタイプは頑固なんだよな。戦う理由も常に一番でありたいとか言うのかな。


「私は常に一番でなければいけない。その為に努力してきたのだ!負ける事など認められん!」


 なんというか典型的なエルフの女騎士だな。凄くタイプです。こういう子はデレると凄くかわいくなるんだよね、そうであって欲しいな。だってこれ絶対運命の出会いだもん、俺には分かるんだ。

 流れるような美しい銀の髪が腰辺りまで伸び、180cmはあるだろう、まるでトップモデルのような整ったスタイル。つつましい胸が儚さを醸し出す。白く透き通った脚に視線が釘付けになる。強気な目には強い意志を感じる。


「分かった、相手になろう。全力でかかってこい!」


 更にギアを上げたローズの激しい一撃が迫る、だが俺にはしっかり見えている。これは授業なのでスキルは使っていない。これまでのとうさんとの修行とダンジョンでの経験だけで対処している。ローズの攻撃を剣で弾き、そのまま盾で弾き飛ばす。しかし、手ごたえはない、まるで大木を殴ったような感覚だ。やはり称号の効果は高いのだろう。ローズはすぐに体勢を立て直し盾を構えてこちらへ向き直る。


「さすが主席。強いな、今まで戦った相手の誰よりも強い。」


「ボクも今まで君みたいに強い人と戦った事ないよ。」


「世辞はいらん!剣で語り合おうではないか!」


 右、左、上、下、縦横無尽に繰り出される剣戟。その全てを剣で弾いていく。相手の攻撃は見えている、落ち着いて対応すれば負ける相手ではない。しかしローズの防御力を突破するのは簡単にはいかない。魔法やスキルを使えばいいのだがこの戦いでは使わないと決めた、今はひたすらに打ち合い機会を窺う。


 何合目だろうか、ローズの体勢が僅かに崩れた。鳩尾に突きを放ち、完全に体勢を崩した所で足を払う。転んだローズの首筋へ剣を突き立てた。これで勝負ありだ。


「これで勝負ありです。降参して下さい。」


「負けた。完璧に私の負けだ、お前は本当に強いのだな。ジンと呼んでもいいか?」


 ローズはどこかすっきりした表情だ。


「あぁ、これからよろしくローズ。共に強くなろう。」


 ローズの手を引いて起こす。そのまま握手を交わした所で授業が終わった。


「いい戦いだった。他の者も奴らに負けないように鍛錬を積むように。今回の授業はここまでだ、次の授業は今日の続きをやるから各自そのつもりで準備しておくように。」


 授業の後クロとローズに話しかけられた。


「ジン君、凄かった!ジン君って魔法だけじゃなくて剣も凄いんだね!」


 クロはテンションが高い。先ほどの戦いを見て興奮しているようだ。


「ジン、先ほどはすまなかったな。もし迷惑でなければたまにでいい、一緒に鍛錬してくれないか?お前の強さの秘訣が知りたいんだ。」


「あ、わたしも一緒に鍛錬したいです!まだまだ弱いわたしですが、どうぞよろしくお願いします。」


「わかったよ。一緒に鍛錬しようか。みんなで強くなろう。」


 これが運命の出会いで、俺達の物語の始まりになるだろう。

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