共闘
来週はとあるロボゲーの発売日です、とても楽しみですね。
銃の音が廃墟で響き渡る。
私は照準を前にいる怪人に合わせた。
追いかけてくる怪人の振り下ろされた攻撃から、リコシェは素早く避けて隠れ場所の後ろに身を隠した。一秒も経たずに、彼女は隠れ場の反対側から銃を取り出して撃ち始めた。
私たち二人は一定の距離を保ちながら平行に走った。
撃つ。撃つ。撃つ。
重々しい爆発音と火花が乱射するリボルバーから放たれる。私は直感に従い、廃墟の間を低い姿勢で走った。大口径のマグナム弾が私の近くのコンクリート壁に爆発し、大きな穴を開けた。私の後ろにいた怪人はうめき声を上げながら黒い粉末に変わった。
火薬の匂いと粉塵が空中に広がる。私は前に飛び込んで、隠れ場に転がった。
「…その口径と威力だったら、一発でもらったらアウトだね。」
隠れ場に背を向けながら、私が右手で銃からマガジンを取り出し、新しいものを装填する。
リコシェの音が聞こえてきた。
「あんた、使ってる弾は変わってるな。火薬の匂いもしないし、銃声も特別だ。撃った瞬間に魔法の力を感じる。どこで手に入れたの?うらやましいね。」
「まあ、私にはちょっと特別なコネがある。」
隠れ場で隔てられて、私たちは会話を始めた。
「ソースについて詳しく教えて? そういう武器ならあたしも買いたい。」
「ダメ。私たち、まだそこまで親しくない。」
「はは。それもそだ。」
「君は、普通に実銃を使ってるんだね。変な質問かもしれないけど、銃は規制されているはず。どうやって手に入れたの?」
「まぁ、簡単に言うとお金さ。」
「お金、ね。」
「そう。お金ってすごいよ。お金で武装すれば、あたしみたいに脆弱で、特別な能力もない魔法少女でも戦える。全能ではないけど、お金があれば多くのことが楽になる。自己防衛の能力、生計を立てる能力、お金を稼ぐ能力。そして一番大切な、人生を変える大きな賭けに出るチャンス。賭け事をするためには、元手が必要だからね。」
「だから、サヨナキドリを狩るのも賞金目当てなの?」
「そうさ。この大きな仕事をやり遂げたら、ちょうど次の大勝負に賭けるための資金が手に入るんだ。まあ、これは余談だけどね。」
隠れ場所から体を乗り出し、リコシェはリボルバーに再び弾を装填した。絶え間なく現れる怪人を見て、彼女は苦笑いを浮かべて肩をすくめた。
「この遺跡が目立たない隠れ場所になると思ったけど、選択を間違えたみたいだね。この連中が次から次へと現れて、終わりが見えない。本当に厄介だ。弾丸もタダじゃないんだけどね。」
リコシェは無造作に大口径のリボルバーを回しながら近づいてきた。
「仕方がない。賭け金を増やそう。」
リコシェの紫色の瞳が不気味な光を放った。
私の視線の中で、リコシェは洗練された動きで空の薬莢を取り出し、驚異的な速さでリボルバーに弾を装填した。左手で弾倉を軽く叩いて回転させ、ひと振りでそれを元の位置に戻した。
「決闘遊戯、ダブル・アップ・チャンス。」
リコシェを中心に、紫の光の輪が広がった。急速に拡大する光の輪は地上にカジノのルーレットのような模様を描き出した。気がつくと、私の足は既にこの巨大なルーレットの中にあった。
「っ!」
ディン。リコシェが親指で弾丸を弾き、それを半空に投げ上げた。私の視界に、空中で回転する大口径の弾丸が映った。月の光の下で奇妙な光を放っている。
「何を…」
リコシェが空中に放った弾に向かって発砲し、空中の弾が爆発すると同時に二度の発射音が鳴った。同時に、私たちに近づこうとした二体の怪人の胸に大穴が開けられた。
「…何をした?」
「はは、ただギャンブルに関連する能力さ。」
リコシェは笑いながら人差し指と親指で弾を挟んでいた。
「この結界の中では、ゲームのルールを選ぶことができるんだ。今はダブル・アップを選んでいる。空中の弾丸を撃つことができれば、その弾丸の数も増える。」
