第191話 水の民の少女もトレーニングしてみた
「土魔導士さんは、少女に魔法トレーニングされていると聞いています。この村にもひとり魔法トレーニングをお願いしたい少女がいるんですが」
「私がトレーニングしているのは土魔法だけですが」
「ええ。私が見るところ、土魔法に適正がありそうと思っていまして」
水の聖女さん推薦の少女。
最近、何人もの少女に魔法トレーニングをしているから慣れてきた。
肌合わせが、ドキドキしないで出来てしまう。
それがいいことなのか、それとも問題なのかはおいておいて。
純粋に魔法トレーナーとしては熟練してきたってこと。
「いいですよ。魔力が向上するかどうかは分かりませんが」
肌合わせで魔力巡りをすると、最近はだいたいの魔法適性度が分かる。
魔力の共鳴が起きる娘と起きない娘がいて、共鳴が起きると適性がある。
14才の小柄な少女。
垢ぬけていない素朴な田舎娘って感じ。
「この娘はどうなんだろう」
お互い裸になって肌を触れ合わせる。
ちょっと緊張しているかな。
「大丈夫だよ。痛いことも、きついこともないから」
「あ、はい」
もちろん、緊張しているのはそんなことじゃないってわかっている。
父親以外の男と肌を触れ合わせたことがない少女だろうかな。
「さていくよ」
「はい」
「「!」」
うわっ、なんだ?
魔力が共鳴している。
だけど、反発もしている?
魔法適性がある少女はずいぶんと肌合わせしてきた。
だけど、いままで経験したことがない反応。
「どんな感じ?」
「身体が熱いんです。高熱が出た時みたいに」
触れている私も少女の熱さを感じる。
「苦しいとかつらいとかある?」
「ないの。高揚している感じというか」
そうか!
彼女は土ではなく火なのか、魔法適性は。
魔法適性は、属性が複数あるタイプとひとつだけのタイプがいる。
私は典型的なひとつの属性、土属性タイプ。
ミントは、どうも、全属性タイプ。
この少女は、属性が単体で火なのだろう。
「右手にエネルギーを集めて、右手の上に火をイメージしてごらん」
「はい。あっ」
火が出てきた。やっぱり、そうなんだ。
この少女は土魔法は使えない。だけど、魔法適性がずいぶんと高いから、魔力の巡らせだけ教えてみた。
ちょっとしたファイヤーボールが撃てるレベルまですぐなった。
それ以上は私には教えられないから、水の聖女さんにその後のことはゆだねてみた。




