第55話 B級冒険者への道
「確かに依頼の品受け取りました」
C級女剣士が冒険者ギルドで青石を100枚手渡すと受付員は依頼の完了を伝えてくれた。
報酬は各自金貨20枚づつ。
「よくこの依頼を受けましたね」
「やるときはやるんです。私」
まだC級である彼女にとってこの依頼の成功は価値が高い。
B級冒険者への道が開かれることになるからだ。
「今回は手伝ってくれて本当にありがとう」
「いや、何。たまには街の外でないといけないしなぁ」
素直にお礼を言われると照れてしまう。
きっと、いつも素直にしていれば、モテるはずなんだけど、彼女。
「私だけでは到底達成できない依頼でした」
「そうなんですか」
「B級に上がるためには、どうしても達成したかったんです」
「あと、どのくらい似たような依頼をこなせばB級にあがれるの?」
「10回くらいです。一緒に達成しましょう」
「それは嫌」
ずうずうしいんだよね、彼女。
ちょっと気を抜くといろいろとやらされることになってしまう。
「あとは、おひとりでがんばってください」
「ケチ」
言葉では怒ったふりをする彼女。
でも、顔は笑っている。
「リーダーのパーティに入れてもらえばいいんじゃない?」
「嫌よ。足手まといなんてなりたくないわ」
B級冒険者中心のパーティなんて、リーダーのところ以外にはない。
C級の彼女だって、依頼によってはパーティに入れてもらえる可能性もある。
「彼は物事を見る目が違うわ。ランクアップのためなら依頼をなんでも受けたい私とは違うの」
「まぁ、だからB級の冒険者をまとめることができているんだろうね」
彼女もリーダーのこと認めているんだね。
「たまには、一緒に冒険してもいいよ」
「本当?明日はどう?」
うーん、この図々しさ、どうにかならないのかな。
まぁ、無理だって分かって言っているのは笑っているから分かる。
「明日はやらなきゃいけないことがあってね」
「何?そんなに大切なこと?」
「ああ、大切なことさ。ひとりの女の将来がかかっているからさ」
「大切な人、なのね」
どうなんだろう。
どこまで私はあの女性を大切に思っているのか。
明日、分かるはず。
今日の8話目。あと2話。
楽しく書いて、楽しく読んでもらったらうれしいです。ブクマもよろしくね。




