18話 突然の呼び出し
目を開けると何度も見た大きな金色の門の前に居た。
「ほっほっほ。また会えたのぅ。」
「おひさしぶりです、創造神様。」
俺何かやらかしたかな?ここに呼ばれるような事に全く心当たりがないぞ。
「今回ここに来て貰ったのは何か問題があるからではない、お主の称号に関する事じゃ。お主は見事100年間童貞を守った、よって『大賢者』となる。」
大賢者、凄そうだけど全然嬉しくない称号って凄い。前回神様が言ってたいたまた来れるが転生出来ないっていうのはこういう事か。
「大賢者になったお主には伝えねばならぬ大事な事がいくつかある。1つずつ説明するのでよく聞くのじゃ。分からない事が多いと思うがまずは聞いてくれんかのぅ。」
今までに感じたことがない気迫を感じる。覚悟してしっかり聞こう。
「まず異世界アドゥライトにおいて約10年後に『魔神』が復活する。魔神は1000年程前に当時の大賢者によって封印された。大賢者とは魔神を封印する資格を持つ者の称号なのじゃ。そしてお主には魔神を封印して貰いたい。」
「次に、魔神を封印するには『世界の剣』という『鍵』が必要じゃ。これを得る為に学園を卒業したらすぐに中央大陸の中心にある『大賢者の塔』に挑戦して欲しいのじゃ。しかし、塔は簡単には攻略出来ん。お主は学園に通い信頼出来る仲間を得る必要がある。そして仲間と共に最上階の祭壇にある『世界の剣』を手に入れて欲しい。」
「そして最後じゃが、魔神を封印する事でお主は『半神』となる。つまり神様見習いという事じゃな。なに、半神と言ってもすぐに神域に来いという訳ではない、今までと同じように世界の住人と過ごして貰って構わぬ。そうして沢山の経験を積んで立派な『神』になってくれればよい。これが今回お主を呼んだ理由じゃよ。」
「どうして俺だったんですか!?何の取り得もない、ただの童貞をこじらせた一般人ですよ!?」
「お主はまず、偶然かもしれんが最初の入り口に立つ資格を得た。そして転生し経験を積む事で夢と希望、そして正義の心と清らかな身体を手に入れた。そうして聖なる魂を持つ大賢者へ到ったのじゃ。」
俺の夢なんてハーレムを作りたいっていう不順なモノだし、力を手に入れたのも偶然、正義の心だってただ目の前の命を見捨てる事が出来なかっただけだし、清らかな身体なんて欲しくなかった。
「初めてここへ来た時に言ったかもしれんが地球からここへ来る者はそれなりにおる、しかしみな力を持って転生すると欲望へと走る。手に入れた力を振るわずにはいられないのじゃ。しかしお主はそうではなかった。力を振るわず修練に励み正しき行いをなした。動機が不純じゃとしてもそれは夢と希望となる。結果としてお主は正しき者となったのじゃ。」
今すぐに納得するのは難しい、どうして俺がという思いもある。だけど魔神が復活するという事は世界の危機という事だよな。
「そうじゃ、魔神の復活と共に魔族もまた甦る。奴らは正しき者を苦しめる、放置すればいずれ世界は悪に満ちるじゃろう。」
「なぜ封印なのですか?倒せば解決するのではないのですか?」
「魔神とは人の持つ悪意の集合体。悪意を完全に人の世から消し去る事は不可能じゃ、100人の人間が居れば必ず1人の悪意ある者が居る、それは必要悪であり世界の理の1つ。じゃから封印するしか方法はない。」
それは納得出来る話だ。人は欲を持つ生き物だ、全員が聖人なんて有り得ない。
「しかし、人には善意がある。『大賢者の塔』とは世界の善意を集めるシステムの役割を担っておる。聖なる魂を持つ大賢者がその善意を『世界の剣』として具現化し、悪意を払う力と変えるのじゃ。」
その塔を攻略する為に仲間を作れという事か。俺にしか出来ないのならやってやる、俺はこの世界が大好きだからな、絶対に悪意に満ちた世界になんてさせない!
「やはり、わしの目に狂いはなかったのぅ、初めて見た時からお主ならばこうなるかもしれんという予感はあったのじゃ。」
「俺はやります。絶対にアドゥライトを、大好きな世界を守ります!」
「頼んだぞ!見事魔神を封印する事が出来ればお主の童貞を捨てる夢もハーレムを作る夢も叶うじゃろう。」
えっ!?神様今、さらっと重要な事言ったよ!?まさか・・・。
「うむ。童貞を捨てると大賢者の塔に入る事が出来ん、それもまた資格の1つじゃ。」
マジかよ・・・。くそ、こうなったら本気の本気の本気を出す!魔神なんて軽くぶっ飛ばして封印して、まだ見ぬ嫁とそのままハネムーンに行ってやる!
「頼んだぞ、次にここへ来るときはきっと魔神を封印した後じゃろう。その時に半神について詳しく話をする、まずは封印する事だけに集中した方がいいじゃろう。」
俺は燃えるような決意で神域を後にした。
New『大賢者』・・・異世界の称号。童貞を100年間守った者。※INT+20 MP消費量が1/5になる。全ての魔法の理を理解する。




