第216話 ミントとユウトの天使ミーティング
「投資というのは人のためになるものじゃなければいけません」
さっき聞いた投資の話のごくごく一部をミントに話してみた。
そこだけは私も同感だったから。
「それはそうよね。特にユウトの場合は土魔法でできてしまうことが多いから、下手をすると他の人の仕事を奪ってしまうかも、だからね」
「そうそう。私もそこを気にしている。だから、明日のミーティングの前にミントとふたりで話してみたかったんだ」
「天使同士のミーティングってことね」
人間ってどうしても損得とか儲けとかが気になってしまうから、もっと人のためになる方法が見つけられない気がする。
だから、そういう部分があまりない私とミントでまずは天使ミーティングをしてしまおう。
「明日のショッピングモールの話。どんな方向に行ったらいいのかな」
「ひとつ提案してもいい?」
「うん」
「この街のいろいろなお店に行ったけどひとつ気になっていることがあるの」
「それは何?」
「階級別にお店って別々のところにあるのよ」
「確かに」
貴族用、上級市民用、庶民用、貧民用。
それぞれが別のエリアに集まっている。
「どうして人間はそんなに分けたがるんだろう。みんなひとつのとこに集めたらダメなのかな」
「そこなの、わたしが言いたいのは。ユウトが作るんだったら、誰でも入れるお店にしてほしいな」
面白いアイデアだ。
庶民だってたまには奮発して高いお店に入ってもいい。
逆にお金持ちだって庶民的なお店に興味がないはずがない。
「いろんな層のお客さん向けのお店を全部入れちゃったショッピングモールにするんだね」
「そう。誰でも楽しめるお店。そこに来ると階層なんて気にしなくていい所」
それはいい。そういえば、勇斗の世界に『ディステニーランド』というテーマパークがあったなぁ。
そこは『魔法の国』って言われていて本来魔法がないはずの世界なのに、そこだけは魔法があるって設定だった。
「魔法の国ならぬ、天使の国ってことか」
「えっ、何?」
「そのモールは人間の国じゃなくて、天使の国。だから階級なんてない。誰でもそこに来れば自由に求めるものを見つけられる場所」
「そうそう。そんなモールができたらいいなぁ」
「うん。それを創りあげよう」
「どんな名前になるのかな」
「決まっているじゃん。天使のいる場所なんだから『エデン』でしょ」
「あ、そうね。地上なのにエデンなのね」
人間の始祖にあたりアダムとイブがいた所。天使が当たり前にいて誰もが楽しく暮らせる場所。
それが『エデン』だ。
「名前は『エデン』に決めよう。細かいことは明日、みんなに相談してから決めよう」




