第47話 クリスタルの土魔法的な利用法
最近、家をいくつも作っている。橋とか団地とかも。
土魔法って、土木建築のためのスキル。と、ついつい勘違いしてしまう。
忘れてた。土魔法のもうひとつの使い方。
クリスタルがあれば出来る。だから、この街に来る前に沢山採掘したんだった。
70%は資金調達のために売ってしまったけど、まだ10キロ分くらいアイテムボックスの中に残してある。
「ね。ちょっと試してみたいことがあるんだけど、手伝ってくれないか」
「我にできることか?」
「あなたにしかできないことなんだ」
「解った、やろう」
狼娘をのせて、新しい魔法を試すことにみる。
クリスタルをアイテムボックスから全部出してみる。
「うわー、綺麗」
日光を浴びてキラキラ光るクリスタル。
透明な物が一番多いけど、黄色、桃色、紫、オレンジと様々の色がついた物も混ざっている。
「どれがいいかな」
クリスタルの色やサイズ、形を元に選択する。
結局は、綺麗な六角柱になっている10センチ程度の透明なクリスタルを、5本だけより分ける。
それ以外はアイテムボックスに戻す。
5本のクリスタルを広場で3m離して並べる。
《魔素集結》
クリスタルにはひとつひとつ固有の波動がある。
魔力を注入すると波動が強くなり、地面の下にある土の魔素が共鳴を始める。
共鳴した魔素はクリスタルに引き寄せられ何重にもクリスタルを包み魔石となっていく。
《ストーンゴーレム創造》
セラミック板に描かれたゴーレム形状の数式群が魔石に土を纏わせ始める。
最初は土で作った雪だるまの様になるが、しばらくすると形が明確になっていく。
今回のセラミック板の数式は、太い6本脚にドーム状の本体があるタイプ。
脚が2本足りないが、平たくなったタコを思わせる。
形が定まると硬化が始まり、表面は固い石になる。
全長2mで高さ1.2mのストーンゴーレムが完成した。
全部で5体。綺麗に並んでいる。
「よし、一体づつ、番号を刻もう」
ドーム状の本体の全面に数字が「01」から「04」と刻まれる。
最後の一体は「05」ではなく「00」と刻む。
すでに動作プログラムはクリスタルにインストール済みだ。
あとは、メインスイッチを押すだけだ。
「レムたん1号とレムたん2号、起動」
「01」と「02」のゴーレムが動きだす。
目標は、狼娘だ。
「我に向かってくるとは、なんとも身の程知らずだな」
狼娘は、ジャンプしてくるっと回転すると、巨大魔狼に変身する
5mもあるから、2mのゴーレムより、全然大きい。
「いけ。あいつを倒せ」
2体のゴーレムに指示を出した。




