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第168話 令嬢がとんでもないことをしてくれました

「なんですって。どうして私の演奏の後にあの変態巫女のステージなんてするのよ」


執事の男はほとほと参っていた。

最近、伯爵令嬢の機嫌がすこぶる悪い。


原因はちゃんと分かっている。

ミントという名の愛玩奴隷のせいだ。


「そもそも、なんで奴隷の癖して、アイドルなんてやっているのよ」


愛の天使は、愛玩奴隷であって、モテない男を身体を使って慰めるのが仕事。

それも奴隷であり続けているうちは、ずっと。


娼館の女だって、借金を返せば娼婦でいることをやめられる。

だけど、愛玩奴隷はほとんど一生奴隷のまま。


歳をくって、愛玩されなくなったら、普通の奴隷に落ちるだけ。

可哀そうな一生を送ると相場は決まっている。


なのに、あのミントって女はどう?


ステージの上で、学芸会レベル踊りをして、なんで人気がでるの?

ありえないでしょう。


そもそも、あいつのご主人様は何をしているのよ。

あんな勝手なことを許すだけじゃなくて、等身大フィギュアなんて作って。


どっちが奴隷かわからないじゃない。


奴隷は奴隷らしく、勝手なことばかり言うご主人様を恨んで死んでいくのがお似合いなのよ。


「あのミントって言う愛玩奴隷に恥をかかせることはできないものか」


令嬢さんは考えた。

いろいろと考えた。


だけど、残念ながらそういうあくどいことを考えるには経験が少なすぎた。


伯爵令嬢として、伯爵の屋敷でも、学園でも、社交界でも。


いつも人気者として扱われてきた。

必要と思うものは言い出す前にお付きの者が用意してくれた。


今度披露する演奏会の弦楽器も新しい特注品が用意されている。

その楽器の値段は金貨50枚という庶民の10年分の生活費にもなる。


それでもお金ではどうしようもない物もある。


美貌とか、才能とか。


ところが令嬢はそれさえも手にしていた。

生まれつき、誰もがうらやむ美貌と、教える先生さえも絶賛する各種才能。


いままで、困ったことなどなかったのだ。


今回初めて、ミントというライバルが現れた。

それも、あっさりと自分より人気があるという事実を突きつけてくる。


なんとしてでも、あいつの人気に影をつけなければいけない。


だけど、令嬢がもっていない才能がひとつだけあった。

悪巧みの才能だ。


いままでの17年の人生で全く必要としなかったため、悪巧みは全然考えられなかった。

唯一みつけた方法は、それこそ初等スクールの1年生レベルの悪だくみ。

ただ、それが最高の計画だと信じた令嬢は、執事を呼び出して指示を出した。


「いいから、その計画を実行して。あのミントに恥をかかせてやるのよ」


悪役令嬢に進化しました。


楽しく書いて、楽しく読んでもらえたらうれしいです。

ブクマと評価もよろしくです。


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