第257話 コンテナって便利だな
「しかし、まぁ。ずいぶんと買い込みしましたね」
「そりゃ、これだけの食材を見せられたら仕方ないですよ」
山と詰まれた土魔法野菜を見て、小柄シェフと長身商人に突っ込みを入れた。
「でも、こんなにあるんじゃ、馬車に積めますか?」
「そこなんですよ。持ってきた木箱じゃ、全く足りないし。どうしようかと思案中です」
「一度戻って、馬車を手配しらたどうですか?」
「何言っているんですか。野菜は鮮度が命です」
うーむ。なんとしても、この量を馬車に積むつもりらしい。
なんか、いい方法ないかな。
「そうだ。コンテナを作ろう」
「コンテナ? なんですか、それは?」
説明すると長いので、作ってしまうに限る。
まずは馬車の荷台の内寸法を測ってみる。
「幅が180センチ。高さも同じで180センチ。長さは240センチか」
30センチの倍数になっている。これはいいな。
「すると、縦・横・高さがすべて30センチにするとちょうどか」
《30センチ・コンテナ作成》
土を固めて石状にして、縦横高さがそれぞれ30センチの箱型にする。
うまくつながるように上下、前後、左右にジョイントする凸凹をつけた。
試しに10個だけ作った。
「これでどうでしょう?」
「おっ、いいな。これならちょうど野菜が10キロくらい入りそうだ」
「実はこうやって、つながるんですよ」
「ほう。なんかいい感じだな」
長身商人はコンテナの使いやすさを認めてくれた。
野菜を入れて馬車の荷台に積んでいる。
《30センチ・コンテナ作成》
もっとたくさんコンテナを作った。
先ほどのとあわせて全部で200個。
荷台にすべて積むと288個積めるのだが、それだと人が乗る余地がなくなる。
「おーい、シェフ。手伝ってくれ」
「おーっ」
野菜だと土魔法が使えないけど、野菜をコンテナに詰めてもらえれば、あとは土魔法で荷台に積むことができる。
これもコンテナ効果だね。
「ふう。詰め終わりました」
200個のコンテナに一杯野菜が詰め込まれている。
まだ少し残っているけど、それは持って帰れないので村の人に渡すことに。
「さて、帰りましょうか」
「そうですね」
馬車の揺られて街に帰る。
来た時より二時間も余計にかかってしまった。
荷物が重くて馬車のスピードが上がらなかったのだ。
「ふう、着きました。これから準備すれば、夜の営業に間に合うな」
シェフの指示通り、店の厨房にコンテナを運んだ。
あとは、店の料理人たちに任せることにしよう。
「なんだ、そのトマト。すごく甘いぞ」
店の中ではAブランド野菜が試食されている。
一流の料理人は当然ながら野菜の質の良さにうるさい。
だけど、Aブランド野菜は、すべての料理人が認める品質だ。
「ありがとう、これで街の人を唸らせる料理を作れます」
「がんばっておいしい料理を作ってくださいね」
☆ ☆ ☆
そんなやり取りを建物の影からずっと見ていた男がいた。
土魔法使いが店から出ると、その男も歩き出す。
一定の距離を保ちながら着いてきた。
ひとつ話を飛ばしてしまいました。すいません




