第85話 青龍さんのお願いは?
「そなたは、我が主と繋がる巫女を知っておるな」
「えー、はい」
「では、頼みがあるのだ」
頼み・・・無茶なのじゃないといいな。
「えー、なんでしょうか」
「我が元に巫女を連れてきてくれないか。久々に会いたいのだ」
「えっ、会ったことないでしょう、青龍さんは」
「なに、巫女も吾輩も肉体に捕われない存在だ。魂で語れば、お互い思い出すのだ」
そういうものなのか。
普通の人間にはわからないことだ。
「えー。か弱い女の子だよ。ここに来るのはちょっときついかも。青龍さんが山降りてきてくれませんか?」
「それはできない。今はまだ神山を掌握しきれていない。そうだ、これを授けよう」
青龍の身体から青く光り輝く鱗が何枚も離れて、青龍の周りをぐるぐる廻りはじめた。
それが移動してきて、私の前方に移動する。
形が変わってきて、ひとつの物に変わって、降りてきた。
「これはなんですか?」
「青龍の鎧だ」
おおっ、魔法の鎧ですね。
それも青龍の鱗で作ったもの。
「これを着た者を、この山の魔物は手を出したりしないし、できやしないものだ」
「へぇ、それは素晴らしい鎧ですね」
感心して青い鎧をじっくり見ているC級女剣士が口を出してくる。
「この鎧、私がいただいてよろしいですか?」
「お、おまえ、バカか」
どこまでずうずうしいんだ、お前。
おまえには、白い鎧で十分だ。
「そうだとも。この鎧を身に着けることができるのは巫女のみ。それ以外が身に着けると死ぬぞ」
「ごめんなさい。ごめんなさい。言ってみただけです」
青龍のカツを受けて、女剣士はビビッてしまう。
「だからさ。余計なこと言わないようにしないと・・・」
「こいつは、我が雷で黒焦げにした方が良いのではないか」
あ、私もそう思います。青龍さんと意見一致しちゃった・・・じゃなくて。
「とりあえず、一緒にここまで来た仲間です。ずうずうしい奴で口が悪くて疑りぶかくて自己中なんですが、良いところもあるんです」
「良い所ね。いったいどんな良いところがあるというのか?」
「えっと、えっと、えっと・・・とにかくいいやつなんです」
無理があるとは思ったけど、主張してみた。
青龍さん、別に女剣士に興味がある訳ではないので。
「とにかく、巫女にそれを渡して、ここに連れてこい。頼んだぞ」
それだけ言うと、空を駆けて山頂に帰っていった。
第三章のクライマックスでした。
関係ないけど、新連載を、初めてみました。
『最強賢者のおっさんが過去戻り。魔法知識で好き勝手はじめました』
土魔法を書いていたら、他のも書きたくなってしまって・・・。
魔法が知られていない時代に、2000年分の魔法知識を持った男が過去戻り。
何をするのかな、って話。
良かったら、こっちも読んでくださいね。
https://book1.adouzi.eu.org/n8626eu/




