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第227話 舞踏館も造っています

「舞踏館は鉄筋石材づくりの形になりました」


50mの円形で周りにしか柱がない建物。どうしても柱の強度が問題になってしまう。


「屋根にあたる部分は、シリコーンとセラミックの複合材料で軽量だけど強度がある物を使います」


サンプルで作った50センチほどの屋根材を見せる。

手に取ってみているのは、伯爵と街コーデ姉さん、そして街長だ。


「不思議な素材だな。確かに軽いが、固くもある」

「ええ。だけど固いだけではなく柔軟性もあるんです」


平たい屋根材の端と端を持って力を掛ける。すると少したわむ。


「本当だ。柔らかくもあるんだな」

「ええ。固いだけだとポキっと割れてしまうことがあるんです」


このあたりはあまり地震がない場所だから石材が割れるということが意識されていない。木造は火事になれば燃えてしまうが、石造りの家なら何百年ももつと信じられている。


「この材料で3センチほどの厚さの屋根になります。普通の石材とは違って中は空洞も多いので軽いです」


柱がなくて50mにもなる屋根を支えるには屋根の軽量化は必須だ。


「あっちのショッピングモールでも鉄骨石材は実験中ですから、後でみてくださいね」

「もちろんだ。ショッピングモールも興味あるからな」


伯爵様もショッピングモールに興味を持ってもらっている。

どんなものになるかはこれからだけどね。


「前のときに依頼を受けた高級店の話、どうなった?」

「はい。すでに興味を示している高級店が5軒ほどあります。まずはそこの意見を聞けばいいかと思います」


伯爵の指示で街コーデ姉さんが動いてくれているらしい。

これは心強い味方だ。


25街区の中心に造られる円形舞踏館とシッピングモールは約100m離れている。だけど、土魔法でどっちも造るから同時進行ができてしまう距離だ。なかなか便利な位置に土地を買わせてもらったんだ。


「それで完成はいつ頃になるんだ?」

「装飾パーツが揃うのが1カ月くらいかかるそうです。それまでに建物は準備しておきますから、1か月とちょっとで完成しますよ」

「そんなに早くか。まだ他のとこは整地も終わらないだろう」

「いいじゃないですか。何もないとこに舞踏館。ちょっと面白いと思いませんか?」


舞踏館完成と共に完成パーティの話が帝国中に飛び回るはずだ。

伯爵領が一気に有名になるチャンスだ。


鉱山も見つかったし、その費用は心配いらないと言われている。

楽しみだなぁ。


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