「…倍増だけならまだ理解できるけど、どうやってさっきの二人の怪人を同時に撃ち抜いた?」
「原理は簡単。跳ね返りの利用さ。」
「...めちゃくちゃだ。弾丸が空中であのようにランダムに回転している時、どうやってそんな操作をするんだ?自分自身を撃つ可能性もあるだろう。」
「あたしがそのような賭けを成立することができるから、『乱射』と呼ばれているんだよ。言ったよね、あたしの運と直感はとてもいい。」
ディン。ディン。ディン。数発の弾丸が空中へと弾き飛ばされた。
リコシェの口元がわずかに持ち上がりながら、彼女は空中で回転する弾丸を狙って銃を構えた。
「この原理に従えば、こんなこともできる、のよ!」
リコシェが発射した弾丸が空中の最初の弾丸に命中し、それが二つに分裂した。分裂した弾丸はそれぞれ別の空中の弾丸を撃ち、弾丸同士が衝突して分裂し増えていく。一瞬にして、上から下へと交錯する火網が形成された。爆発音の中で、遺跡の後ろに隠れていた怪人たちは次々と悲鳴を上げながら黒い粉末へと変わった。
「いっちょあがり。」
「これは...凄まじい。」
「だろう?」
リコシェが得意げに表情を浮かべながら銃口の煙を吹き飛ばした。
「でも、やっぱり少し計算が甘かったか。まだ少し怪人が残ってる。」
「それなら、私が手伝おう。」
「っ!」
冷たい少女の声が聞こえた瞬間、骨髄にまで達する衝撃と痛みが私に襲い掛かってきた。地面に倒れ込みながらも、私は意識を保とうと必死に努力した。
「ぐっ...」
力を振り絞って視線を移動させると、青いロリータスタイルなドレスを纏った少女が空中に浮かんでいる。
「まずは一匹目。照準。」
「くっ…」
あの徐々に明るくなる目を見つめながら、私は防御を試みる。しかし、痛みにより体は動かせない。
「おいおい、あたしを無視するつもりか?」
私の上から、リコシェの冷静な、でも怒っているような声が聞こえた。
「っ!」
バン。
銃声が鳴り響く。少女の周りには一瞬の閃光とともに、魔力でできた円が現れた。
「魔力の盾か。うらやましいな。それは高魔力を持つ者だけが使用できる技だろう。」
「…何のつもり?」
「何のつもりだって、それはこっちのセリフ。マナーを知らない野郎だな。」
にっこりと微笑みながら、リコシェはリボルバーの弾倉を放り投げ、新しい弾をセットする。その後、タバコのパックを取り出し、器用に一本取ると、そのまま口に咥え、火をつける。
「魔法省の連中は、最近、奇襲が得意になったようだな。卑劣で無礼をまとった魔法少女様、さすがは格が違う。」
「っ。ただの野良なのに、まさか正義の味方を真似るなんて大胆だね、リコシェ。」
体中から溢れる強大な魔力を纏い、魔法少女・星眼は語った。
「私、あなたたちような野良犬が一番嫌い。安心して、命は取らない。でも骨を一、二本折る覚悟はしておいた方がいい。」
「はあ?あんたこそ。その偽善者のツラで無関係な人を巻き込むなんて、無事で帰れると思うなよ。」
「無関係?その人があなたと一緒に行動してる時点で共犯。ぼろぼろにしてから連れて行って詳しく聞くから。」
「こいつに手を出すなら、あたしの死体を乗り越えてみな。そういえば、あたしは非常に興味深い点に気づいた。」
リコシェは冷笑しながら、私とスターリーアイズの間に立った。
「あんた、まったく余裕がないな?野良犬に負け、野良犬に助けられ、もう評判も地に落ちたろう?今そんなに焦っているのは、評判を取り戻したいからか?よくやったな、サヨナキドリ。依頼がなければ、彼女と友達になりたいくらいだ。」
「はあ?」
リコシェの言葉に、スターリーアイズの顔が怒りに染まる。
「潰す。」
深呼吸して、リコシェはスターリーアイズに向かって煙を吹き出す。
「できるものならやってみな、お嬢様?あたしはね、最初から全てを持っているようなチート野郎が大嫌いだ。」




