第65話 子供用の鎧を沢山作ってみる。
「はい、こっちに並んでね」
「お姉ちゃん、ここでいいの?」
「うん。男の子はこっちね」
ミントにポーションをもらって傷が治った男の子がやってきた。
もう、元気に動けるくらいになっている。
各種作業小屋に替えられた元は一人用の住居。
そこに子供が30人も集まっている。
子供達に鎧をつくるのに必要な採寸をするために。
子供ひとりひとりの採寸をミントが行っている。
「みんなやせているわ」
「お金がないから、栄養ある物を食べられない子も多いからね」
「もっと、美味しい物食べられるようになれないかな」
採寸した結果は、ミントが薄いセラミックプレートに羽ペンで書き込んでいる。
「これで大体、必要なサイズと数が分かったな」
「はい。鎧を30も作るの大変じゃないですか」
「なに、材料さえあれば、それほどでもないよ」
材料は白石が2㎏くらい。
街から徒歩30分くらいのところにある川で見つけることができる。
子供達でも簡単に採取できるはずだから、各自調達するように説明する。
「その石で、このセラミックアーマーが作られる」
サンプルで作った大・中・小サイズの子供用鎧。
軽さを重視しているので、鎧としての性能はそこそこだ。
「本来、金貨1枚は必要になるが、特別にレンタルにて貸し出します」
レンタル代が月大銅貨5枚。
元を取るには、2年近く貸し出していないといけないが、今回は利益のためにやっているんじゃない。
子供達を安全に冒険してもらうのが目的だ。
ただ、あくまでビジネスの形にすることで、多くの子供に利用してもらいたいのだ。
ゆくゆくはここの子供だけじゃなくて、街の子供達にも利用してもらいたい。
翌日。
子供達が白石を持ってきたので、セラミックアーマー作りを始める。
《微細粉末化》
白石がさらさらな粉末になり、50センチくらいの高さの山になる。
《設計:サイズ調整:セラミックアーマー創造》
見ている感じは、超高速な立体プリンタで出力しているみたい。
白い粉末から白い鎧が完成形で作られていく。
次々に鎧を作っていく。
同時進行でいくつもの鎧が生成される。
「さて、これで30できた。サイズ別に分けておいてくれ」
「はい。ありがとうございます」
楽しそうに、白い鎧をサイズ別に分けて並べていく。
子供達の喜ぶ姿を想像しているのかな。
あとは、これを配って終わりだ。
そこはミントひとりで大丈夫だろう。




