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検束

今の私は、見知らぬ部屋にいる。


白を基調とした装飾は非常に質素だ。ベッドサイドには小さな花が置いてある。


まあまあの部屋だ。でも私に言わせれば、ここはまるで牢獄のようだ。


保護ほごという名の監禁かんきんを受けて、もう一晩が経つ。


小さな部屋の扉は鍵がかかっていて開かない。力ずくで破壊することも不可能ではないが、後の面倒を考えると、とりあえず大人しくしておくことにする。


この鉄格子のない牢獄は少女に対する少しの配慮かもしれない。


今の私とて一番重要なのは、Qの行方だ。


魔法省に連れてこられたとき、体はまだ完全には回復していなかったのかもしれない。手錠をかけられた後の記憶はぼんやりしている。その途中で、Qとは分かれたはずだ。逃げるは簡単だが、脱出するにはまずQの行方を知る必要がある。


通信用の小鳥を取り出してチェックしたところ、やはり壊れていた。耐久性にはまだ改善の余地がありそうだ。


次は絶対にQにスマホを買わせる。


ため息をつきながら、私はバスルームに入る。シャワーの水を頭から流し始める。冷たい水が脳を覚醒させるのにちょうどいい。


そのとき、ドアをノックする音がした。


「サヨさん、私よ。今、入ってもいい?」


雪野の声だと分かり、少し警戒心を解いた。


「どうぞ。」


シャワーを止め、体を拭いてバスルームのドアを開けると、目を丸くしている雪野が目の前にいた。


「わ、わあ。」


目の前でポニーテールの少女の顔が一瞬で真っ赤になり、両手を慌てて前で振り始めた。


「...何?どうしたの?」


「服!サヨさん!いろいろなものが見えちゃったよ!」


「あ。」


下を見て、自分が裸だったことに気づき、自宅の習慣を無意識のうちに保っていたことに気づいた。


雪野の前を通り過ぎ、ベッドの上に散らばる服を拾って身につける。


着替えている最中、雪野がじっとこちらを見ているのに気づいた。気のせいかもしれないが、ごくりと喉を鳴らす音が聞こえたような気がした。


たぶん同性の体にも少し興味があるのだろう、思春期だから。雪野の視線を無視して、しっかりと服を着直す。


「サヨさんって、腹筋あるんだね…」


「まあ、いつも自己トレーニングしてるからね。で、何か用?」


雪野は軽く咳払いをし、真剣な表情を浮かべた。


「それはもう、朝ごはんを食べて、私たちの基地きちを紹介するために来たんだよ。」



§


魔法省。私がこの世界に足を踏み入れて以来、耳にたびたびする名前である。


雪野が言うには、ここは「王立魔法省群青支部」と正式には呼ばれている。


雪野に案内されて、私たちは宿泊エリアを後にし、魔法省の広々としたメインホールへと歩を進めた。


ホールの天井は高く、壁は深い青色で統一され、巨大な紋章もんしょう刺繍ししゅう入りタペストリーが掲げられていた。天井からは光が点滅し、まるで星空が内側に封じ込められているかのようだった。そして、ホールの最も奥には巨大な水の球体が浮かんでおり、スタッフたちがそれを囲んで忙しなく働いていた。


「ここがメインホール。中央にあるのは怪人の出現地点を検知するためのもの。」


雪野は、何か不安なことを隠そうとしているかのように、私の手を引きながら説明した。


興奮しているように見えるが、以前の率直な笑顔とは違って、今日の雪野にはどこか陰鬱な感じが漂っていた。


私もそれには触れず、ただ雪野が周囲の環境を紹介してくれるのを聞いていた。


「こっちはトレーニングルームにつながっていて、向こうにはショッピングモールがあるわ。あっちの扉はダメよ、勝手に入っては。それはスタッフのオフィスエリアで、邪魔してはいけないの。」


「へえ、道が複雑なんだね。」


「ええ、この支部はかなりの歴史があってね、構造も複雑よ。大規模な怪人攻撃に備えて昔の魔法少女たちが設計した要塞ようさいみたいなものだって。」


「要塞…」


私は雪野の後を追って、そっと周りの人員配置と出入り口を目に焼き付けた。だが全体的には想像していたよりも複雑だった。


振り返ると、このホールに通じる多くの道があることに気づいた。どの道が出口に通じているのかは試してみないと分からない。これが侵入者に対抗する要塞として造られたとしたら、この複雑な構造がある理由も理解できる。脱出するのは一筋縄ではいかないだろう。


私の内心のもつれを知る由もなく、雪野は急いで私の手を取った。


「で、あっちが食堂。ちょうど朝食タイムだよ。行こう。」


「ああ。」


豪華なホールとは打って変わって、食堂はとても普通の様子だった。暖かい照明の下、洗練されたデザインのテーブルと椅子があり、配膳エリアが設けられていた。雪野に促されてトレイを手に取り、配膳エリアへと歩いていった。


「あっ。」


トレイを差し出したとき、前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。顔を上げてしっかりと見ると、配膳エリアの向こう側に少女が立っていた。


彼女の髪は紫のグラデーションで彩られ、耳には金属のリングがきらりと光る。パンクスタイルのジャケットの上には、なんともマッチしない食堂スタッフの給食エプロンを身につけている。


手にはトングとレードルを持ちながら、乱射リコシェの名を持つ彼女が、私を見てほっとした表情を浮かべた。

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