第二十三話
リスクが大きすぎるのかもしれない。
「他人に期待はしない方がいいでしょう。なんとか我々だけで解決するのが望ましい」
「そうだね。他の人が信用できるとは限らないし」
「私は若干一名ほどまだ信用してないぞ」
「もうっ! お姉さん! いい感じにまとめようとしてるんだから邪魔しないでっ」
サクラは頬を膨らませて抗議する。せっかくのいい感じだったのに台無しだ。ロゼはそんな怒れるサクラにすまんと謝っていた。
意外だったのはシェルが何も言わなかった事だ。きっと頭の中はそれどころではないのだろう。二人を教会に連れて行く。それがかなり難易度が高い旅になってしまう。そして、これから向かおうとしているアドミラル大聖堂には厄介な人物がいる。しかし、その厄介な人物に会いに行くのだ。避けては通れない道。シェルは覚悟を決めるしかない。
できる事なら会いたくはない。できる事なら今後一生会いたくはない人物だ。何を言われるかわかったもんじゃないし、自分が何を言ってしまうかわかったものではない。
ずっと会うのを逃げてきたツケがここで回ってきてしまった。
「アドミラル大聖堂に着いたら絶対に私の指示に従ってください。一つの間違いが命とりになります。そしてそのミスは私では軌道修正など出来はしない」
いつもお茶らけているシェルが初めて見せる表情だった。そこには冗談の欠片もなく、本気でそう言っている。
「あぁ、わかった」
ロゼもそれがわかったので一言そう答えたのだった。




