第237話 超高級店オーナーも串焼きは好き?
「ここですか。あたらしい飲食店が集まる施設というは」
貴族の様にやたらと飾りがついた服ではない。でも、上品で高い服だと分かる。
話し方も同じで丁寧な話し方だけど、気品がある。
「こちらの方は?」
「私の友人で高級料理店を三店運営しているオーナーです。貴族にも人気なお店です」
「はじめまして」
飲食店を運営しているので興味があるのだろう。
モデル店の串焼き屋さんをじっくり見ている。
「ここは、どんな階層向けでも飲食店なら歓迎なんです」
「ほう。それは面白いな」
「そう思います?」
いままで見に来た高級店のオーナーは7人ほどいるが、串焼き屋をみて、一緒にはできないと言って帰っていった。
「この串焼き、うまそうじゃないか」
「食べてみますか?」
「ほう。食べられるのか」
子爵子息と白狼娘も一緒に店に入る。
「いらっしゃいませ」
高級店オーナーは珍しそうに店内を見渡している。
まだ仮オープンなので、内装はシンプルな元のままで四人掛けテーブルが4つだけおいてある。
「何にいたしましょう」
「何ができるのかな」
「うちは串焼き屋ですから。肉ならオーク肉、豚肉、鳥肉、鳥キモの4種です」
「それでは、一本づつもらおうか」
「うちの串焼きはでかいですよ。4本だと食べきれないかもしれません」
「大丈夫だ。気にするな」
「では、私も4種いただこう」
子爵令息もオーダーする。
「飲み物はどうします?」
「ワインはあるか?」
「すいません。ワインはないですね。エールかドブロクになります」
「それなら、エールで」
「私も」
まだ店員はいないので、白狼娘が店員がわりをする。
「ほら、エールだぞ」
「まずは乾杯しようか」
「それはいいな」
エールで乾杯していると白狼娘が串焼き4本づつが載った皿を2つもってくる。
「串焼きだぞ」
「お、うまそうじゃないか」
「そうだな」
「我も食べたが、すごくうまいぞ」
「君は食べないのか?」
「もちろん、食べるぞ。今、焼いてもらっている」
でっかい肉を一口かじった高級店オーナー。
「うまいじゃないか、これ」
「我も好きだぞ。20串はいける」
「20串って、いくらなんでも・・・」
「どうだ?賭けをしないか。20串いけるかどうかの」
「あ、オーナー、辞めた方がいいですよ。この娘は規格外なので」
「そうなのか」
なんだかんだで、それぞれ4串も食べた3人だった。




