第186話 どっちがボスか決めよう
「ガオーーーン」
後ろにいる7頭に向かって巨大狼が吠える。
魔狼達は、びびって動けない。
「おいおい、お前たち。今のボスは私だよ」
「それはどうかな?」
「ガオーーーン」
もう巨大狼が一度吠えると、魔狼達は伏せて丸くなってしまう。
完全に戦意を喪失している。
「おや、狼達はあなたと一緒には戦わない様ですよ」
「やっばり、ただの獣は役に立ちませんでしたね」
「すると、降伏します?」
「いえいえ、あなた達くらいは、私ひとりで十分楽勝ですからね」
おおきく両手を広げて、なにやら呪文らしきものを唱えはじめた。
「させるかよ」
リーダーが剣を構えて突進しようとした・・・しかし、足が動かない。
なぜだ?
横を見ると、巨大狼も一緒で動けない様子。
もちろん、二人の剣士も同じで止まっている。
「魔法を発動させてくださいよ。ひとが呪文を唱えているときは、ちゃんと待つのが礼儀ですよ」
そんなふざけたたわごとを聞く気はない。
しかし、悔しいが身体が動かせない。
結局は言われた通りに、ただ呪文が終わるまで聞いているだけだ。
「たぁー」
呪文が完成して、両手で投げる様に呪文を飛ばす。
奴の両手から2つの光の球が現れて、私と巨大狼に向かって飛んでいく。
ガツンと大きな音がした気がした。
しかし、物理的なダメージはなさそうだ。
なにが起きたのか?
「それで、あなた達は私の味方ですよね?」
そんな訳ないだろ。
もちろん、敵だ。
「はい、仲間です」
勝手に口がそう言っている。
なんと操作系の魔法なのか。
このままではやばい。
なんとか、しないと。
「人間は使い道ないんだよね」
リーダーに向かって言う。
「その巨大狼は素晴らしい。私のお供にちょうどいい」
そう言うと、巨大狼に向かって歩いていく。
大人しく待っている巨大狼。
「ほら、いいこだ。これをお食べ」
ダメだ。それを食べたら他の魔狼と一緒になる。
なんとか止めようと思うが身体が動かない。
「これはね。進化の実さ。これを食べれば、私のお供にちょうどいいくらいの頭が良くなるよ」
食べてはダメだ。
この上、巨大狼が相手側につくとなると、森の周辺も魔物の領域になってしまう。
「はい、喜んでいただきます」
あー、食べてしまうか。
どうしようもないのか。
巨大狼は、進化の実を食べた。
巨大狼の身体が光りだす。
まばゆい光が巨大狼を包みだす。
光が薄れてその中から現われたのは・・・
進化の実。おいしいらしいですよ。
楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。
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