第46話 浮気発覚?
狼娘の勝負に立ち会った後、家に戻ろうと橋に近づいたとき。
狼娘が耳をぴんと立てる。
「どうした?」
「誰かいる」
「屋敷にか?」
「いや庭だ」
狼娘は五感が敏感だ。
危機を察知するだけでなく、違和感がある状況をすぐに察知する。
屋敷や庭にいるのは、ミモザだけのはずだ。
だけど、もうひとり。
橋を渡るのをやめて、川を渡ることにする。
川底に簡単な橋を作って渡るんだけど。
そっと川岸から登って、屋敷を覗いてみる。
ミモザと男がいる。
年齢はミモザと同じくらいで20歳前後。
身なりからすると、スラムダンクの住民か。
元スラムの団地区。略してスラムダンク。
そんな呼び名をつけて呼んでいる。
団地づくりとかで住民とミモザは交流があったけど、特別仲良くしている人はいない。
だけど、その男との雰囲気は妙にいい感じだ。
「恋人かな」
「な、訳ないだろ」
「気にするな、お前には我がいる」
そうじゃないだろ。
ミモザは俺の物だ。
誰にも渡さない。
「どうする?」
「戻って普通に入っていこう」
「そうだな」
川をまた渡って、バレないように道に戻る。
そして、ごく普通に橋の上を歩いて家に帰る。
「おかえりなさい」
男はもういない。
いつものミモザが、帰りを迎えてくれた。




