第258話 ブランド食材の流通づくりをしてみよう
「すごいです。Aブランド食材は大人気ですよ」
長身商人は嬉しそうに報告に来た。
土魔法農法による食材は普通に市場に入って高品質だから人気があったけど入荷が一定していなかったから手に入ったらラッキー的な物だったらしい。
Gブランドを作った商会はそこに目をつけて普通の値段で村から買って高い値段で高級料理店に売っていたのだそうだ。
「だけど、あれだけの量の食材、ひとつの店では使いきれなくないのではないですか?」
「もちろんです。取引のあるお店に持って行ったら飛ぶように売れてしまって。もう、少ししか残っていません」
Aブランドは人気なのか。
まぁ、今回の入荷は僕が魔素チェックをしたからな。
作物に含まれている魔素がどのくらいかを見て、品質チェックをした。
土魔法農法の作物は魔素濃度が高い方が高品質の可能性が高いからね。
「それなら、他の土魔法農法をしている村からもAブランド食材を仕入れないか?」
「それ、いいですね。ぜひ、仕入れたいです。土魔法農法の村を紹介してください」
「いちいち僕が行くのも面倒ですね。そうだ!これを持って行ってください」
腰のポーチから、セラミック板を一枚取り出す。
《文字描写》
「はい」
「なんですか、これは?」
「村とのやり取りは、このセラミック板でしているんですよ。こんなのを使うのは僕しかいないからね」
言わば僕のお墨付きの商人だと証明してくれる物。
村人が見れば分かるようにしておいた。
「これはいいですね。村の人も土魔法使いさんお抱えの商人だと分かってくれますよね」
そこから先は商人としての腕の見せ所だね。
ちゃんと村人といい関係を結んで欲しいものだ。
「あ。それと、できたら、あの箱、もっと出来ませんか?」
「あ、あれ。いいですよ。簡単なんで」
さすがに街中だと問題なので、外の原っぱで作ってみた。
「これくらいでいいですか?」
「うわっ、何個あるんですか」
「ついでなので、3000個ほど作ってみました。足りなくなったら、言ってくださいね」
「はいっ」
長身商人は喜んで、馬車に積み始めた。
馬車は3両になっているから、前の一両以外の二両に200個づつ、コンテナを積んだ。
「それでは、Aブランド食材の仕入れに行ってきます」
「うん。がんばってね」
彼ならちゃんと村の人たちにも利益還元してくれそうだ。
そろそろ、麦も収穫時期を迎えるし、Aブランドのパンもできるかな。
そんなことを思いながら、街の路地を歩いていると。
チャリン、チャリン。
金属音がして、何かが落ちる。
チャリン、チャリン。
まただ。
良く見ると、鉄で出来た小さな投げナイフの様だ。
どういうことだ?




