第162話 依頼主の情報を引き出してみた
「それで、なんで私達にちょっかいを出してきたんだ?」
「それは・・・」
「だいたいお前ら、どこの街の者なんだ?」
火魔導士の話によると、3日くらい馬車に乗って着くあたりの街を拠点に活動している冒険者パーティらしい。
ふだんは依頼を受けて、強い魔物を討伐したり、特殊な素材を探したりしている。
街の近くにはダンジョンもあるから、依頼がない時はダンジョンに潜っている。
「S級というなら、街のトップクラスのパーティじゃないの?」
「うちパーティは、街の冒険者ギルドで2番目のランカーです」
やっぱりそうだよな。
S級パーティとなると大きな街でもそんなに数があるはずがない。
「で。お前たちを派遣してきたのは、誰なんだ?」
「それは・・・」
「ほう。あの杭がどんな感じか知りたいと見えるな」
杭をまた火魔導士の頭の上に移動しようとしていると。
「わかりました。わかりました。言いますよ」
「そう。素直に言いなさい」
「依頼は、太陽女神教団の司祭からです」
やっぱり、太陽女神教団か。
あの双子に依頼が入ったのも同じとこだ。
「この街に土魔法を使って住人を苦しめている魔導士がいると聞いていて」
「なんだ、それ。ちゃんと住人に聞いてみたか?」
「それはちょっと・・・。そのうえ、そいつは巨大な魔狼やら、邪教の巫女やらを従えていて」
「うーん。しょーもない設定だな」
あきれてしまった。
勝手に悪者にされて冒険者に狙われるのは不本意だ。
「街のギルドは関わっているのか?」
「はい。ギルドからの依頼だったので、信じてしまいました」
「それはギルドにもクレームを入れないとな」
「そうです、そうです。ギルドのせいなんです」
まぁ、こいつらもいい加減な奴らだってことは分かった。
ただ、ギルドが絡んでいるなら、ちょっと調べてみたいとな。
「もういいよ。お前らはギルドから依頼を受けて戦いに来たということだな」
「その通りです」
「もし、また依頼があったとしても、受けないほうがいいと思うぞ」
「もちろんです。絶対受けません」
まぁ、その言葉に嘘はないだろう。
これ以上関わると、また弟子にしてくれとか、ややこしくなりそうだ。
ここは、さっさと帰しておこう。
「そういうことなら、もう私たちに関わるな」
「わかりました。何か俺たちにもできることがあったら言ってください」
「そのうち、お前たちの街に行くことがあったら、よろしく頼むよ」
「もちろんです」
危機は去った。
しかし、太陽女神教団はあきらめることはなかった。




