第221話 料亭の秘密部屋
「ギャンブルはお気に召していただいてみたいですね」
水色ドレス姉さんは紐でしばっていたドレスを元に戻して私の横にきた。
ワインのボトルを持ってグラスに注いでくれる。
「ええ。とっても。結局負けてしまったのは不本意ですが」
最初勝っていて、調子に乗った私は金貨1チップを金貨10枚チップに変えてギャンブルした。
ところがそのあたりから負けが増えてきて最終的には金貨50枚ほど負けてしまった。
「この街ではギャンブルは禁止ではないんですか?」
「禁止もなにも。ギャンブルが好きな人がいる以上誰かがどこかでやっています」
それはそうだ。そこまでコントロールできるとは確かに思えない。
「するとこれから造る新街商店ビルにおいてもギャンブル場はありですね」
「ええ。あまりアコギなことをしなければ人気になると思いますよ」
またひとつ、商店ビルの中に入れたいお店が増えた。
「ただ、ギャンブルもいいんですが。他の男の楽しみも味わってくださいよ」
「といいますと?」
街長さんがそう言うと、街長の右と左にいるドレスの女性がしなだれかかってくる。
街長さんはひとりの太ももを撫ではじめた。
「あ、そういうことですね」
「そういうことです」
料亭には当然そういう男の欲求にこたえる機能が用意されている。
「料亭の中で起きていることはまず外には漏れません。どんなに怖い奥方がいても、ここでは安心して遊べます」
街長さん、もしかしたら恐妻家なのかもしれないな。
すごくうれしそうにふたりの女性のあちこちをなでなでしている。
「でも、それなら娼館でもオッケーなんじゃないですか?」
「私みたいな役職にある男が娼館があるあたりを歩いただけで噂になってしまいます。その点料亭は安心です。密約をする場所ですから、中で何をしているか。外の人には全く分かりません」
便利な機能なのね。恐妻家の男にとっては。
そう言えば、私とて嫁がいる男。少しは気にしないといけないのかも。
「もし、こうやっているうちに気持ちが盛り上がってきてしまうこともありますよね」
「あるでしょうね」
すでに街長さんは気持ちが盛り上がってきてしまっていると思われる。
というより、完全にその気になっているでしょう。
「そんな場合は、ほれ」
指さしたところの壁が横にすすすーっと動く。
その先にはベッドが用意されている。
「ということで。説明はおしまいです。あとは実践です」
街長さん、ふたりの女性をつれてベッドの部屋に行ってしまった。
「どうします?私か彼女、もしくはふたりでベッドの部屋に行きますか?」
「そうですね。体験してみないと分からないことはありますから」
ふたりの女性とベッドの部屋に入り、料亭の機能を徹底的に調査をすることにした。




