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23話 王都へ向けて

 もうすぐ学園に入学する為に王都へ向かう。前世では乗合馬車で向かったが、今回はイクスに乗って移動しようと思う。折角ならゆっくりと召喚獣達と触れ合いながら向かいたい。


「とうさん、かあさん、王都で色々準備もあると思うしすこし早めに村を出ようと思うんだ。」


 両親は優しく微笑んで許してくれた。


「お前ならきっと大丈夫だ、一番になって帰って来い!」


「ジン君、身体に気をつけてね。元気ならそれだけでいいのよ。」


 本当にいい両親に生んでもらったと思う、俺もとうさんとかあさんみたいな夫婦になって幸せな家庭を築くぞ!


 出発の日はあっという間だった村のみんなからサプライズで剣と盾を貰った。かあさんはお弁当を、とうさんはお小遣いをくれた。簡単な見送りだったけどもの凄く嬉しくて、見えないところでちょっとだけ涙を流した。


「よし、王都まで各地を見ながら向かうぞ。スノー空からの偵察は頼んだ。」


 俺はイクスとスノー、それにイズミを呼び出す。かわいそうだがゴブリンズは見た目の問題で呼び出せないし、シルクも家がないと力が発揮出来ないのでお留守番だ。そういえばイズミは進化している、今じゃ立派な狼だ。


イズミ

ブラックウルフLv3

HP24/24

MP6/6

<スキル>

『牙』『爪』『体当たり』『察知』『回避』

状態:契約

森や草原に生息する狼の進化種。素早い動きで敵を翻弄する。


(主様~何か臭いのがいっぱい居るよ~。)


「スノー空から何か見えるか?」


 イズミが反応しているがモンスターだろうか。とりあえず警戒態勢だ。


(人間が数人街道脇で待ち伏せしているようですぅ。)


 これはあれだ、街道を歩くと盗賊に当たるっていうイベントだな。定番は山賊のアジトに乗り込んでお宝ゲットして美人を助けるんだよな。桜様の加護は凄いな。


「作戦を伝える。まずは普通に絡まれてから俺が迎撃する、1人逃がすからスノーとイズミで協力して追跡してくれ。アジトの場所が分かったら乗り込んで潰すぞ。」



「おいおい、ガキが1人で何やってるんだ?俺達が案内してやるから有り金全部出してみろよ。ぐへへへ」


 見るからに薄汚れた山賊が3人現れた。予定通りに3人を気絶させて1人をわざと取り逃がした振りをする。すぐには追いかけずにスノーとイズミの連絡を待つ。


(林の奥に洞窟があったよ。そこに10人くらいの気配がするよ。)


 イズミは『察知』はもちろん、狼なので鼻が利く。こういった行動は得意なのだ。非常に賢くてかわいい子だ。とりあえず洞窟まで向かい、入り口から闇魔法の『スリープ』をすこし強めに放つ。

 これは相手を強制的に睡眠状態にする魔法だ、耐性を持つ者には効きにくいし、誰かに起こされると効果が切れるが非常に役に立つ。


「よし、スノー確認を頼む。」


(全員寝てるみたいだよぉ。入ってきて大丈夫みたい。)

 

 中に入ると全員寝ていた。取り合えず人殺しは出来そうにないので全員を縛って一箇所に纏める。ただ、悪人を許すつもりはないので金目の物は貰って行くけどね。

 お金は150,000ギルくらいと宝石がすこし、あとは短剣くらいで他はガラクタ同然でお金に成りそうにない。取りあえず武器と防具は全部収納して後で魔法で穴でも掘って埋めよう。ちなみに女性はいなかった。


「う~ん、闇魔法はちょっとずるかったかな。まぁ、安全に鎮圧出来たんだからいいよね。」


 本当は近くの町の衛兵に突き出すか報告するべきなのだが、未成年が1人で山賊を壊滅させるとか不自然すぎるのでこうやって置いていくしかない。


「よっし、じゃあ放置して王都に向けて出発しますか。」




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